・・その狂気は伝染する・・

最終章 世界の終焉

松本義徳首相の国家非常事態宣言108

　「前の車止まって下さい。前の車止まって下さい。高速隊です。」

 マイクでそう叫ぶ高速隊のパトカーに飯塚研究員はさらにアクセルを踏み込む。しかし、飯塚達の視界に入ったのは高速のど真ん中から迫りくる感染者達の群れだった。

　慌てて速度を落とすと、ブレーキをさらに強く踏みこんだ。その勢いで体勢を崩した車は横転した。すかさず後続のパトカーが後ろに止まるとすかさず隊員らが降りてきた。

　「運転手さん！！大丈夫ですか！！！お怪我はないですか？？」

    「だ、だいじょうぶ、後ろの自衛官のほうを見てやってくれ。」

 隊員はすぐ後ろの自衛官を確認すると。

　「だめです。もう・・」

 1人の隊員がつぶやくと事態を察した飯塚は車から這い出た。

　「俺のせいで・・すまない。」

 飯塚は車の中から感染源が入った容器を取り出すと、パトカーの隊員らに言った。

　「逮捕しに来たんだろ？さ、逮捕しろ。ただこの容器は渡さないからな。」

     「逮捕？何を言ってるんですか？我々は生存者を見つけたから声をかけただけです。」