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中学生編 side晴人
7.立ち位置
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「は?」
「イェーイ!スペシャルゲストの晴人くんでーす!!」
「ど、どーもー…。」
不機嫌な蓮、テンション高い翔君、目が死んでる俺がリビングに大集合した。
蓮が、ソファに座った翔君の足の間に座っている俺を見ている。
「そこで何してんだよ。」
うっ、やっぱ怒ってる。
そりゃ二ヶ月も無視してたんだもんな。
「だって一緒にピザ選びたいじゃーん?
昔は良くこーやって絵本読んでやったよな。」
そう言って、後ろからオレを抱えるようにしてスマホを見せてくれる翔君に、懐かしい気持ちになる。
「翔君、俺コレがいい!」
「よーしよしよし。サイドメニューは?ポテト食べる?」
「うん!」
俺の頭をわしゃわしゃする翔君はちょっとムツゴロウさん化してるけど昔から優しいんだよな。
「おーおー、晴人は可愛いなぁ。
サイズ感も丁度いいし何かいい匂いす…ッテェ!」
蓮に思いっきり頭を叩かれた翔君が声を上げる。
「お前、いい加減にしろよ…。」
「ヤキモチかー⁉︎お前だって可愛い弟だぞ♡」
不機嫌MAXの蓮に超明るく返せる翔君は流石お兄ちゃんだわ。
蓮が二発目を放とうとした時、スマホの着信音が鳴った。
「あ、チョイ待ち!電話だわ。もしもーし!」
待って!!行かないでぇ!!
俺の願いも虚しく部屋の外に出て行く翔君。
二人っきりになる、俺と蓮。
き、気まずい…。
「……お前さ。」
「へいっ⁉︎」
地を這うような蓮の声。
裏返る俺の声。
「あんま翔とベタベタすんじゃねぇ。」
「…へい??」
蓮は俺から視線を外して首の後ろに手を当てている。
照れたようなその仕草に、ピンと来た。
そうか、久々に帰って来た翔君のこと俺が独占してたらいい気しないよな。
ごめんな、大事な兄弟の時間に乱入しちゃって。
「蓮、ごめん。」
俺が言うと蓮が訝しげにこっちを見た。
翔君の件だけじゃなくて、謝らなければ。
「ずっと無視してごめん。
ほら、俺もちょっと混乱してて…。」
まさか蓮が俺のこと好きかもなんて勘違いしそうになったとは言えない。
「でも、俺はこれからも蓮とは仲良くやっていきたいんだよ!俺達、幼馴染だろ?」
蓮と遥が恋人になっても、俺が2人の幼馴染であることには変わりない。
「だから、あのことは全部忘れる!!
蓮も忘れろ!!」
遥と恋人になった今、蓮にとっても黒歴史だろうからな。お互いのためにもそれが一番だ。
「晴…。俺は…」「そうしよう!!な⁉︎」
蓮は何か言いたそうだけど、ここで謝罪されて、遥との交際宣言されるなんて嫌だ。
無理無理、今日の今日ではまだ聞きたくない。
「てかさ、蓮はピザどれがいい⁉︎
翔君の奢りらしいから好きなの頼もうぜ!」
強引に会話を逸らした所で、翔君が戻って来た。
「決まったかー?頼むぞー!!」
そうして、ピザパーティーは無事開催された。
蓮とも多少ぎこちないながらも普通に会話できたし、仲直り成功だ。
そう、これでいいんだ。
これでーーーーー。
仲直りしてから俺と蓮は順調だ。
うん。今まで通り。
不思議なのは蓮と遥にも変わった点が見受けられないことだ。
二人から交際報告はない。
付き合ってるらしいって噂も聞かない。
注意深く観察してみても、甘い雰囲気とか一切無いんだよなぁ。
強いて言うなら、少し会話は増えてる気がする。
でも、登下校も蓮は相変わらず俺と一緒だし、休み時間も俺の所に来る。
これって俺が一人にならないように気を使われてるのかな。
気にしないで遥の所行けよって言うべきなのか?
恋愛経験ゼロの俺には正解が分からなくて困ってる。
そんな状態が暫く続いたある日の夜、俺がコンビニに行こうとすると声をかけられた。
「晴?」
「あ、翔君!」
「何か前にもこんな事無かったか?」
あったあった!
蓮と仲直りした日ね。
「なんだ、家いたならお前も来れば良かったのに。」
「え?」
「さっきまで遥が家来てたんだよ。蓮が友達がノート借りに来るって言うから、代わりに俺が送って来たとこ。」
「そうなんだ。…遥って最近良く翔君家いるの?」
「んー、たまにしか帰んない俺が必ず会うから結構来てんじゃねぇ?」
そしてハッとした顔をした。
「え、もしかして喧嘩?そんで晴人だけ呼ばれてないの?」
「違うよ。喧嘩なんかしてないって!
俺は…その、最後だから部活頑張りたくて。」
「あー!夏の大会終わったら引退だもんな。
悔いのないように頑張れよ!」
笑顔で翔君と別れてコンビニに向かう。
そっか。蓮と遥は放課後に家で会ってたのか…。
どうして頑なに隠したがるのか分からないけど、何か二人の事情があるのかもしれない。
寂しいけど、首突っ込まない方がいいよな。
お邪魔虫にならないようにだけ気を付けよう。
来週から夏休みだけど、あんまり蓮のこと遊びに誘わないようにして…。
毎年三人で行ってた夏祭りも今年はパスだ。
二人は恋人で、俺はただの幼馴染。
どっちが優先かなんて一目瞭然だろ。
大丈夫、俺はちゃんと分かってるからーーー。
「イェーイ!スペシャルゲストの晴人くんでーす!!」
「ど、どーもー…。」
不機嫌な蓮、テンション高い翔君、目が死んでる俺がリビングに大集合した。
蓮が、ソファに座った翔君の足の間に座っている俺を見ている。
「そこで何してんだよ。」
うっ、やっぱ怒ってる。
そりゃ二ヶ月も無視してたんだもんな。
「だって一緒にピザ選びたいじゃーん?
