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高校生編side晴人 望み通り離れたのに、何でその反応?
12.新学期
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「晴人!おはよ!」
日焼けした啓太の笑顔が眩しい。
今日から新学期の始まりだ。
「おはよ啓太!めっちゃ焼けたな。」
「海行ったからさ!晴人も来れればなぁ。」
夏休み中、俺は遊ぶ気分になれなくて友達の誘いは全部断ってしまった。
ベッドでぼんやり過ごす時間が長くて、父さんも母さんも心配してたと思う。
部活だけちゃんと行ってたのは、集中してると忘れられるから。
それでも時々ふと思い出して泣きそうになる事があった。
失恋って、大変なんだなーーー。
蓮への想いを自覚してしまって、でもその思いが報われないのは既に確定してて。
それどころか疎まれてるとか。
蓮が望んでいたとは言え、離れる事を宣言したのは俺だ。
ただ、あのまま気付かないふりをしてれば、今日も俺は蓮と登校してたんじゃないだろうか。
くだらない話をして笑って、じゃあまた帰りなっていつもみたいに下駄箱で手を振って。
幼馴染として、これからもずっと隣にいる事ができたかもしれない。
そう思って後悔する自分がいる。
だけどさ、それって俺だけが幸せなやつだもんな。
我慢してしょうがなく俺と居る蓮は幸せじゃないじゃん。
ゆっくり距離を取っていくって方法もあったのかもしれないけど、多分それだと俺は蓮と離れられなかったと思う。
だから、これで良かったんだ。
遥から夏休み中にメールが来てたんだけど、返信できてない。
遥は多分だけど今も蓮と付き合ってるーーーんだよな?
俺が蓮を好きだなんて遥に知られちゃいけない。
優しい遥はきっと、俺に対して罪悪感を抱くから。
そう思うと、何てメールを返していいのか分からなくなっちゃうんだよね。
……だから、さ。
俺が蓮への想いを無かった事にするのが一番いいんだよ。
って言うかそれしか方法ないじゃん。
落ち着こうと髪の毛を触る。
夏休み中、この髪型で部活に行くとみんなが微妙な顔したから似合わないのかと思ったんだけど…違った。
俺が誰かに告白して振られたんじゃないかって噂があって、それでイメチェンしたと思われたらしい。
あの日の目撃者が噂の出処だろうけど、マジで勘弁して…。
佐藤なんか随分気を遣って、自分の家で産まれたばっかの子犬の写真とか見せてくれてたし。
犬好きの俺を元気づけようとしてくれたみたい。
相川さんの名前は出てなくてそこだけは心底ホッとする。
俺の全力の否定と啓太の援護(俺もあの場にいたから!って言ってくれた。啓太が来たのは途中からだけど、嘘じゃないもんね。)があって、部活の皆んなはアッサリ納得してくれた。
はぁ。すぐ夏休みに入ったからそんなに広まってない筈だって信じてる…。
俺のイメチェンが悲しい理由じゃ無いって分かると、皆んな凄い褒めてくれたよ。
蓮には似合わないって言われたけど、別にもう関係ない。
俺達は「幼馴染」ではあるけど、もう関わりはなくなったんだ。
高校を卒業する頃にはこう言ってるだろう。
「子供の頃は良く遊んだけど、今は全然話さないよ。」って。
良くある会話じゃない?
