妖魔特捜刑事 宇佐美白百合 人々を悦楽に落とし操る媚薬フラワーハニーを追え

瀬緋 令祖灼

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白百合の力

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「どうだ!」

 驚く白百合に課長は言う。

「組織が開発した妖魔の攻撃を弾くシールドだ! 攻撃は届くまい!」

「確かに凄い装備ね。あなたが作ったモノじゃないけど」

「五月蠅い!」

「ひがむことはないわ。この装置について取調室で喋って貰うから。存分に話を聞いて貰うわ」

 冷たい白百合の視線に課長はたじろぐ。
 だが、強気のまま、白百合に言った。

「はははっ、このロボットを倒せないのに出来るわけないだろう。行け! あの兎女を捕まえるんだ!」

 課長の命令でロボットはガシンガシンと脅すように、恐怖を煽るように音を響かせ、白百合の元へ近づいていく。
 普通の人間ならそれだけで恐怖だが、白百合は白けたように呟く。

「弱い犬ほどよく吠えると言うけど、その通りね。無粋な足音を立てないと近づけないのね。けど耳障りな音ね」

「強がっていられるのも今のうちだ!」

 ロボットの装甲がスライドし、中からミサイルが出てきて、白百合に向かって放った。

「死ねえええっっっ!」

 興奮した課長は絶叫した。

「愚かね」

 だが白百合は涼しい顔をして手にした白い檜扇を振り、ミサイルを跳ね飛ばした。

「なっ」

 ミサイルが女の振るった薄い檜扇一枚で明後日の方向へ向きを変えられ、吹き飛んだことに、課長は愕然とした。

「だ、だが、攻撃はこれだけじゃないぞ! 次はどうだ!」

 新たにロボットから粒子砲が出てきて白百合に放つ。

「ふんっ」

 しかし、これも鼻を鳴らして檜扇を振った白百合によってビームは弾き飛ばされてしまった。
 決して弱い威力ではない。
 壁に大きな貫通痕が出来上がるほど、絶大な威力だったが、白百合はそれを弾いた。

「な、ならば、パンチだ!」

 アームがアクチュエーターを使って白百合に放たれた。
 だが、白百合は畳んだ檜扇で受け止める。

「馬鹿な!」

 数万馬力を出せるロボットのパンチを受け止められ課長は愕然とした。

「ふん、期待外れも甚だしいわ」

 ロボットのアクチュエーターが過負荷で唸り音をまき散らす中、冷めた言葉で、白百合は呟く。

「この程度で対抗しようなんて愚かね。興味深いのはシールド程度ね」

 白百合は檜扇を広げると光線を発射し光圧で、パンチを跳ね返した。

「ば、ばかな!」

 白百合一人に圧倒された事に課長は愕然とする。

「だが、シールドを打ち破れるほどの力は無いようだな」

「馬鹿なことを言わないで、力なんて殆ど使っていないわ」

「ははは、そんな事あるか。強がりも程々にしろ」

「なら、見せてあげるわ、私の力を」

 白百合は前屈みになり両腕を広げ後ろに持って行く。

「はああああああっっっっっ」

 白百合は声を出して力を貯めると、腕を前に持って行き檜扇ともう片方の手を水平に感覚を開けて揃える。

「はっ」

 白百合が気合いを入れると両手の間に青白い光球が生まれた。
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