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最終章 世界の終焉

松本義徳首相の国家非常事態宣言83

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 さっそくその人面皮の細胞の一部を切り取り細かく調査すると驚きの事実が分かった。

 「博士、この皮の細胞は生きています。ご覧下さい。切り離した人面皮の端を。」

 顕微鏡で確認すると細胞分裂を繰り返しながら増殖していく様子が確認された。

 桐の箱の中の内側にもその細胞がぎっしり付いていて、箱の中身の人面皮を取りだした後もその人面皮の細胞が増殖し続けていた。

 「少し待ってくれ、頭の中が混乱してきた。これは、つまり、細胞が増殖していき新たな人面皮を再生していくと言う事なのか、あの箱の内側には黒く人の顔の跡が付いていて、そこから細胞が増殖して同じ人面皮を作るとでも、この細胞がウィルスそのものなのか?」

 その時、突然研究所の照明が切れた。その瞬間に非常用の電気が付いた。

 「うん?何事だ。機器が動かない。」

 桐の箱のあるラボの外の部屋のロックが突如始動した。

 「博士、これは・・」

 部屋中にあるガラスが突然割れ始めた。

 「慌てるな、落ち着け。」

博士は冷静にみんなに指示を出した。

 「見ろ、あの人面皮を。」

 博士が人面皮のあるテーブルを指差した。

 そこに映った姿はもはや科学の限界を超越した存在だった。

 白い袴姿で無精髭を生やし、落ち武者姿の男が人面皮を手に持ち博士らを睨みつけていたのだった。
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