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助け合い

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 デイヴィッドとの会談を終えたジョセフは迎えに来た黒塗りの高級車に乗り込んだ。




 上等な革張りの座席に座ると大きく息を吐き出す。




 まるで体内に溜まっていた淀んだものを吐き出すかのように




 長く




 長く




 そしてゆっくりと息を吸い込みながら、ジョセフは車に乗せてあったバッグから何かを手探りで探して取り出した。




 それは安物のハロウィンマスク。




 手慣れた手つきでマスクを被るジョセフ。二三度深呼吸をしてやっと落ちついたと言わんばかりに首を大きく回した。




「・・・ああ、待たせたね。車を出してくれて構わないよ」




 そう言われて頷いたのは運転席に座る黒いフード付きのパーカーを付けた男・・・ソードだ。




 エンジンのかかる音がして車はゆっくりと全身を始めた。社内にしばらく無言の空気が流れる。そしてソードがポツリと呟いた。




「どうでしたか今回の会談は」




「そうだね、おおむね理想的な展開になったと言えるだろう・・・上手くいきすぎて少し怖いくらいだね」




 そしてジョセフはクックと静かに笑うと続きの言葉を口にする。




「たぶんここまで上手くいった理由はあの狼男のおかげかな」




 街の平和の為にと警察庁の長官を説得して自分の会社とのつながりを強くする企みは昔から計画していた。




 しかし今回とんとん拍子に話が進んだのは先日、ウルフがジョセフのビルを襲撃した事件があったからだろう。




 大手の警備会社ですら襲撃されたという事実がジョセフの ”街の平和のために”という言い分に説得力を持たせたのだ。




「そういう意味ではむしろ私たちはあの狼男に感謝するべきかな?」




 冗談交じりにそう呟いたジョセフだが、ふと運転席にいるソードが全く笑っていない事に気がついた。




「おっと失言だったねすまない。あの男のせいで我が社が受けた被害は計り知れないし・・・パワーの件もある」




 高層ビルの上層階から突き落とされたパワー。




 たぐいまれなる頑丈な身体のおかげで一命は取り留めたのだが致命傷を負っており、現在は組織の医療施設で治療を行っている。




「パワーが戦線に復帰できるのは少し先の話になるでしょう・・・それで、セルジオの他に能力者は集めますか?」




 ソードの質問にジョセフはマスクの下で笑みを浮かべた。




「一人心当たりがあるんだが・・・ソード、君は ”石男” と呼ばれる能力者の噂を聞いたことがあるかな?」










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