14 / 167
第一話 変身ヒーロー好きだった俺、マッドサイエンティストにされる
大輝の生存を喜ぶ優子、だが疑念が
しおりを挟む
「山田君!」
数分後、用意された病室に通された小川は大輝と再会した。
「小川さん。どうしたの」
「どうしたじゃないのよ! あんな大怪我して救急車で運ばれたら心配するよ!」
確かに瀕死の重傷だったが、こうしていきチエル。
存在が危うく消えかけていたが、何とか無事だ。
「心配しないで、見た目ほど酷い怪我じゃなかったから」
「本当?」
「うん、血が派手に出ていただけだから」
本当は致命傷だったが、ドクターの治療術で助かった。
この点はドクターに感謝している。
この腕を正しい方向に使えば良いのに悪の幹部なんて勿体ない、と大輝は思った。
しかし、小川は納得していないようだった。
ジト目で見たあと、大輝に近づき、大輝のシャツをめくる。
「え」
突然の行為に大輝は驚いた。
だが、小川さんはじっと大輝の体を見つめ続けている。
「お、小川さん……」
一分ほどしてようやく小声を出すだけで精一杯だった。
「あ、ご、ごめん!」
小川さんはようやく自分のしている事に気がつき顔を真っ赤にして頭を下げて謝る。
「傷が気になったから」
「そ、そう、心配掛けてごめんね。でも大丈夫だから」
「うん、傷跡がなくなっていて安心したんだけど……」
「な、なにか?」
首を傾げる小川さんに冷や汗が出る。
ドクターの跡を継ぐつもりはないが、悪の組織に関わってしまった。
正義の味方であるレッド、小川さんに知られたくない。
怪しまれないように振る舞おうと大輝は務めて平静を装った。
「深手ではないとしても血が出たのに傷跡が、かさぶたも残さずもう治っているっておかしいよね」
「うっ」
いきなり核心を突かれて大輝は言葉に詰まった。
負荷で出なくてもあんなに血が出ていたら傷が治るのに数週間はかかる。
一日も満たずに治るのはおかしい。
それだけドクターの技術が優れている証拠だが、ここでは悪い方向へ、疑いの材料になって仕舞う。
「なんで大丈夫なの。怪我したんでしょう」
「それは」
どう誤魔化そうかと大輝は考えを巡らせる。
しかし思いつかない。
なんで治ったかと言えばドクターの技術のお陰だ。
だがドクターは悪の組織アセンデッドの手先だ。
そこで何が行われたか、自分がどんなことをされたか説明しなければならない。
洗脳され改造されていますと言われたら、小川さんはどうするだろうか。
「そんな、ひどい目に遭ったなんて」
と言って同情してくれそうだ。
正義感の強い彼女なら、正義のヒーローに憧れる彼女なら、理解して同情してくれるだろう。
だが同時に思ってしまう。
「悪の手先になって仕舞ったの! なら倒さなければ!」
と言って、戦う事を選ぶかもしれない。
僅かな可能性だがあり得るし、そうなりたくなくて大輝は黙った。
(リリアンめ、こうなることが分かっていて送り出したな)
通常の医療より遙かに短い時間で完璧に治ったのはどうしても不自然だ。
当然、疑問に思われ追及される。
上手く誤魔化すことなどほぼ不可能。
下手をすれば、悪の手先と言うことで戦う事になる。
乗り切るには、小川さんを眠らせて記憶を操作、洗脳し、様々な改造を施すしかないのか。
(いやいやいや)
好みの大きさや形に改造する妄想を、邪念を振り払う。
改造云々はともかく、いや言語道断だが記憶改竄は必要か。
ひったくったままポケットに残った麻酔銃を握りながら、大輝は考える。
(いや、ダメだ)
人をいじくるなど正義のやる事ではない。
自分の考えを振り払い、この場を誤魔化そうと考えを巡らす。
「ねえ、山田君。どういうことなの? 教えて」
しかし小川さんのつぶらな瞳が、純真な心をもった小柄で可憐な少女が上目遣いで尋ねてくる。
「正義のヒーローが好きな山田君でしょう。何か困ったことでもあるの」
「うっ」
同じ正義の変身ヒーローが好きな者同士、嘘偽り亡く付き合いたいだが離したら身の破滅だ。
誤解され、攻撃される恐れを抱えたまま正直に話すか
手にしている麻酔銃を使って黙らせ記憶操作、あるいは洗脳するか。
大輝は、追い詰められていった。
数分後、用意された病室に通された小川は大輝と再会した。
「小川さん。どうしたの」
「どうしたじゃないのよ! あんな大怪我して救急車で運ばれたら心配するよ!」
確かに瀕死の重傷だったが、こうしていきチエル。
存在が危うく消えかけていたが、何とか無事だ。
「心配しないで、見た目ほど酷い怪我じゃなかったから」
「本当?」
「うん、血が派手に出ていただけだから」
本当は致命傷だったが、ドクターの治療術で助かった。
この点はドクターに感謝している。
