【完結まで残り1話】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 好きって自覚したら失恋したよ

8.最悪な夏祭り

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せっかくだからと、翔君も浴衣を着付けてもらって一緒に夏祭りにきた。

美優さんは仕事があるから来れないけど、後日浴衣を返すことになってる。
因みに、翔君は去年の夏祭りも美優さんに着付けてもらったらしい。
この二人、本当に仲良いんだなぁ。

「晴、ラムネ飲む?」

「うん!」

機嫌良さげに微笑む翔君に、周りの視線は釘付けだ。
185cmの長身に完璧に整った顔のスーパーイケメンが浴衣着てたら、そりゃ見ちゃうよね!
俺は自慢の兄が注目されてるような、何だか誇らしい気持ちになる。

「いやぁ、にしても晴、マジで似合うな。」

俺の顔をしげしげと見ながら翔君が言う。
カットが終わってから翔君は俺のこと褒めっぱなしでちょっとくすぐったい。

「そんなに?今までダサかったから余計?」

どうせ部活で面をつけるからって、いつも適当に床屋で切ってたもんな。

「いやいや、今までは花開く前の蕾みたいな静かな魅力って感じだったんだけど、一気に開花した!
肌の白さも綺麗な目も際立つし、何か…可憐って感じ。」

俺はブフッと吹き出してしまった。

「男に可憐って!」

ケラケラ笑ってると、翔君は本当なのになぁと言いながらラムネの瓶を捨てに行ってくれた。

翔君は俺に甘いからなぁ。
でも、褒めてもらえるのは嬉しい。

ゴミ箱を探しに行った翔君を待ってると、聞き覚えのある声がした。
心臓がドクドクする。

「蓮!金魚掬うべ!」

「いや連れて帰んのダルくね。」

「捕獲前提なの草w」

「お情けで一匹くれるのは小学生までのシステムww」

デニムに白Tのシンプルな格好なのに人目を惹きつけるイケメンは、やっぱり蓮だった。
いつもの特進4人でワイワイ話してるんだけど、めっちゃ華がある。
全員がオシャレでモデル集団みたいだ。

さっきまでの俺だったらキラキラオーラに気遅れしてコッソリその場を離れてたと思う。
蓮の友達に、蓮の邪魔だと言われるのが怖くて。
だけど、今日の俺は魔法にかかってた。

「蓮…。」

思わず呼んだ俺に、蓮がこっちを見る。
その目が驚愕に見開かれた。

「は⁉︎お前何してんの?」

少し焦ったような声で聞かれるけど、何してるって俺もお祭り来たんだけど?

「違ぇわ。一人で何やってんのって聞いてんだよ。」

「あぁ、そう言うこと?一人じゃないよ。
翔君と一緒に来てる。」

「何で翔と…ってかその髪何な訳?」

「これはーーー」
「あっれー⁉︎萱島君じゃん!!」

翔君の友達の美容師さんがやってくれて、と言おうとした言葉は遮られた。
蓮と俺の間に入って来たのは、特進クラスの黒崎君だ。
金髪に大量のピアスが特徴のイケメン。

「え、何か雰囲気違うじゃん!
前髪短くなったから目がしっかり出て…って言うかさ、カラコン?その色。」

黒崎君が俺の目を覗き込んで来る。

「いや、入れてないよ…。」

クウォーターって言うと「ぽくない!」って騒がれて面倒なんだよな。
助けを求めて蓮をチラッと見ると、蓮の後ろにいる他の二人と目が合った。
その視線は間違いなく俺に向いている。

「あれだろ?蓮の幼馴染って。
ーーーーじゃん!ーー俺でもーーーーだわ!」

「いやーーーーじゃね?ーーのーーーから。
なんかーーーだわ。」

良くは聞こえないけど、俺の話しをしているのは間違いない。

ゲラゲラ笑ってるから、いい内容ではないだろう。
揶揄われているような空気を感じる。
非常に居た堪れない…。

何よりも、聞こえてるはずの蓮がそれに反応しない事にショックを受けた。
「やめろよ」の一言すら言ってくれない。
俺を庇ってくれないって事は、少なからず彼らに同調してるってことで…。

スゥッと血の気が引いて手の先が冷たくなる。

『蓮は義務感で構ってあげてるって言ってたんだから!』


思い出したくない言葉が頭の中で反響して、手を強く握り込んだ。






































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