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退魔巫女
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飛縁魔を止めたのは、巫女服を着た黒髪の美少女だった。
すらりとした身体を包む白い小袖の袖口は紅い紐が通され、重ねた部分からは縁の紅い白襦袢が見える。
月明かりに照らされる黒曜石のような煌めく艶のある腰まで伸びる長い黒髪
緋袴から伸びる白足袋に包まれ紅い鼻緒の付いた草履を履く小さな足だが、その流麗なラインが緋袴の中にある脚線美を想像させる。
大きな人目はつり上がり気味で真面目な高校の委員長みたいな性格と思わせる。。
不良に絡まれた学生を見たら悪いことは許さないとばかりに敢然と立ち向かっていきそうな少女だ。
それだけに飛縁魔を名乗る女性のような存在に襲われてピンチだった裕樹には助けてくれると期待してしまった。
「私は退魔巫女の梓美羽! 人に外を及ぼす妖怪は許しません! すぐに襲っている人を開放しなさい!」
腕を伸ばし人差し指を飛縁魔に突きつける姿は凜々しく裕樹の心は高鳴り、助けてくれる存在が現れた事に安堵した。
「小娘が邪魔をするな」
しかし、飛縁魔は美羽と名乗る巫女を睨み付けて拒絶する。
「どかないようですね」
左の袖に右手を入れると二本の指で摘まんだ札を取り出し、飛縁魔に向けつつ美羽は構える。
「ならば致し方ありません。手加減しませんよ」
美羽は目を閉じ、小さく何かを呟く。
すると不思議なことに札が徐々に光り出した。
札から青白い光が炎のように揺らめきあふれだし、徐々に光が強くなっていく。
「くっ」
ただならぬ気配に飛縁魔は、裕樹から離れ、美羽に向かって構える。
そして札に書かれた文字が輝いた瞬間、美羽の目が大きく開かれ、札を持った右腕を顔の左後ろへ大きく構える。
「破っ」
裂帛の気合いと共に右腕を横一線に振り、札を投げた。
美羽が投げた札は目に見えないほどの高速で飛び出し飛縁魔に向かっていく。
「なっ」
突然の攻撃に飛縁魔は動けず、札が直撃する。
「ぐはっ」
札は飛縁魔に命中すると盛大に爆発し、飛縁魔は吹き飛んだ。
飛縁魔が着ていた着物はボロボロになり、所々から彼女の白い肌が見える。
乱れる髪と、ちぎれた着物の布が舞い上がり、飛縁魔の周りを彩り、飛んでいく姿さえ美しく感じた。
「はあああっっっ」
だがそれ以上に飛縁魔を撃退し、黒髪をたなびかせる巫女服の少女の凜々しい姿、吹き飛ばした飛縁魔をなお睨み付け、闘志を燃やすように息を吐き周囲を燃え上がらせるようなオーラを放つ姿に裕樹は見とれていた。
すらりとした身体を包む白い小袖の袖口は紅い紐が通され、重ねた部分からは縁の紅い白襦袢が見える。
月明かりに照らされる黒曜石のような煌めく艶のある腰まで伸びる長い黒髪
緋袴から伸びる白足袋に包まれ紅い鼻緒の付いた草履を履く小さな足だが、その流麗なラインが緋袴の中にある脚線美を想像させる。
大きな人目はつり上がり気味で真面目な高校の委員長みたいな性格と思わせる。。
不良に絡まれた学生を見たら悪いことは許さないとばかりに敢然と立ち向かっていきそうな少女だ。
それだけに飛縁魔を名乗る女性のような存在に襲われてピンチだった裕樹には助けてくれると期待してしまった。
「私は退魔巫女の梓美羽! 人に外を及ぼす妖怪は許しません! すぐに襲っている人を開放しなさい!」
腕を伸ばし人差し指を飛縁魔に突きつける姿は凜々しく裕樹の心は高鳴り、助けてくれる存在が現れた事に安堵した。
「小娘が邪魔をするな」
しかし、飛縁魔は美羽と名乗る巫女を睨み付けて拒絶する。
「どかないようですね」
左の袖に右手を入れると二本の指で摘まんだ札を取り出し、飛縁魔に向けつつ美羽は構える。
「ならば致し方ありません。手加減しませんよ」
美羽は目を閉じ、小さく何かを呟く。
すると不思議なことに札が徐々に光り出した。
札から青白い光が炎のように揺らめきあふれだし、徐々に光が強くなっていく。
「くっ」
ただならぬ気配に飛縁魔は、裕樹から離れ、美羽に向かって構える。
そして札に書かれた文字が輝いた瞬間、美羽の目が大きく開かれ、札を持った右腕を顔の左後ろへ大きく構える。
「破っ」
裂帛の気合いと共に右腕を横一線に振り、札を投げた。
美羽が投げた札は目に見えないほどの高速で飛び出し飛縁魔に向かっていく。
「なっ」
突然の攻撃に飛縁魔は動けず、札が直撃する。
「ぐはっ」
札は飛縁魔に命中すると盛大に爆発し、飛縁魔は吹き飛んだ。
飛縁魔が着ていた着物はボロボロになり、所々から彼女の白い肌が見える。
乱れる髪と、ちぎれた着物の布が舞い上がり、飛縁魔の周りを彩り、飛んでいく姿さえ美しく感じた。
「はあああっっっ」
だがそれ以上に飛縁魔を撃退し、黒髪をたなびかせる巫女服の少女の凜々しい姿、吹き飛ばした飛縁魔をなお睨み付け、闘志を燃やすように息を吐き周囲を燃え上がらせるようなオーラを放つ姿に裕樹は見とれていた。
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