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高校生編side晴人 望み通り離れたのに、何でその反応?
20.親友と幼馴染とフラグ(side啓太)
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俺に対する切藤のあたりは強い。
…本当に、強い。。
俺が晴人から何か貰ったり(ジュースとか)逆に俺が何かあげたり(りんご飴とか)するのが許せないらしい。
晴人と俺が2人で帰るのも気に入らないんだよな。
晴人と切藤は、どっちか片方が部活って場合を除いては一緒に帰ってる。
ところが、ある日。
部活終わりに校門を出たら切藤がいてビビった。
え、今日サッカー部休みだろ。
切藤の登場に、下校しようとしてた女子が大騒ぎしてるけど、当の本人は歯牙にも掛けてない。
「蓮、何でいんの?」
「部活メンツでカラオケ行ってた。
丁度終わる頃だから待ってたわ。」
「マジか!じゃあ3人で帰ろうぜ!」
嬉しそうな晴人の笑顔に満足そうな顔をしつつ、俺の方には冷たい目を向けて来る。
駅で俺が別れる(俺は電車通学で、2人は徒歩)時なんか手でシッシッってされたわ。
絶対に晴人に見つからないようにやり切るその能力は何なんだよ。
中学最後の文化祭を、晴人が俺と見て回るって楽しそうに切藤に言った時は血を見るかと思ったな…。
「えら何か空気悪くない?」
晴人は心底不思議そうに言ってたけど、原因お前だからな?
って言うかこれだけ態度に出されてるのに何で気付かないんだよ。
切藤がちょっと不憫になるわ。
そんなこんなで高校生になってからも、俺達の関係性はこのままーーかと思いきや違った。
晴人は一般クラス、切藤は特進クラス、南野は海外留学。
つまり、3人が初めて別れることになった。
高校入学前、俺は切藤からこう言われた。
「気に入らねーけど、お前の事はギリ信用してる。」
それに続く言葉は「だから晴を頼む」だろうな。
どうも俺は同級生4年目にしてようやく魔王から(多少の)信頼を勝ち取ったらしい。
今までは、学校のヒエラルキー最上位である切藤が牽制しまくる事で晴人を邪な目から守っていた。
切藤に大切にされる晴人を面白く思わない切藤の強火ファンには、女子の最上位である南野が圧をかけていた。
魔王と女王によって厳重に護られて来た姫は、このパワーバランスが崩れたらどうなるのか。
中学で浸透していた「幼馴染だもんね」は、新しく入って来た人間には通用しないかもしれない。
それを見越して「気に入らねー」俺に声をかけて来たって事だろうな。
…でもさ、俺は思うんだよ。
晴人は、ただ護られてるだけのお姫様じゃないぞ?
中学の時、部長の重責を背負う俺をサポートしてくれた晴人。
部員同士が上手くいくように取り計らったり、試合で自分が勝ちを上げる事で士気を高めたり。
ちゃんと周りが見えてるし、信頼も厚い。
見た目の儚さとは違って強かさもある。
姫どころか、俺にとっては立派な勇者だ。
逆に言うと、何で周りは見えるのに自分の事は見えないんだって話しだ。
まず、自己肯定感低すぎるだろ。
暗くもないし卑屈でもない。
むしろ明るい奴なんだけど、自己肯定感は異常に低いんだよなぁ。
あれか?
産まれた時から天才二人に挟まれてたから必要以上に自分を「できない奴」だと思い混んでる…とか。
……あり得るな。
魔王と女王とずっと一緒に育って来たら、大抵の奴はそうなる気がする。。。
そんな事も考えてたりしたからさ。
夏休み明け、晴人が切藤と話さなくなった時は心配したけど、実はちょっと安心もしてたんだ。
二人は喧嘩できるんだな。
ちゃんと対等な関係でいるためにぶつかる事ができるんだな。
だから、詳しくは晴人に聞かなかった。
元気が無いのは分かってたけど、まぁ切藤が先に音を上げるだろうなと思ったから。
長くても一ヶ月もすれば仲直りするだろう。
そう、思っていたんだけれどーーー。
『これ、切藤に渡しといて。』
そう言った晴人は至っていつも通りだった。
喧嘩して意地を張ってるって感じじゃない。
なんかこう…「それが当然」のように自分と切藤の間に線を引いていた。
その時、俺はやっと事態の深刻さに気が付いたんだ。
晴人は、切藤と離れようとしてるんじゃないだろうか。
それが本当に晴人の意志ならいい。
魔王は大荒れだろうが、俺は晴人の味方だから。
だけど、何だか胸騒ぎがするーーー。
後にして思うと、こう言う悪い予感って当たるもんだよなぁ。
この二人のギクシャクした関係が、後に起こる大事件の始まりだったんだから。
●●●
啓太は晴人の事を「勇者」と表現してますが、まさに晴人にとっての啓太もそうです。
だから二人は無二の親友。
…本当に、強い。。
俺が晴人から何か貰ったり(ジュースとか)逆に俺が何かあげたり(りんご飴とか)するのが許せないらしい。
晴人と俺が2人で帰るのも気に入らないんだよな。
晴人と切藤は、どっちか片方が部活って場合を除いては一緒に帰ってる。
ところが、ある日。
部活終わりに校門を出たら切藤がいてビビった。
え、今日サッカー部休みだろ。
切藤の登場に、下校しようとしてた女子が大騒ぎしてるけど、当の本人は歯牙にも掛けてない。
「蓮、何でいんの?」
「部活メンツでカラオケ行ってた。
丁度終わる頃だから待ってたわ。」
「マジか!じゃあ3人で帰ろうぜ!」
嬉しそうな晴人の笑顔に満足そうな顔をしつつ、俺の方には冷たい目を向けて来る。
駅で俺が別れる(俺は電車通学で、2人は徒歩)時なんか手でシッシッってされたわ。
絶対に晴人に見つからないようにやり切るその能力は何なんだよ。
中学最後の文化祭を、晴人が俺と見て回るって楽しそうに切藤に言った時は血を見るかと思ったな…。
「えら何か空気悪くない?」
晴人は心底不思議そうに言ってたけど、原因お前だからな?
