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ターゲット
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「久々だなリーダー。俺たち二人で組むなんて一年ぶりくらいじぇねえか?」
全身黒色のプロテクターに身を包んだヒーロー ”ガンマスター”ことルーカスは狙撃ポイントでスナイパーライフルのスコープを覗き込みながら嬉しそうに無線機に向かって話しかけた。
無線機から返ってきたのは腹の底に響くようなバリトンボイス。
今回の任務でルーカスとバディを組んでいるヒーロー ”ミスターT” ことジェームズの声だ。
「確かにな。ニンジャボーイが来てからはサポートは彼に任せっきりだったから」
ケイゴは何故か表だっての活躍より裏方の仕事を好んだ。
そしてサポートという仕事においては彼の活躍は他の二人のベテランヒーローをしのぐほどのポテンシャルを持っていたのだ。
「アイツのサポートが上手すぎるんだよな。まあ安心してくれて良いぜリーダー。俺もしばらくやっていなかったとは言え、サポートってやつは苦手な部類じゃねえからな」
「・・・よろしく頼むぞガンマスター。恥ずかしい話、私の能力はピーキー過ぎてサポートなんて出来ないからな」
「適材適所って奴だよ。その変わりリーダーに近接戦闘で勝てる奴なんてほぼいねえだろ?」
「っふ、そう言ってもらえると助かるな」
「事実を言ったまでさ・・・っと、リーダー。どうやらターゲットが来るみたいだぜ」
「了解した。私も所定の位置につこう」
今回のターゲットは麻薬王と呼ばれるやり手の麻薬密売人、セルジオ・バレンタインという男だ。
匿名の情報提供があり、今日この場所でセルジオが麻薬の取引を行う事がわかった。
今回の任務は警察と共同戦線となる。
通常なら警察だけで行う仕事なのだが、セルジオは攻撃的な超能力を有しているという噂がある。もし警察で対処できない時の為にヒーローに要請が入ったのだ。
場所は古びた廃工場。
いかにもといった雰囲気の場所に黒塗りの高級車が数台止まった。
中から出てきたのは黒服のサングラスをかけた強面の男達とそいつらに囲まれるようにしてゆっくりと下車した男が一人。
その男は髪を派手な紫色に染めており、目元には炎をかたどったタトゥーを彫り込んでいる。身長は高く、筋肉もほどよくついているようでがっしりとした体型をしていた。
そして何より目を引くのがそのスーツだ。
おおよそまともな人間がつけないだろうと思われるような目が痛いほどキラキラと輝く金色のスーツ・・・足下には趣味の悪い蛇皮の靴、そのゴツゴツとした手にはドクロを模した銀の指輪がはまっている。
彼こそが麻薬王、セルジオ・バレンタイン。
セルジオは不敵な笑みを浮かべて大股で廃工場の中へと入っていく。
「よおブラザー! 待たせてしまったかな?」
陽気な声でセルジオが声をかけた相手は不機嫌な顔をした身長の小さな小太りの男。ピシリと決まった黒のスーツを身につけており、顔に深々とついた切り傷が男が一般人では無い事を悟らせる。
「・・・一時間の遅刻だセルジオ。ブツがブツなんだ、あまり時間をかけたくないのだがね」
不機嫌そうな男の言葉にセルジオは満面の笑みを浮かべて両手を大きく広げると男を抱きしめた。
「それはすまない事をしたブラザー。今回は少し割引しておくから許してくれよ」
「・・・はあ、まあいいだろう。それと気安く抱きつくなセルジオ」
名残惜しそうに男から離れたセルジオは側にいた黒服の一人に指示を出す。頷いた黒服の男はトランクケースを取り出すとソレを開けて中身を小太りの男に確認させる。
その中には透明な小袋に小分けにされた白い粉の姿が・・・。
「手を上げろ! 警察だ!」
その瞬間、廃工場の周囲に待機していた大量の警察がどっとなだれ込んでくる。あっという間に取り囲まれたセルジオ達はゆっくりと周囲を見回すと怠そうな声でポツリと呟いた。
