少年館

その意思を受け継いで29

　「えーと2人だけかな？ここから先に少し行った所にシュタインという町があるから、そこの労働移民連絡所て施設でこの特別滞在許可証を見せれば住むところと、とりあえずの一時金、そして職も見つけてくれるだろう。」

 アドンとジョセフは国境査察官からそれぞれ念願の特別滞在許可者をスタンプ入りで発行してもらった。

　「ありがとう。ポール署長にも伝えておいてくれ！俺たちだけではなくここにいる全ての人々の命を救ってくれた事に感謝する。」

 アドンは係員に深々と頭を下げると、ジョセフの手を握りしめながら、スイスとドイツの国境を跨いだのだった。

　「やったね！お兄ちゃん。これで僕達は本当に幸せになれるね。お兄ちゃんの事僕好きだよ。愛してる。」

 ジョセフはそう言うとみんなの見てる前でアドンの頬にキスをした。

　「馬鹿！！や、やめろよ！、こんな所で・・それに愛してるなんて言葉をいつのまに覚えたんだ！？」

 アドンの顔は真っ赤になり、内心ではとても嬉しかった。

　「えへへへ内緒だもん！」

 またジョセフも顔を赤くしながら照れていた。