【完結まで残り1話】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 望み通り離れたのに、何でその反応?

16.体育祭

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本日は晴天也。

マジでその言葉がピッタリの日に体育祭当日を迎えた。

俺の今日のミッションは借り物競走と一年が全員参加の大縄で、どっちも午前の部で終わった。

午後の部の今は応援に精を出してるんだけど、総合得点で俺の青組は白組とデッドヒート中だ。

そんな中、クラス対抗リレーが始まろうとしてる。

「頼んだぞ陸部!!」

白組の特進に勝てば一歩リードだ。
うちのクラスの選抜メンバー6人の中には陸部が2人。
因みに啓太も瞬足だからメンバー入りしてる。

「っしゃあ!特進に勝つぞ!!!」

特進に勝てるチャンスなんてこれくらいしかないから、皆んな気合いが凄い。


パーンッ


軽快なピストルの音と共にリレーがスタートした。
第一走者は女子で、そこから男女が交互に100メートルずつ走る。

8クラスがほぼ横一線で第三走者までつながるめちゃめちゃいい勝負だ。
第三走者は…あ、特進は相川さんだ。
あの人運動神経もいいのか…。

第四走者が啓太だから、応援のために俺はスタート地点に移動した。
1周が100mだから、ゴールも同じ場所だ。

紅組と黄色組の女子が僅かにリードしてバトンを渡した。
その次がうちのクラスだ!

「いけー!!啓太!!」

3位でバトンを受け取った啓太のすぐ後に特進クラスが続く。

「きゃあああ♡蓮様~~ッ!!!」

あ。啓太に集中してて気付かなかったけど特進の第四走者、蓮じゃん。
バトンを受け取った途端に女子の大歓声だ。

啓太と蓮はあっと言う間に前を走るクラスを抜き去ると、どちらも一歩も譲らず並走する。

蓮、珍しく超本気だ。
めちゃめちゃかっこいいな。

「啓太!!負けるな!」

クラスメイト達の声にハッと我に返る。

俺、今何考えてた⁉︎

ダメじゃん。俺が応援するのは啓太だろ。
青組の勝利がかかってて、しかも啓太は親友なんだから!

「啓太ー!!頑張れ!!」

俺は間違った思いを払拭するように声を張り上げた。

二人は争ったままどんどんゴール地点に迫って来る。
どっちも全力以上のものを出してるんだろう。
顔が歪んで苦しそうだ。

こんなに必死な顔をした蓮は久しぶりだ。
最後に見たのは小4の頃だったか。
あれも運動会だったな。

補欠で当日いきなりリレーに出る事になった俺は、バトンを落としてしまった。
何とか最後まで走り切ったものの、大幅なロスタイムで最下位は決定的ーー。

かと思いきや、アンカーだった蓮が奇跡の追い上げを見せた。
練習の時とは比較にならない速さで疾走した蓮は、4人抜いてなんと1着でゴールしたのだ。

そしてゴールするやいなや、脇目も振らずに、責任を感じて泣く俺の所に来て言った。

「大丈夫だ!晴!俺が勝ったぞ!」

肩で大きく息をしながら、座り込む俺を立たせてくれたその手を俺は今も覚えてる。


蓮ーーー。


それから7年経った蓮が今、あの頃と同じような顔で走っている。
目が離せなくて、胸が苦しい。


もう、これが体育祭だとか、俺が蓮を応援しちゃダメだとかは頭の中から消えていた。


自分の想いに改めて気付かされる。


声に出すのが許されないなら、せめて心の中だけ。
それなら誰にも聞こえないから、許して欲しい。


蓮!!頑張れ!!


俺には蓮を忘れる事なんて無理だ。


ーーー好きだよ。



俺が心の中で呟くのと、蓮がバトンを渡したのは同時だった。
ほんの一瞬遅れて啓太が続く。


その混戦の中、二人の肩が接触してーー。

蓮と啓太がもつれ合って、激しく転倒した。





●●●
蓮は啓太には死んでも負けたくない笑

































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