・・その狂気は伝染する・・

最終章 世界の終焉

松本義徳首相の国家非常事態宣言68

　「逃げろぅぅぅ！！早くトラックに乗れ！！」

 滋賀県内では逃げ惑う人々はそれぞれ自家用車や知人の車に乗り込む中、運送トラックの運転手が小さい子供を抱えて逃げる母子を見つけては車を止め声をかけていた。

　「さぁ、早よ乗れ。もう市内はパニック状態だ。電車もバスも止まってる。」

 母子を乗せたトラックはそのまま東のほうへと車を走らせた。

　「どうもありがとうございます。本当に助かりました。ありがとうございます。」

 安堵の表情を浮かせながらトラックのドライバーに感謝をする母親に菓子パンを渡しながらドライバーは言った。

　「これ俺のメシのクリームパンだ、良かったら食べてくれ。子供にはこのドーナツが良いな。これから俺は東に向かう。良かったら来るか？一緒に東京に行くか？」

    「東京？政府の緊急非常事態宣言では家にいろと言ってたけど、東京に行けば助かるの？」

     「どのみちこれだけの気が狂った感染者の中で家に鍵をしめている事事態危険だと思う。それより東京には政府の緊急避難所もあるし、そこまで辿りつければ何とかなるだろ。」