昔は良くこーやって絵本読んでやったよな。」
そう言って、後ろからオレを抱えるようにしてスマホを見せてくれる翔君に、懐かしい気持ちになる。
「翔君、俺コレがいい!」
「よーしよしよし。サイドメニューは?ポテト食べる?」
「うん!」
俺の頭をわしゃわしゃする翔君はちょっとムツゴロウさん化してるけど昔から優しいんだよな。
「おーおー、晴人は可愛いなぁ。
サイズ感も丁度いいし何かいい匂いす…ッテェ!」
蓮に思いっきり頭を叩かれた翔君が声を上げる。
「お前、いい加減にしろよ…。」
「ヤキモチかー⁉︎お前だって可愛い弟だぞ♡」
不機嫌MAXの蓮に超明るく返せる翔君は流石お兄ちゃんだわ。
蓮が二発目を放とうとした時、スマホの着信音が鳴った。
「あ、チョイ待ち!電話だわ。もしもーし!」
待って!!行かないでぇ!!
俺の願いも虚しく部屋の外に出て行く翔君。
二人っきりになる、俺と蓮。
き、気まずい…。
「……お前さ。」
「へいっ⁉︎」
地を這うような蓮の声。
裏返る俺の声。
「あんま翔とベタベタすんじゃねぇ。」
「…へい??」
蓮は俺から視線を外して首の後ろに手を当てている。
照れたようなその仕草に、ピンと来た。
そうか、久々に帰って来た翔君のこと俺が独占してたらいい気しないよな。
ごめんな、大事な兄弟の時間に乱入しちゃって。
「蓮、ごめん。」
俺が言うと蓮が訝しげにこっちを見た。
翔君の件だけじゃなくて、謝らなければ。
「ずっと無視してごめん。
ほら、俺もちょっと混乱してて…。」
まさか蓮が俺のこと好きかもなんて勘違いしそうになったとは言えない。
「でも、俺はこれからも蓮とは仲良くやっていきたいんだよ!俺達、幼馴染だろ?」
蓮と遥が恋人になっても、俺が2人の幼馴染であることには変わりない。
「だから、あのことは全部忘れる!!
蓮も忘れろ!!」
遥と恋人になった今、蓮にとっても黒歴史だろうからな。お互いのためにもそれが一番だ。
「晴…。俺は…」「そうしよう!!な⁉︎」
蓮は何か言いたそうだけど、ここで謝罪されて、遥との交際宣言されるなんて嫌だ。
無理無理、今日の今日ではまだ聞きたくない。
「てかさ、蓮はピザどれがいい⁉︎
翔君の奢りらしいから好きなの頼もうぜ!」
強引に会話を逸らした所で、翔君が戻って来た。
「決まったかー?頼むぞー!!」
そうして、ピザパーティーは無事開催された。
蓮とも多少ぎこちないながらも普通に会話できたし、仲直り成功だ。
そう、これでいいんだ。
これでーーーーー。
仲直りしてから俺と蓮は順調だ。
うん。今まで通り。
不思議なのは蓮と遥にも変わった点が見受けられないことだ。
二人から交際報告はない。
付き合ってるらしいって噂も聞かない。
注意深く観察してみても、甘い雰囲気とか一切無いんだよなぁ。
強いて言うなら、少し会話は増えてる気がする。
でも、登下校も蓮は相変わらず俺と一緒だし、休み時間も俺の所に来る。
これって俺が一人にならないように気を使われてるのかな。
気にしないで遥の所行けよって言うべきなのか?
恋愛経験ゼロの俺には正解が分からなくて困ってる。
そんな状態が暫く続いたある日の夜、俺がコンビニに行こうとすると声をかけられた。
「晴?」
「あ、翔君!」
「何か前にもこんな事無かったか?」
あったあった!
蓮と仲直りした日ね。
「なんだ、家いたならお前も来れば良かったのに。」
「え?」
「さっきまで遥が家来てたんだよ。蓮が友達がノート借りに来るって言うから、代わりに俺が送って来たとこ。」
「そうなんだ。…遥って最近良く翔君家いるの?」
「んー、たまにしか帰んない俺が必ず会うから結構来てんじゃねぇ?」
そしてハッとした顔をした。
「え、もしかして喧嘩?そんで晴人だけ呼ばれてないの?」
「違うよ。喧嘩なんかしてないって!
俺は…その、最後だから部活頑張りたくて。」
「あー!夏の大会終わったら引退だもんな。
悔いのないように頑張れよ!」
笑顔で翔君と別れてコンビニに向かう。
そっか。蓮と遥は放課後に家で会ってたのか…。
どうして頑なに隠したがるのか分からないけど、何か二人の事情があるのかもしれない。
寂しいけど、首突っ込まない方がいいよな。
お邪魔虫にならないようにだけ気を付けよう。
来週から夏休みだけど、あんまり蓮のこと遊びに誘わないようにして…。
毎年三人で行ってた夏祭りも今年はパスだ。
二人は恋人で、俺はただの幼馴染。
どっちが優先かなんて一目瞭然だろ。
大丈夫、俺はちゃんと分かってるからーーー。
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