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苦戦
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「たあっ」
可愛らしくも気合いを入れた声と共に、巫女服の袖を振りながら美羽が投げつけた呪符は、鬼の顔面に命中した。
「ぐおうっ」
呪符を受けた鬼は、激痛で顔をゆがめる。
しかし一瞬、よろめいたもののすぐに力を入れて踏ん張り踏みとどまる。
両足を広げ態勢を立て直すと、攻撃してきた美羽を改めて睨み付けた。
「あーんっ、どうして倒れないのよっ! できるだけ力を入れたのに」
倒せなかったことを美羽は地団駄踏んで悔しがった。
鬼がよろめきつつも立っていることに納得がいかないようだった。
自分に出来る限り、限界ギリギリまで力を入れたのに、鬼が倒れないことに、努力が報われないことを嘆いている。
そこへ鬼が拳を振るってきた。
「くっ」
直前で美羽は再び身体を捻り拳を避ける。
巫女服の袖が揺れ、残像のようにはためき、緋袴がふわりと広がり、一瞬見とれてしまうほど美しい所作。
身体の動かし方を理解していなければ出来ない動きだった。
すれ違いざまに至近距離から再び呪符で攻撃を仕掛けた。
「ぐおうっ」
再び鬼は悲鳴を上げるが、倒れない。
「もーおっ、何でよおっ」
鬼が戦闘不能にならない悔しさが顔に出ている。
それから何度か美羽は攻撃を加えるが、致命傷にはならない。
そして自らの攻撃が効かない場面を見る度に、美羽の顔は徐々に羞恥の赤みが加わっていく。
「むーっ」
倒せなければ、出し切れる限界、今以上の力を出す。
しかし、出してしまったら強制的にあの恥ずかしい姿、バニーガール姿に変身してしまう。
あんな半裸に近い、いや強制的に身体のラインを絞り上げ布地の表面がツルツルで怪しいテカリを放ち、胸の上がむき出しで腕どころか肩もうなじも胸元まで露出させ、腰まで続く深いカットで足を官能的に見せつけ、背中の上半分とお尻の両側を見せてしまうバニースーツを着るなど裸になるより恥ずかしい。
乙女にとってはとても実行できない事だった。
だが、倒せないのであれば変身するべきではないか。
恥ずかしい思いをするが、鬼を倒すのが自分の役目であり、バニーガール姿になって鬼を倒せるのなら、倒すべきではないか。
そして変身してしまっても、後処理をすれば良いのでは無いか。
そんな考えが美羽の頭の中をよぎる。
可愛らしくも気合いを入れた声と共に、巫女服の袖を振りながら美羽が投げつけた呪符は、鬼の顔面に命中した。
「ぐおうっ」
呪符を受けた鬼は、激痛で顔をゆがめる。
しかし一瞬、よろめいたもののすぐに力を入れて踏ん張り踏みとどまる。
両足を広げ態勢を立て直すと、攻撃してきた美羽を改めて睨み付けた。
「あーんっ、どうして倒れないのよっ! できるだけ力を入れたのに」
倒せなかったことを美羽は地団駄踏んで悔しがった。
鬼がよろめきつつも立っていることに納得がいかないようだった。
自分に出来る限り、限界ギリギリまで力を入れたのに、鬼が倒れないことに、努力が報われないことを嘆いている。
そこへ鬼が拳を振るってきた。
「くっ」
直前で美羽は再び身体を捻り拳を避ける。
巫女服の袖が揺れ、残像のようにはためき、緋袴がふわりと広がり、一瞬見とれてしまうほど美しい所作。
身体の動かし方を理解していなければ出来ない動きだった。
すれ違いざまに至近距離から再び呪符で攻撃を仕掛けた。
「ぐおうっ」
再び鬼は悲鳴を上げるが、倒れない。
「もーおっ、何でよおっ」
鬼が戦闘不能にならない悔しさが顔に出ている。
それから何度か美羽は攻撃を加えるが、致命傷にはならない。
そして自らの攻撃が効かない場面を見る度に、美羽の顔は徐々に羞恥の赤みが加わっていく。
「むーっ」
倒せなければ、出し切れる限界、今以上の力を出す。
しかし、出してしまったら強制的にあの恥ずかしい姿、バニーガール姿に変身してしまう。
あんな半裸に近い、いや強制的に身体のラインを絞り上げ布地の表面がツルツルで怪しいテカリを放ち、胸の上がむき出しで腕どころか肩もうなじも胸元まで露出させ、腰まで続く深いカットで足を官能的に見せつけ、背中の上半分とお尻の両側を見せてしまうバニースーツを着るなど裸になるより恥ずかしい。
乙女にとってはとても実行できない事だった。
だが、倒せないのであれば変身するべきではないか。
恥ずかしい思いをするが、鬼を倒すのが自分の役目であり、バニーガール姿になって鬼を倒せるのなら、倒すべきではないか。
そして変身してしまっても、後処理をすれば良いのでは無いか。
そんな考えが美羽の頭の中をよぎる。
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