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虹
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ここは、とある世界のとある国。小さな赤い屋根の家に、一人の少女とその両親が住んでおりました。
少女には、大好きな絵本がありました、それは、こことは違う、どこかの世界のどこかの国が描かれている物語でした。
物語には、「虹」というものが描かれておりました。「虹」はとても綺麗でしたので、少女は「虹」を見てみたくなりました。
しかし、この世界には、「虹」というものがありませんでした。
そこで少女は、自分の12歳の誕生日に「虹」を探す旅に出ることにしました。
旅に出てから、長い月日が流れました。少女は虹を見つけることができず、途方に暮れておりました。それもそのはず、この世界には「虹」を作り出すために必要な「雨」が降らないのですから。
少女は考えました。虹を見るにはどうすればいいのか。少女は虹を見るには雨が必要だと知りません。悩みました。数日悩んだ後、少女は自分で虹を作ろうと考えました。
虹を作るために、少女は色を集め始めました。絵本を片手に、今度は色探しの旅に出発です。
まずは赤色を探しましょうと、少女は赤いものを集め始めました。りんご、ポスト、道に咲いていたかわいらしい花。少女はそれらを見比べて、リンゴに手をかざしました。するとリンゴからするりと色が抜け、真っ赤だったリンゴは真っ白になってしまいました。少女はリンゴから取り出した赤をビンの中に入れました。
次は橙色を探します。木になっていたオレンジ、背の高いおうちの屋根、ハロウィンのカボチャ。少女はまたそれらを見比べ、にんじんを選ぶと、手をかざし、赤と同じように色を抜いてみました。
それから、少女は同じようにほかの色を探し始めました。
蝶から黄色を、小鳥から黄緑を、森の葉から緑を、海から青を、ぶどう酒から紫を取り出して、それぞれビンに入れました。
少女は集まった色が入った7つのビンを絵本の順番になるように、並べました。ですが、7色のビンはビンであり、ただそれだけです。虹のように空で輝いたりはしません。
少女は考えました。色を一斉に空に撒けば、色はいっしょくたに混ざり合って黒くなってしまいますし、かといって一色ずつ撒けば、7色が撒かれる前に最初に撒いた色が落ちてしまいます。
少女にはいい案が思い浮かびそうにありませんでした。そこで、一度故郷に戻り、故郷で一番長生きをしている長老に相談してみることにしました。長老なら何かいい案を考えてくれるに違いありません。
相談すると、長老はゆっくりと話し始めました。
色を長い透明な筒にいれてみてはどうかと。
そこで少女は長老から倉庫にある透明な筒を7本もらい、そこにそれぞれ1色ずつ、色を入れました。
大人に頼み、それを木と木の間、ちょうど空が見えるところにつるしてもらいました。
少女は感動しました。そこには木と木の間にキラキラ輝く「虹」がかかっていたのです。
少女が作ったその虹は、虹のない世界に唯一、初めてかかった消えない虹でした。
少女には、大好きな絵本がありました、それは、こことは違う、どこかの世界のどこかの国が描かれている物語でした。
物語には、「虹」というものが描かれておりました。「虹」はとても綺麗でしたので、少女は「虹」を見てみたくなりました。
しかし、この世界には、「虹」というものがありませんでした。
そこで少女は、自分の12歳の誕生日に「虹」を探す旅に出ることにしました。
旅に出てから、長い月日が流れました。少女は虹を見つけることができず、途方に暮れておりました。それもそのはず、この世界には「虹」を作り出すために必要な「雨」が降らないのですから。
少女は考えました。虹を見るにはどうすればいいのか。少女は虹を見るには雨が必要だと知りません。悩みました。数日悩んだ後、少女は自分で虹を作ろうと考えました。
虹を作るために、少女は色を集め始めました。絵本を片手に、今度は色探しの旅に出発です。
まずは赤色を探しましょうと、少女は赤いものを集め始めました。りんご、ポスト、道に咲いていたかわいらしい花。少女はそれらを見比べて、リンゴに手をかざしました。するとリンゴからするりと色が抜け、真っ赤だったリンゴは真っ白になってしまいました。少女はリンゴから取り出した赤をビンの中に入れました。
次は橙色を探します。木になっていたオレンジ、背の高いおうちの屋根、ハロウィンのカボチャ。少女はまたそれらを見比べ、にんじんを選ぶと、手をかざし、赤と同じように色を抜いてみました。
それから、少女は同じようにほかの色を探し始めました。
蝶から黄色を、小鳥から黄緑を、森の葉から緑を、海から青を、ぶどう酒から紫を取り出して、それぞれビンに入れました。
少女は集まった色が入った7つのビンを絵本の順番になるように、並べました。ですが、7色のビンはビンであり、ただそれだけです。虹のように空で輝いたりはしません。
少女は考えました。色を一斉に空に撒けば、色はいっしょくたに混ざり合って黒くなってしまいますし、かといって一色ずつ撒けば、7色が撒かれる前に最初に撒いた色が落ちてしまいます。
少女にはいい案が思い浮かびそうにありませんでした。そこで、一度故郷に戻り、故郷で一番長生きをしている長老に相談してみることにしました。長老なら何かいい案を考えてくれるに違いありません。
相談すると、長老はゆっくりと話し始めました。
色を長い透明な筒にいれてみてはどうかと。
そこで少女は長老から倉庫にある透明な筒を7本もらい、そこにそれぞれ1色ずつ、色を入れました。
大人に頼み、それを木と木の間、ちょうど空が見えるところにつるしてもらいました。
少女は感動しました。そこには木と木の間にキラキラ輝く「虹」がかかっていたのです。
少女が作ったその虹は、虹のない世界に唯一、初めてかかった消えない虹でした。
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