事故物件

真相を求めて

　トイレの中に入った同僚はスマホの録音機能をセットするとそのまま静かに待った。

　「幽霊なんているわけねー、絶対にそんなもんありやしない、あれは山本がやった事に違いない！！こうして撮影するそぶりを山本に見せれば、あいつは調子こいてまた幽霊のふりをしてここに来るだろう」

 笑いを堪えながら同僚はスマホをトイレの内側の窓越しから外へと向け続けた。しかし、なんの気配も感じる事はなかった。

　「山本のやつ、さすがにそこまで馬鹿じゃねーか。ちっ！」

 同僚はスマホの録画機能を止めて諦めてトイレから出た。その時だった・・

  「何が幽霊だよ、山本の野郎！！お前の仕業だろが」

 小言を言いながらトイレから出て、再び山本のいる部屋に戻るために長い廊下を歩き始めた直後、今度はすぐ後ろのトイレの中から　"それは聞こえてきた"

 ・・もどってこい・・

 「え！？」

 慌てて後ろを振り向く同僚の顔からはみるみる血の気がひいていた。