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囚われのアクア
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「うっ」
どれほどの時間が経過しただろうか、それすら分からないほど深い眠りからアクアは目が覚めた。
腹部に強い衝撃を受けたためにまだ痛みが残っている。
ようやく痛みの痺れがとれてきて落ち着いたので周囲を見渡す。
「ここは何処」
視界に入ってきたのは何処かの部屋だった。
周囲は壁に囲まれているが、打ちっぱなしの壁では無くきちんと壁紙がしてあり、家具も置いてあるどこか高級感のある部屋だった。だが窓が無く、唯一外へ通じるのはドアだけのようだった。
起き上がろうとして、床が柔らかいことに気がつく。
よく見るとシミ一つ無いシーツに包まれた柔らかいベッドの上だった。
「私、ここで寝ていたの」
紛れもなく監禁だが、何処か大切に扱われているような感じでアクアは状況と待遇のギャップに戸惑う。
「どうしてこんなことに」
分析しようとしたとき、外に通じる唯一のドアが開いた。
「&%(’&))=~|`」
「! 怪人!」
入ってきたのは先ほどの怪人二人組だった。
「#%&$)~$%&&%」
大柄な怪人は相変わらず理解不能な言葉で話しかけてくる。
「今度はやられは、うっ」
アクアは咄嗟に構えようとするが腹部が再び痛み出したのとエネルギー不足でベッドの上に倒れてしまった。
強いセーラー美少女戦士だがエネルギーが切れると身体を動かすこともままならない。
なんとかエネルギーを補給したい。食事をするだけで良いのだが、周りを見渡しても食事はない。
そこへ大柄な鎧の怪人がやってきてアクアに手を伸ばす。
「よ、寄らないで」
酷い事をされると思ったアクアは拒絶する。
しかし、怪人は手を伸ばすのを止めず、アクアの身体を抱き上げる。
「い、いや!」
身体に触れられてアクアは悲鳴を上げるが、その手つきは強いが痛くも無く、強引でも無く、ただただアクアを優しく抱き起こしただけだった。
「……え?」
予想外の動きにアクアはさらに混乱する。
身体に触れている部分から伝わる手や指の形もゴツゴツとしたものではなく、体格からは想像できないほど細く、長く繊細で柔らかく、暖かかった。
その感触をアクアが堪能し意識が朦朧とした。そこへ怪人が何かの液体が入った小瓶を口に持ってきて飲ませた。
「!」
驚いて思わず飲み込んでしまった。慌てて吐き出そうとするが、その前に身体の奥から力がわいてくる感じがした。
「え、エネルギーが戻っている」
どうやらRPGゲームに出てくるポーションのような物らしい。
先ほどの戦闘で消耗したアクアの身体の隅々にまでエネルギーを行き渡らせ力を与えてくれる。
身体に力が満ちたのをアクアが実感した時、お腹が減ったように感じた。
どれほど時間が経ったか分からないが少なくとも戦闘で体力を消耗しお腹が減ったのは確かだった。
そこへ小太りの怪人が大皿を持ってやってきた。
皿の上には串刺しにされた焼かれた肉と、食べやすく切り分けられた野菜と果物がのっかっていた。
小太りの怪人は食べ物ののった皿を大柄な怪人に渡し、大柄な怪人は、その皿をアクアに差し出した。
「私の為に?」
アクアが自分の手を胸に当てて尋ねると怪人は頷いた。
毒が入っているかもしれないと思ったが、食料の調達方法が無い状況では、食べる以外に無い。
アクアは、皿の上の串肉を手に取り食べた。
「……美味しい」
適度に焼かれており肉汁が豊富で表面に塗られたタレが良く合う。
野菜も食べやすくみずみずしくて美味しい。
果物はほどよく甘く、フレッシュでアクアの好みに合っていた。
(この人達いい人かも)
生徒を電撃で失神させ、自分に問答無用とばかりに戦闘を仕掛けてきた怪人だったが、食事を提供されたことでアクアは警戒心が少し解けた。
「ふう」
量は少なかったが皿の上の食事を全て平らげたアクアは満足した。
その様子を怪人に見られていることに気がついてアクアは顔を真っ赤に染めた。
敵対している怪人の前で無防備に食事をしてその様子を見られたことに言いようのない羞恥心が中からこみ上げてくる。
同時に食事を与えてくれた恩のような感情もある。
「……あ、ありがとう」
恥ずかしそうに頬を紅く染めてアクアはお礼を言った。
怪人は人に危害を加え戦い、自分を監禁してきた相手だ。
だが、食事のお礼を言わないほどアクアは無礼では無かった。
何も言わないとこの怪人と同じような無頼者になってしまうので、お礼はきちんと言おうという気持ちだった。
その様子を見て大柄な怪人は満足に頷くとアクアの方を向いて口を開いた。