この腕を正しい方向に使えば良いのに悪の幹部なんて勿体ない、と大輝は思った。
しかし、小川は納得していないようだった。
ジト目で見たあと、大輝に近づき、大輝のシャツをめくる。
「え」
突然の行為に大輝は驚いた。
だが、小川さんはじっと大輝の体を見つめ続けている。
「お、小川さん……」
一分ほどしてようやく小声を出すだけで精一杯だった。
「あ、ご、ごめん!」
小川さんはようやく自分のしている事に気がつき顔を真っ赤にして頭を下げて謝る。
「傷が気になったから」
「そ、そう、心配掛けてごめんね。でも大丈夫だから」
「うん、傷跡がなくなっていて安心したんだけど……」
「な、なにか?」
首を傾げる小川さんに冷や汗が出る。
ドクターの跡を継ぐつもりはないが、悪の組織に関わってしまった。
正義の味方であるレッド、小川さんに知られたくない。
怪しまれないように振る舞おうと大輝は務めて平静を装った。
「深手ではないとしても血が出たのに傷跡が、かさぶたも残さずもう治っているっておかしいよね」
「うっ」
いきなり核心を突かれて大輝は言葉に詰まった。
負荷で出なくてもあんなに血が出ていたら傷が治るのに数週間はかかる。
一日も満たずに治るのはおかしい。
それだけドクターの技術が優れている証拠だが、ここでは悪い方向へ、疑いの材料になって仕舞う。
「なんで大丈夫なの。怪我したんでしょう」
「それは」
どう誤魔化そうかと大輝は考えを巡らせる。
しかし思いつかない。
なんで治ったかと言えばドクターの技術のお陰だ。
だがドクターは悪の組織アセンデッドの手先だ。
そこで何が行われたか、自分がどんなことをされたか説明しなければならない。
洗脳され改造されていますと言われたら、小川さんはどうするだろうか。
「そんな、ひどい目に遭ったなんて」
と言って同情してくれそうだ。
正義感の強い彼女なら、正義のヒーローに憧れる彼女なら、理解して同情してくれるだろう。
だが同時に思ってしまう。
「悪の手先になって仕舞ったの! なら倒さなければ!」
と言って、戦う事を選ぶかもしれない。
僅かな可能性だがあり得るし、そうなりたくなくて大輝は黙った。
(リリアンめ、こうなることが分かっていて送り出したな)
通常の医療より遙かに短い時間で完璧に治ったのはどうしても不自然だ。
当然、疑問に思われ追及される。
上手く誤魔化すことなどほぼ不可能。
下手をすれば、悪の手先と言うことで戦う事になる。
乗り切るには、小川さんを眠らせて記憶を操作、洗脳し、様々な改造を施すしかないのか。
(いやいやいや)
好みの大きさや形に改造する妄想を、邪念を振り払う。
改造云々はともかく、いや言語道断だが記憶改竄は必要か。
ひったくったままポケットに残った麻酔銃を握りながら、大輝は考える。
(いや、ダメだ)
人をいじくるなど正義のやる事ではない。
自分の考えを振り払い、この場を誤魔化そうと考えを巡らす。
「ねえ、山田君。どういうことなの? 教えて」
しかし小川さんのつぶらな瞳が、純真な心をもった小柄で可憐な少女が上目遣いで尋ねてくる。
「正義のヒーローが好きな山田君でしょう。何か困ったことでもあるの」
「うっ」
同じ正義の変身ヒーローが好きな者同士、嘘偽り亡く付き合いたいだが離したら身の破滅だ。
誤解され、攻撃される恐れを抱えたまま正直に話すか
手にしている麻酔銃を使って黙らせ記憶操作、あるいは洗脳するか。
大輝は、追い詰められていった。
0
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
バスト105cm巨乳チアガール”妙子” 地獄の学園生活
アダルト小説家 迎夕紀
青春
バスト105cmの美少女、妙子はチアリーディング部に所属する女の子。
彼女の通う聖マリエンヌ女学院では女の子達に売春を強要することで多額の利益を得ていた。
ダイエットのために部活でシゴかれ、いやらしい衣装を着てコンパニオンをさせられ、そしてボロボロの身体に鞭打って下半身接待もさせられる妙子の地獄の学園生活。
---
主人公の女の子
名前:妙子
職業:女子学生
身長:163cm
体重:56kg
パスト:105cm
ウェスト:60cm
ヒップ:95cm
---
----
*こちらは表現を抑えた少ない話数の一般公開版です。大幅に加筆し、より過激な表現を含む全編32話(プロローグ1話、本編31話)を読みたい方は以下のURLをご参照下さい。
https://note.com/adult_mukaiyuki/m/m05341b80803d
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる