23 / 32
懇願
しおりを挟む
「うぐ?」
地面とは違う感触に鬼は疑問を持ち、足で裕樹の身体を踏みにじる。
「ぐっ」
踏みつけられた痛みで裕樹が無意識にうめき声を上げる
「止めて!」
裕樹の痛みの声を聞いた美羽は鬼に向かって止めるよう懇願した。
「ぐは」
だが美羽の声を、嘆願する美羽の声を聞いた鬼は諧謔の笑みを浮かべると、裕樹を踏みつける足へ力を入れた。
「がはっ」
「止めて!」
裕樹が悲鳴を上げ、美羽が泣き叫び、鬼が笑う。
散々いたぶってくれた女の声を聞いて鬼は復讐心を満足させていた。
そして、さらに絶望の声を聞こうと、足に力を入れる。
「があっ」
裕樹の身体から骨のきしむ音が響いてきた。
その音に美羽は恐怖を感じ声すら出なかった。
「や、やめて、もう止めて」
ようやく美羽は声を出すことが出来た。その声は奪われる恐怖で震えていた。
美羽の声の耳障りが良くて鬼は足を一度上げた。
「ほっ」
裕樹が開放されたことで、美羽は安堵の溜息を漏らした。
だが、ほっとしたのもつかの間、鬼は足を上げきると、勢いよく足を裕樹に向かって下ろした。
鬼が振り下ろした足は凄まじい勢いで裕樹の身体に向かう。直撃すれば裕樹の身体は吹き飛んでしまうだろう。
「やっ」
その様子が身体能力が高まり動体視力が良くなっている美羽にはコマ送りのようには見えた。
刻一刻と鬼の足が裕樹を踏み潰そうとしている動きに恐怖で引きつった。
「止めてーーっっ!」
裕樹に足が直撃する寸前、美羽は無意識に叫び、袖から呪符を取り出す。
身体から光が漏れ出すほどのありったけの力を呪符に込めた美羽は鬼に投げつけた。
弾丸のような速度で放たれた呪符は裕樹が粉砕される前に鬼に直撃した。
「ぐあああっっっ」
これまでとは全く異次元の威力で鬼の身体は浮き上がり、悲鳴を上げながら遙か後方へ吹き飛ばされた。
「があっ」
吹き飛ばされた鬼は地面に叩き付けられ衝撃で、うめき声が出る。
その後も勢いは止まらず、地面を十数メートル転がってようやく止まった。
「がうっ」
止まるとすぐに自分を攻撃してきた相手を痛めつけた相手に向かって憎悪を秘めた視線を向ける。
そして土煙の向こう側から人影が現れた。
いや、人影ではなかった。
頭から細長い物体が伸びていた。
土煙が上の方から徐々に晴れてゆき、姿が見えた。
頭から突き出た細長い物体はウサギの耳だった。
そのウサ耳を装着していたのは、美羽であった。
だが、その服装は先ほどまで着ていた巫女服姿ではなくバニーガール姿だった。
地面とは違う感触に鬼は疑問を持ち、足で裕樹の身体を踏みにじる。
「ぐっ」
踏みつけられた痛みで裕樹が無意識にうめき声を上げる
「止めて!」
裕樹の痛みの声を聞いた美羽は鬼に向かって止めるよう懇願した。
「ぐは」
だが美羽の声を、嘆願する美羽の声を聞いた鬼は諧謔の笑みを浮かべると、裕樹を踏みつける足へ力を入れた。
「がはっ」
「止めて!」
裕樹が悲鳴を上げ、美羽が泣き叫び、鬼が笑う。
散々いたぶってくれた女の声を聞いて鬼は復讐心を満足させていた。
そして、さらに絶望の声を聞こうと、足に力を入れる。
「があっ」
裕樹の身体から骨のきしむ音が響いてきた。
その音に美羽は恐怖を感じ声すら出なかった。
「や、やめて、もう止めて」
ようやく美羽は声を出すことが出来た。その声は奪われる恐怖で震えていた。
美羽の声の耳障りが良くて鬼は足を一度上げた。
「ほっ」
裕樹が開放されたことで、美羽は安堵の溜息を漏らした。
だが、ほっとしたのもつかの間、鬼は足を上げきると、勢いよく足を裕樹に向かって下ろした。
鬼が振り下ろした足は凄まじい勢いで裕樹の身体に向かう。直撃すれば裕樹の身体は吹き飛んでしまうだろう。
「やっ」
その様子が身体能力が高まり動体視力が良くなっている美羽にはコマ送りのようには見えた。
刻一刻と鬼の足が裕樹を踏み潰そうとしている動きに恐怖で引きつった。
「止めてーーっっ!」
裕樹に足が直撃する寸前、美羽は無意識に叫び、袖から呪符を取り出す。
身体から光が漏れ出すほどのありったけの力を呪符に込めた美羽は鬼に投げつけた。
弾丸のような速度で放たれた呪符は裕樹が粉砕される前に鬼に直撃した。
「ぐあああっっっ」
これまでとは全く異次元の威力で鬼の身体は浮き上がり、悲鳴を上げながら遙か後方へ吹き飛ばされた。
「があっ」
吹き飛ばされた鬼は地面に叩き付けられ衝撃で、うめき声が出る。
その後も勢いは止まらず、地面を十数メートル転がってようやく止まった。
「がうっ」
止まるとすぐに自分を攻撃してきた相手を痛めつけた相手に向かって憎悪を秘めた視線を向ける。
そして土煙の向こう側から人影が現れた。
いや、人影ではなかった。
頭から細長い物体が伸びていた。
土煙が上の方から徐々に晴れてゆき、姿が見えた。
頭から突き出た細長い物体はウサギの耳だった。
そのウサ耳を装着していたのは、美羽であった。
だが、その服装は先ほどまで着ていた巫女服姿ではなくバニーガール姿だった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる