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宇佐美白百合 現場到着

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「どうしてここが」

 驚愕する課長に、白百合は色っぽい、だが剣呑な視線を向けた。

「あなたがゼータ組の連中に連絡していたでしょう。刑事が来るから捕らえろと。まあ久月さんが予定より早く入ってきて台無しになったけど」

 白百合の言葉に課長は白ける。
 確かに独断専行で突入し制圧したと聞いた時は、焦った。
 だが、不意を突くことに成功して、手駒に加えられた。
 運が良かったが、白百合が現れたのは想定外だし、失態だ。

「どうして、分かった」

「私、耳が良いの。あなたがここにかけた電話が聞こえたの。追いかけたけど、このホテルに着くのに手間取ったし、構造が分からなくて、時間が掛かったけど」

 馬鹿げた話だったが、現れたからには仕方ない。

「おい! お前ら! こいつを始末しないと一生檻の中だ! 殺してしまえ!」

「けど、預かり物ですよ」

「構わない! 使った事のバツなど、パクられるよりマシだ! やってしまえ!」

 課長が叫ぶとゼータ組の連中は隠していた銃器、マシンガンや自動小銃を取り出し、白百合に向けた。

「全く、子供になんて物持たせているのよ」

 乱射される銃器の中を遼子は、華麗に回避してゼータ組の連中に近づく。

「はっ」

「ぐはっ」

 男共に接近すると白百合は拳で薙ぐ手気絶させ制圧する。

「畜生!」

 ゼータ組は乱射するが、白百合は彼らの間を駆け抜けて避ける。

「ぎゃっ」

「ぐはっ」

 白百合を追って乱射していた彼らが同士討ちを起こして勝手に倒れる。

「止めろ! 同士討ちだ!」

「そうよ。危ない物は使わない事よ」

「がはっ」

 動きが止まった瞬間を狙って白百合は手刀を当てて気絶させた。

「これ、効くと良いけど」

 仲の良い友人が渡してくれた医療キットを出して、怪我した男達に注射する。

「何を」

「あたしは逮捕しに来ただけ、人の命を奪うためにきたんじゃないの」

「妖魔は人に害を与えるんだろう」

「……そういうのが嫌だから変えたかったのよ」

 そう言って白百合は武器を奪って、壊して回る。

「畜生、使い物にならない連中め」

 部屋の隅で見ていた課長は舌打ちする。
 自分が相手になっても勝てないだろう。あの狼男さえ倒した捜査官だ。
 フラワーハニーを投与された程度の自分では無理だ。

「おい! 妖魔制圧用に開発された大型歩行兵器があったな!」

「はい、奥に」

「今すぐ動かせ!」

「けど、預かり物だし、仲間が……」

「あの捜査官を始末しないとこの先はないぞ。今すぐやれ」

「わ、わかった」

 男は急いで奥に仕舞ってある機械を動かしに行く。



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