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石男
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「っつ!? 嬢ちゃん!」
「ええ! わかっています!」
こんな大衆の面前で、しかも相手は見るからに戦闘に特化した能力者。ここで暴れられては周囲の人間に危害が及んでしまう。
ならばここはルーカスが相手の足止めをしている間にサポート役であるエマが市民達を避難させるのが定石。
短い言葉の応酬だけでやるべき事を把握したエマは声を張り上げて避難の誘導を開始した。
「悪いね、気を遣って貰って。・・・まあ別に一般人に危害を加えるつもりは無かったんだがな」
シレッとそんな事をいうクラウスにルーカスはシニカルな笑みを浮かべながら背負っていたアサルトライフルを構えると警告を発した。
「一応警告しておいてやる。俺はヒーローの中で最も手加減が苦手な男だ、殺しはしないつもりだが大怪我を負うことは間違いないだろう・・・投降する気はあるか? 今なら無傷で済むぜ?」
「さみしいこと言うなよヒーロー。言っただろ? 俺は喧嘩をしに来たんだよ!」
そう言って駆け出すクラウス。
重い石の鎧を身に付けているだけあってその速度はそれほど速く無い・・・否、全身に石を纏って普通の速度で動けるだけ凄まじいというべきか。
ルーカスは短く息を吐いてライフルの引き金に指をかけた。
照準を合わせ、一気に引き金を引き絞る。
乾いた破裂音と供に連続して放たれる銃弾の雨。それはルーカスの正確な照準能力によって全弾がクラウスの身体に命中する。
「ハッハッハ! 無駄無駄ぁ!」
しかし当のクラウスはそんな銃撃は意に介さないとばかりにスピードを落とさずに突っ込んでくる。着弾した弾は石の鎧をわずかに削るモノの本体には届いていない。
一気に距離を詰めたクラウスがその腕を振るう。
動作が丸わかりの素人の拳。正式に訓練を積んでいるルーカスに通じる筈も無く、しゃがんで拳を空振りさせたルーカスは銃を地面に置いて伸びきっているクラウスの腕を掴み、そのまま担ぎ上げるようにして投げ飛ばした。
フワリと宙に浮いたクラウスは重力に引っ張られて勢いよく地面に墜落する。石の鎧とコンクリで固められた道路がぶつかって重い音が響き渡った。
ルーカスは銃を拾い上げて一旦距離を取る。
銃を構えながら肩で大きく息を切らしていた。
(ヤバいなコイツ・・・さっき投げ飛ばした時、かなりの重量を感じた・・・あの石の鎧、相当な厚みがあるな)
そっと周囲の状況を確認する。
とっさの出来事で混乱している市民を避難させるのは時間が掛かる。完全に避難が終わるまではもうしばらくかかりそうだ。
(やっかいだな・・・俺の本気は周囲に被害が出すぎる)
ならば市民の避難が終わるまで真正面からこの石の怪物と対峙しなくてはならないという事だろう。ルーカスは気を入れ直して銃を構えた。
「あーあ、いいのかね気軽に地面を破壊しちまって」
ひょいと身軽に起き上がったクラウスがそんな事を言った。
見るとクラウスが投げ飛ばされたコンクリートの道路が幾分か砕かれており、そこいらにコンクリートの破片が散らばっていた。
「何を言っているのかわからねえって顔してるな? いいぜ、気分が良いから特別に教えてやるよ」
そしてクラウスは再び能力を発動する。
地面に散らばっていたコンクリートの破片がフワリと宙に浮き、クラウスの身体に引っ張られるようにして石の鎧に組み込まれた。
「注意しろよヒーロー。周囲に瓦礫が出来れば出来るほど俺は強くなってくぜ?」
「ええ! わかっています!」
こんな大衆の面前で、しかも相手は見るからに戦闘に特化した能力者。ここで暴れられては周囲の人間に危害が及んでしまう。
ならばここはルーカスが相手の足止めをしている間にサポート役であるエマが市民達を避難させるのが定石。
短い言葉の応酬だけでやるべき事を把握したエマは声を張り上げて避難の誘導を開始した。
「悪いね、気を遣って貰って。・・・まあ別に一般人に危害を加えるつもりは無かったんだがな」
シレッとそんな事をいうクラウスにルーカスはシニカルな笑みを浮かべながら背負っていたアサルトライフルを構えると警告を発した。
「一応警告しておいてやる。俺はヒーローの中で最も手加減が苦手な男だ、殺しはしないつもりだが大怪我を負うことは間違いないだろう・・・投降する気はあるか? 今なら無傷で済むぜ?」
「さみしいこと言うなよヒーロー。言っただろ? 俺は喧嘩をしに来たんだよ!」
そう言って駆け出すクラウス。
重い石の鎧を身に付けているだけあってその速度はそれほど速く無い・・・否、全身に石を纏って普通の速度で動けるだけ凄まじいというべきか。
ルーカスは短く息を吐いてライフルの引き金に指をかけた。
照準を合わせ、一気に引き金を引き絞る。
乾いた破裂音と供に連続して放たれる銃弾の雨。それはルーカスの正確な照準能力によって全弾がクラウスの身体に命中する。
「ハッハッハ! 無駄無駄ぁ!」
しかし当のクラウスはそんな銃撃は意に介さないとばかりにスピードを落とさずに突っ込んでくる。着弾した弾は石の鎧をわずかに削るモノの本体には届いていない。
一気に距離を詰めたクラウスがその腕を振るう。
動作が丸わかりの素人の拳。正式に訓練を積んでいるルーカスに通じる筈も無く、しゃがんで拳を空振りさせたルーカスは銃を地面に置いて伸びきっているクラウスの腕を掴み、そのまま担ぎ上げるようにして投げ飛ばした。
フワリと宙に浮いたクラウスは重力に引っ張られて勢いよく地面に墜落する。石の鎧とコンクリで固められた道路がぶつかって重い音が響き渡った。
ルーカスは銃を拾い上げて一旦距離を取る。
銃を構えながら肩で大きく息を切らしていた。
(ヤバいなコイツ・・・さっき投げ飛ばした時、かなりの重量を感じた・・・あの石の鎧、相当な厚みがあるな)
そっと周囲の状況を確認する。
とっさの出来事で混乱している市民を避難させるのは時間が掛かる。完全に避難が終わるまではもうしばらくかかりそうだ。
(やっかいだな・・・俺の本気は周囲に被害が出すぎる)
ならば市民の避難が終わるまで真正面からこの石の怪物と対峙しなくてはならないという事だろう。ルーカスは気を入れ直して銃を構えた。
「あーあ、いいのかね気軽に地面を破壊しちまって」
ひょいと身軽に起き上がったクラウスがそんな事を言った。
見るとクラウスが投げ飛ばされたコンクリートの道路が幾分か砕かれており、そこいらにコンクリートの破片が散らばっていた。
「何を言っているのかわからねえって顔してるな? いいぜ、気分が良いから特別に教えてやるよ」
そしてクラウスは再び能力を発動する。
地面に散らばっていたコンクリートの破片がフワリと宙に浮き、クラウスの身体に引っ張られるようにして石の鎧に組み込まれた。
「注意しろよヒーロー。周囲に瓦礫が出来れば出来るほど俺は強くなってくぜ?」
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