幼馴染がずっと一緒にいる方が珍しいんだってことに、俺はようやく気付いた。
だから、きっと大丈夫。
特進クラスとは棟が違うし、カフェスペースで見かけるかもしれないけど、意識しないようにすればいい。
俺は、蓮を忘れるんだ。
「あっ!萱島くーーーん!!」
そんな俺の思いをぶち壊す声と大量の水が降ってきたのは、体育祭を控えたある日の事だった。
●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
晴人の新ヘアスタイルはカルマパーマっぽい感じ。
緩く癖があるのと、髪色が天然のアッシュブラウンなので校則違反せずいい感じに。
蓮はコロコロ変わるけど、この時は黒髪のウルフパーマ。右サイドにだけ一部ブルーのポイントカラー有り。体育祭が青組なので仲良しメンバーとノリで入れました。陽キャ。
日焼けした啓太の笑顔が眩しい。
今日から新学期の始まりだ。
「おはよ啓太!めっちゃ焼けたな。」
「海行ったからさ!晴人も来れればなぁ。」
夏休み中、俺は遊ぶ気分になれなくて友達の誘いは全部断ってしまった。
ベッドでぼんやり過ごす時間が長くて、父さんも母さんも心配してたと思う。
部活だけちゃんと行ってたのは、集中してると忘れられるから。
それでも時々ふと思い出して泣きそうになる事があった。
失恋って、大変なんだなーーー。
蓮への想いを自覚してしまって、でもその思いが報われないのは既に確定してて。
それどころか疎まれてるとか。
蓮が望んでいたとは言え、離れる事を宣言したのは俺だ。
ただ、あのまま気付かないふりをしてれば、今日も俺は蓮と登校してたんじゃないだろうか。
くだらない話をして笑って、じゃあまた帰りなっていつもみたいに下駄箱で手を振って。
幼馴染として、これからもずっと隣にいる事ができたかもしれない。
そう思って後悔する自分がいる。
だけどさ、それって俺だけが幸せなやつだもんな。
我慢してしょうがなく俺と居る蓮は幸せじゃないじゃん。
ゆっくり距離を取っていくって方法もあったのかもしれないけど、多分それだと俺は蓮と離れられなかったと思う。
だから、これで良かったんだ。
遥から夏休み中にメールが来てたんだけど、返信できてない。
遥は多分だけど今も蓮と付き合ってるーーーんだよな?
俺が蓮を好きだなんて遥に知られちゃいけない。
優しい遥はきっと、俺に対して罪悪感を抱くから。
そう思うと、何てメールを返していいのか分からなくなっちゃうんだよね。
……だから、さ。
俺が蓮への想いを無かった事にするのが一番いいんだよ。
って言うかそれしか方法ないじゃん。
落ち着こうと髪の毛を触る。
夏休み中、この髪型で部活に行くとみんなが微妙な顔したから似合わないのかと思ったんだけど…違った。
俺が誰かに告白して振られたんじゃないかって噂があって、それでイメチェンしたと思われたらしい。
あの日の目撃者が噂の出処だろうけど、マジで勘弁して…。
佐藤なんか随分気を遣って、自分の家で産まれたばっかの子犬の写真とか見せてくれてたし。
犬好きの俺を元気づけようとしてくれたみたい。
相川さんの名前は出てなくてそこだけは心底ホッとする。
俺の全力の否定と啓太の援護(俺もあの場にいたから!って言ってくれた。啓太が来たのは途中からだけど、嘘じゃないもんね。)があって、部活の皆んなはアッサリ納得してくれた。
はぁ。すぐ夏休みに入ったからそんなに広まってない筈だって信じてる…。
俺のイメチェンが悲しい理由じゃ無いって分かると、皆んな凄い褒めてくれたよ。
蓮には似合わないって言われたけど、別にもう関係ない。
俺達は「幼馴染」ではあるけど、もう関わりはなくなったんだ。
高校を卒業する頃にはこう言ってるだろう。
「子供の頃は良く遊んだけど、今は全然話さないよ。」って。
良くある会話じゃない?
幼馴染がずっと一緒にいる方が珍しいんだってことに、俺はようやく気付いた。
だから、きっと大丈夫。
特進クラスとは棟が違うし、カフェスペースで見かけるかもしれないけど、意識しないようにすればいい。
俺は、蓮を忘れるんだ。
「あっ!萱島くーーーん!!」
そんな俺の思いをぶち壊す声と大量の水が降ってきたのは、体育祭を控えたある日の事だった。
●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
晴人の新ヘアスタイルはカルマパーマっぽい感じ。
緩く癖があるのと、髪色が天然のアッシュブラウンなので校則違反せずいい感じに。
蓮はコロコロ変わるけど、この時は黒髪のウルフパーマ。右サイドにだけ一部ブルーのポイントカラー有り。体育祭が青組なので仲良しメンバーとノリで入れました。陽キャ。
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