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捜査官 宇佐美白百合

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 地下クラブに入ってきたのは青いスーツを来た女性で、腰まである長い輝く白銀の髪。
 目は切れ長で大きく金色に輝いており、白い肌と対照的でより鮮明に見える。
 プロポーションも良く、メリハリのある美しい曲線のライン。
 腰はくびれており、ミニスカから伸びる足は長く美しい。
 それでいてスーツに食い込む程の肉感。
 溢れんばかりの巨乳。
 男が好きそうなスタイルだ。
 同性の遼子さえ美しさに見とれて言葉を失ってしまうほどだった。
 全員が沈黙したのも致し方なかった。

「その子を離してもらえる?」

 そのため、彼女の声は小さくてもクラブの中によく響いた。
 声は鈴の様に麗しく大騒音の中でもハッキリ聞こえそうな澄んだ声だ。

「誰だ、お前は!」

 見とれていた狼男が取り繕うように大声で尋ねる。

「逢魔特別行政区警察妖魔特捜課特別捜査員の宇佐美白百合よ」

「特捜の捜査員!」

 クラブにいた全員が動揺する。
 警察が作った特捜は妖魔がらみの犯罪捜査を専門とする。
 特に力の強い妖魔を相手にするため、選りすぐりの精鋭を投入しているとされていた。

「ビビるな! たかが女一人だ! 潰せ!」

 怯む仲間に狼男はハッパを掛けて命じる。

「うおおっっ」

 大事になる前に捕らえようとクラブの客、真っ当な商売をしていない連中が宇佐美を捕らえようとする。

「はっ」

 だが、迫ってくる大勢を前に宇佐美は前に出て、倒しに行く。

「がはっ」

「ぐふっ」

 素早い動きで集団の中を駆け回り、細い身体からは想像できないほど鋭い拳と蹴りを放ち次々と倒して行く。

「なんて奴だ」

 迫ってくる彼女を前にして狼男は動揺し、控えていた女達に命じる。

「おいお前ら! あいつを捕まえろ!」

 だが女達の動きは鈍い。
 苛立った狼男は命じた。

「捕まえたら薬をやるぞ!」

 その一言で女達は色めき立ち、一斉に白百合に向かう。

「なっ」

 そのスピードに遼子は驚いた。
 彼女達はいずれも常人の三倍のスピードで室内を駆け抜け、白百合に迫っている。
 しかし白百合も素早く移動し、迎え撃つ。

「たあっ」

 迫ってくる男達を足蹴りして迎撃し倒すと、中央で大立ち回りを行う。
 拳や蹴りを加えて次々とたたき伏せた。

「でああああっっっ」

 女の一人が背後から迫るがこれも一瞬で撃退する。

「一人で行くな! 囲んで一斉に仕留めろ」

 一対一では、敵わないとみて、狼男は女達に捜査官を周囲を囲ませる。
 すぐに白百合の周りには女達の壁が出来た。

「やれ!」

 狼男の合図で一斉に白百合に女達は襲いかかる。

「はっ」

 最初の一撃を白百合はしゃがんで回避する。
 そして、倒立すると両足を広げて腕を使い身体ごと回転させ、迫ってくる女達を蹴散らす。

「うおっっ」

 美脚の旋風に女達は為す術なく吹き飛ばされた。

「うほっ」

 だが一部が脚力を生かしてジャンプ、身体を大きくのけぞらせながら白百合に向かって直上から飛び込もうとする。

「危ない!」

 遼子の叫び声が響く。
 しかし、白百合は大丈夫だった。
 全て蹴散らした後、回転を止めて、手足を縮めると飛び込んでくる女に向かって前進の力を使って身体を伸ばし跳躍。
 ロケットのように飛び出した。

「ぐはっ」

 両足のヒールが女の身体に突き刺さり、ダメージを受けて落ちた。

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