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第三章 狂気と共に明ける明治維新

15代将軍徳川慶喜の決断126

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・・江戸上野寛永寺・・

 「これはこれは慶喜様、お一人で来られたのですか?」

 住職は境内に立たずむ慶喜を見つけ声をかけた。

「外に僅かな警護の者が数名だけいる。俺はもう将軍でもなんでもない。形だけの共和国なんてのを作り共和統領なんて名乗っていい気になりすぎた・・もう何もかも終わりだ・・」

 様子がおかしい慶喜を感じ、住職は寺の中へと慶喜を通した。

「慶喜様、とりあえずは中にお入りください。ここは安全です。」

 力抜けた抜け殻のような慶喜の肩に触れたとたんその体は震えていた。

「すまぬな。あとで必要な物はなんでも届けさせよう。」

 慶喜はそう言うと住職と共に中の部屋へと向かった。

「必要な物などございませぬ。慶喜様はもう戦うことに疲れ果てたのではござりませんか?江戸城にもう戻りたくないのでは?全てお見通しでござりまする。」
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