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第二話 レッドピンチ 驚異の女幹部レディスコルピオン

レッドの残像攻撃

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「くっ」

 毒の霧が周囲を覆いレッドは顔をしかめる。

「どう? 麻痺毒の霧よ。幾らあなたでも毒の中だと動きが鈍るでしょう」

「どうかな」

 レッドは言い返すと、再び攻撃を再開する。

「うふ、強がっちゃって」

 レディスコルピオンは笑って突っ込んでくるレディスコルピオンに尻尾を放つ。
 しかし

「スピードが落ちない」

 レッドのスピードは落ちていなかった。
 それどころか、残像の数が増えていた。

「くっ」

 軽い衝撃がアームを襲う。
 レッドが本物の攻撃を仕掛けてきたのだ。

「ええい! ちょこまかと!」

 攻撃を加えたレッドを追いかけるが、散布した毒の霧の影に隠れてしまい見失う。

「はっ」

 レディスコルピオンは身体を回転させ、霧と一緒にレッドを薙ごうとした。
 しかし、攻撃は霧を吹き飛ばしただけで、レッドに当たることはなかった。

「どこに行ったの」

 毒の霧が晴れるが、そこにレッドの姿はなかった。

「大丈夫ですよ」

 レッドの声が遠くで響いた。

「ううっ」

 見れば担いでいた囚われの市民を助けていた。
 レディスコルピオンが振りまいた毒の霧に巻き込まれて苦しんでいた人々だ。

「随分と余裕ね……」

 不機嫌そうにレディスコルピオンは言う。
 戦いの最中に余裕を見せたことへの怒り、ではなく、自分以外へ気配りをするレッドの行動に、自己中心的なレディスコルピオンは機嫌を悪くした。
 その態度にレッドは怒り、叫ぶ

「町の人々を毒に巻き込んでおいてなんて言い草だ!」

「ふん、有象無象なんてどうでもいいのよ」

「やはりお前は許しておけない! 倒してやる!」

「やれるものならやってみなさい!」

「見てろ!」

 レディスコルピオンに再びレッドが接近する。
 怒りでボルテージが上がり、スピードが上がり、残像の数が増える。

「ええい、鬱陶しい!」

 接近する多数の残像を相手にレディスコルピオンは攻撃を加える。
 だがいずれも空を切る。

「うっ」

 残像に気を取られ、知らぬ間に接近を許して仕舞った。
 だが、これも残像とレディスコルピオンは侮る。
 しかし、鋭い視線を浴びせるレッドは、レディスコルピオンへ拳を叩き付ける。

「本物!」

 甲殻に激しく叩く衝撃に、レディスコルピオンは驚く。

「けど、私の甲殻を貫くなど不可能……」

「レッドショックパンチ!」

 だが、当たった瞬間レッドが叫ぶとギアの一部が収縮。拳に力を与え、強い衝撃をレディスコルピオンに与えた。

「がはっっ」

 甲殻を通して伝わる衝撃に、レディスコルピオンは呻く。
 だがそれ以上に自分に打撃を与えられたこと、自分にダメージを与えられた事が衝撃だった。

「よくもやってくれたわね」

 先ほどまでの余裕はなくなり、レディスコルピオンはレッドを睨み付ける。
 可愛さ余って憎さ百倍。
 愛情をかけていたペットに噛まれた時のような気分、裏切られた思いだ。

「もう許さないわ。徹底的に痛めつけてやる」

「僕に追いつけないのに、無理だよ」

「どうかしら」

 レディスコルピオンは、邪悪な笑みを浮かべると自分の尻尾を顔に近づけ、毒針を自分の首に刺した。
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