「・・・あー、誰だ? ここの場所漏らした馬鹿は?」
全身黒色のプロテクターに身を包んだヒーロー ”ガンマスター”ことルーカスは狙撃ポイントでスナイパーライフルのスコープを覗き込みながら嬉しそうに無線機に向かって話しかけた。
無線機から返ってきたのは腹の底に響くようなバリトンボイス。
今回の任務でルーカスとバディを組んでいるヒーロー ”ミスターT” ことジェームズの声だ。
「確かにな。ニンジャボーイが来てからはサポートは彼に任せっきりだったから」
ケイゴは何故か表だっての活躍より裏方の仕事を好んだ。
そしてサポートという仕事においては彼の活躍は他の二人のベテランヒーローをしのぐほどのポテンシャルを持っていたのだ。
「アイツのサポートが上手すぎるんだよな。まあ安心してくれて良いぜリーダー。俺もしばらくやっていなかったとは言え、サポートってやつは苦手な部類じゃねえからな」
「・・・よろしく頼むぞガンマスター。恥ずかしい話、私の能力はピーキー過ぎてサポートなんて出来ないからな」
「適材適所って奴だよ。その変わりリーダーに近接戦闘で勝てる奴なんてほぼいねえだろ?」
「っふ、そう言ってもらえると助かるな」
「事実を言ったまでさ・・・っと、リーダー。どうやらターゲットが来るみたいだぜ」
「了解した。私も所定の位置につこう」
今回のターゲットは麻薬王と呼ばれるやり手の麻薬密売人、セルジオ・バレンタインという男だ。
匿名の情報提供があり、今日この場所でセルジオが麻薬の取引を行う事がわかった。
今回の任務は警察と共同戦線となる。
通常なら警察だけで行う仕事なのだが、セルジオは攻撃的な超能力を有しているという噂がある。もし警察で対処できない時の為にヒーローに要請が入ったのだ。
場所は古びた廃工場。
いかにもといった雰囲気の場所に黒塗りの高級車が数台止まった。
中から出てきたのは黒服のサングラスをかけた強面の男達とそいつらに囲まれるようにしてゆっくりと下車した男が一人。
その男は髪を派手な紫色に染めており、目元には炎をかたどったタトゥーを彫り込んでいる。身長は高く、筋肉もほどよくついているようでがっしりとした体型をしていた。
そして何より目を引くのがそのスーツだ。
おおよそまともな人間がつけないだろうと思われるような目が痛いほどキラキラと輝く金色のスーツ・・・足下には趣味の悪い蛇皮の靴、そのゴツゴツとした手にはドクロを模した銀の指輪がはまっている。
彼こそが麻薬王、セルジオ・バレンタイン。
セルジオは不敵な笑みを浮かべて大股で廃工場の中へと入っていく。
「よおブラザー! 待たせてしまったかな?」
陽気な声でセルジオが声をかけた相手は不機嫌な顔をした身長の小さな小太りの男。ピシリと決まった黒のスーツを身につけており、顔に深々とついた切り傷が男が一般人では無い事を悟らせる。
「・・・一時間の遅刻だセルジオ。ブツがブツなんだ、あまり時間をかけたくないのだがね」
不機嫌そうな男の言葉にセルジオは満面の笑みを浮かべて両手を大きく広げると男を抱きしめた。
「それはすまない事をしたブラザー。今回は少し割引しておくから許してくれよ」
「・・・はあ、まあいいだろう。それと気安く抱きつくなセルジオ」
名残惜しそうに男から離れたセルジオは側にいた黒服の一人に指示を出す。頷いた黒服の男はトランクケースを取り出すとソレを開けて中身を小太りの男に確認させる。
その中には透明な小袋に小分けにされた白い粉の姿が・・・。
「手を上げろ! 警察だ!」
その瞬間、廃工場の周囲に待機していた大量の警察がどっとなだれ込んでくる。あっという間に取り囲まれたセルジオ達はゆっくりと周囲を見回すと怠そうな声でポツリと呟いた。
「・・・あー、誰だ? ここの場所漏らした馬鹿は?」
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