って言うかこれだけ態度に出されてるのに何で気付かないんだよ。
切藤がちょっと不憫になるわ。
そんなこんなで高校生になってからも、俺達の関係性はこのままーーかと思いきや違った。
晴人は一般クラス、切藤は特進クラス、南野は海外留学。
つまり、3人が初めて別れることになった。
高校入学前、俺は切藤からこう言われた。
「気に入らねーけど、お前の事はギリ信用してる。」
それに続く言葉は「だから晴を頼む」だろうな。
どうも俺は同級生4年目にしてようやく魔王から(多少の)信頼を勝ち取ったらしい。
今までは、学校のヒエラルキー最上位である切藤が牽制しまくる事で晴人を邪な目から守っていた。
切藤に大切にされる晴人を面白く思わない切藤の強火ファンには、女子の最上位である南野が圧をかけていた。
魔王と女王によって厳重に護られて来た姫は、このパワーバランスが崩れたらどうなるのか。
中学で浸透していた「幼馴染だもんね」は、新しく入って来た人間には通用しないかもしれない。
それを見越して「気に入らねー」俺に声をかけて来たって事だろうな。
…でもさ、俺は思うんだよ。
晴人は、ただ護られてるだけのお姫様じゃないぞ?
中学の時、部長の重責を背負う俺をサポートしてくれた晴人。
部員同士が上手くいくように取り計らったり、試合で自分が勝ちを上げる事で士気を高めたり。
ちゃんと周りが見えてるし、信頼も厚い。
見た目の儚さとは違って強かさもある。
姫どころか、俺にとっては立派な勇者だ。
逆に言うと、何で周りは見えるのに自分の事は見えないんだって話しだ。
まず、自己肯定感低すぎるだろ。
暗くもないし卑屈でもない。
むしろ明るい奴なんだけど、自己肯定感は異常に低いんだよなぁ。
あれか?
産まれた時から天才二人に挟まれてたから必要以上に自分を「できない奴」だと思い混んでる…とか。
……あり得るな。
魔王と女王とずっと一緒に育って来たら、大抵の奴はそうなる気がする。。。
そんな事も考えてたりしたからさ。
夏休み明け、晴人が切藤と話さなくなった時は心配したけど、実はちょっと安心もしてたんだ。
二人は喧嘩できるんだな。
ちゃんと対等な関係でいるためにぶつかる事ができるんだな。
だから、詳しくは晴人に聞かなかった。
元気が無いのは分かってたけど、まぁ切藤が先に音を上げるだろうなと思ったから。
長くても一ヶ月もすれば仲直りするだろう。
そう、思っていたんだけれどーーー。
『これ、切藤に渡しといて。』
そう言った晴人は至っていつも通りだった。
喧嘩して意地を張ってるって感じじゃない。
なんかこう…「それが当然」のように自分と切藤の間に線を引いていた。
その時、俺はやっと事態の深刻さに気が付いたんだ。
晴人は、切藤と離れようとしてるんじゃないだろうか。
それが本当に晴人の意志ならいい。
魔王は大荒れだろうが、俺は晴人の味方だから。
だけど、何だか胸騒ぎがするーーー。
後にして思うと、こう言う悪い予感って当たるもんだよなぁ。
この二人のギクシャクした関係が、後に起こる大事件の始まりだったんだから。
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啓太は晴人の事を「勇者」と表現してますが、まさに晴人にとっての啓太もそうです。
だから二人は無二の親友。
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