「オイメス、オレノセイドレイニナレ、オマエハオレノアナダ」
どれほどの時間が経過しただろうか、それすら分からないほど深い眠りからアクアは目が覚めた。
腹部に強い衝撃を受けたためにまだ痛みが残っている。
ようやく痛みの痺れがとれてきて落ち着いたので周囲を見渡す。
「ここは何処」
視界に入ってきたのは何処かの部屋だった。
周囲は壁に囲まれているが、打ちっぱなしの壁では無くきちんと壁紙がしてあり、家具も置いてあるどこか高級感のある部屋だった。だが窓が無く、唯一外へ通じるのはドアだけのようだった。
起き上がろうとして、床が柔らかいことに気がつく。
よく見るとシミ一つ無いシーツに包まれた柔らかいベッドの上だった。
「私、ここで寝ていたの」
紛れもなく監禁だが、何処か大切に扱われているような感じでアクアは状況と待遇のギャップに戸惑う。
「どうしてこんなことに」
分析しようとしたとき、外に通じる唯一のドアが開いた。
「&%(’&))=~|`」
「! 怪人!」
入ってきたのは先ほどの怪人二人組だった。
「#%&$)~$%&&%」
大柄な怪人は相変わらず理解不能な言葉で話しかけてくる。
「今度はやられは、うっ」
アクアは咄嗟に構えようとするが腹部が再び痛み出したのとエネルギー不足でベッドの上に倒れてしまった。
強いセーラー美少女戦士だがエネルギーが切れると身体を動かすこともままならない。
なんとかエネルギーを補給したい。食事をするだけで良いのだが、周りを見渡しても食事はない。
そこへ大柄な鎧の怪人がやってきてアクアに手を伸ばす。
「よ、寄らないで」
酷い事をされると思ったアクアは拒絶する。
しかし、怪人は手を伸ばすのを止めず、アクアの身体を抱き上げる。
「い、いや!」
身体に触れられてアクアは悲鳴を上げるが、その手つきは強いが痛くも無く、強引でも無く、ただただアクアを優しく抱き起こしただけだった。
「……え?」
予想外の動きにアクアはさらに混乱する。
身体に触れている部分から伝わる手や指の形もゴツゴツとしたものではなく、体格からは想像できないほど細く、長く繊細で柔らかく、暖かかった。
その感触をアクアが堪能し意識が朦朧とした。そこへ怪人が何かの液体が入った小瓶を口に持ってきて飲ませた。
「!」
驚いて思わず飲み込んでしまった。慌てて吐き出そうとするが、その前に身体の奥から力がわいてくる感じがした。
「え、エネルギーが戻っている」
どうやらRPGゲームに出てくるポーションのような物らしい。
先ほどの戦闘で消耗したアクアの身体の隅々にまでエネルギーを行き渡らせ力を与えてくれる。
身体に力が満ちたのをアクアが実感した時、お腹が減ったように感じた。
どれほど時間が経ったか分からないが少なくとも戦闘で体力を消耗しお腹が減ったのは確かだった。
そこへ小太りの怪人が大皿を持ってやってきた。
皿の上には串刺しにされた焼かれた肉と、食べやすく切り分けられた野菜と果物がのっかっていた。
小太りの怪人は食べ物ののった皿を大柄な怪人に渡し、大柄な怪人は、その皿をアクアに差し出した。
「私の為に?」
アクアが自分の手を胸に当てて尋ねると怪人は頷いた。
毒が入っているかもしれないと思ったが、食料の調達方法が無い状況では、食べる以外に無い。
アクアは、皿の上の串肉を手に取り食べた。
「……美味しい」
適度に焼かれており肉汁が豊富で表面に塗られたタレが良く合う。
野菜も食べやすくみずみずしくて美味しい。
果物はほどよく甘く、フレッシュでアクアの好みに合っていた。
(この人達いい人かも)
生徒を電撃で失神させ、自分に問答無用とばかりに戦闘を仕掛けてきた怪人だったが、食事を提供されたことでアクアは警戒心が少し解けた。
「ふう」
量は少なかったが皿の上の食事を全て平らげたアクアは満足した。
その様子を怪人に見られていることに気がついてアクアは顔を真っ赤に染めた。
敵対している怪人の前で無防備に食事をしてその様子を見られたことに言いようのない羞恥心が中からこみ上げてくる。
同時に食事を与えてくれた恩のような感情もある。
「……あ、ありがとう」
恥ずかしそうに頬を紅く染めてアクアはお礼を言った。
怪人は人に危害を加え戦い、自分を監禁してきた相手だ。
だが、食事のお礼を言わないほどアクアは無礼では無かった。
何も言わないとこの怪人と同じような無頼者になってしまうので、お礼はきちんと言おうという気持ちだった。
その様子を見て大柄な怪人は満足に頷くとアクアの方を向いて口を開いた。
「オイメス、オレノセイドレイニナレ、オマエハオレノアナダ」
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