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第四話 姫騎士 セシリア

パリスの違和感

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「……なんで首を傾げるのよ」

 エレナは首を傾げるパリスを睨み付ける。

「いや、でも」

 気の利いた台詞でも言えれば良いのだろうが事実だから仕方ない。
 確かにエレナのテクは凄く気持ちよかった。

「まさかセシリアの方が好みなの」

「違うよ」

 ジト目で尋ねてくるエレナにパリスは否定する。
 確かに、セシリアの方が肉感が良いが、テクはエレナの方が上手い。
 パリスの性感帯と好きなシチュを知り尽くしていることもあるが、短時間で二度も射精させた腕は見事でしかない。
 下手な娼婦よりも余程、上手い。
 一国の姫がそんなワザを持っているのはどうかと思うが、エレナの腕は超一流だ。
 だが、何か違うようにパリスは感じた。
 一番多くエレナの相手をしていることもあって、エレナの腕前は良く分かっている。
 それだけに余計に、違和感が強かった。

「……」

 煮え切らないパリスに苛立ったエレナはパリスの右手を取ると、自分の胸に押しつけた。

「ほら、あたしの胸も結構良いでしょう。気持ち良いわよ」

 エレナは迫ってくるが、何処か焦りがあった。
 いつもなら自信満々に自分の美しさをエロ、妖艶さをひけらかしているが、まるで売り込んでいるように見える。

「あんな女より余程、気持ち良いわよ」

 その台詞を聞いてパリスは感づいた。
 セシリアの登場にエレナは焦っているのだ。
 自分より清楚でお淑やかで武術の腕にも優れる。
 そんな画に描いたような姫騎士が現れて、焦っていた。
 しかも、セシリアを助ける為にパリスが向かったことも、パリスがセシリアに気があるようにエレナは思ってしまった。
 本当はエレナがやり過ぎたので、何とか事を収めようとしただけなのだが、セシリアと似て強情なところ、そこが同族嫌悪で余計にエレナには腹が立っていたこともあり、更に、強情になっていた。
 ようはセシリアへのライバル心から自分の方が良いと見せつけるために必死になっていたのだ。
 触手を使わなかったことも、それが原因だ。
 普段なら触手による同時責め、様々なプレイを行う。
 エレナの特徴だが同時に身体の貧弱さを触手で補っているとも言える。
 セシリアに対して劣等感を抱いていたら、余計に自分の身体だけで、セシリアよりも良い体つきをしている、ぶっちゃけセシリアに勝ちたいと負けず嫌いのエレナは思っており、触手を使わずパリスをいかせようとした。
 それはそれでパリスは気持ちよかったが、物足りなさも感じて仕舞った。
 だが、分かって仕舞えば、嫉妬に狂って迫ってくるエレナが可愛く思えた。

「な、何よ」

 パリスの向けてくる生暖かい笑みに、可愛いペットを見る様な目で見てきたことに、一応姫であるエレナは不敬だと思ったが、パリスに嫌われたくないとういう思いもあって強く言えず、顔を強ばらせた。
 どうしたら良いのか分からず戸惑っているエレナを見ているのも楽しいパリスだが、従者として助け船を出すことにした。
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