・・その狂気は伝染する・・

第三章 狂気と共に明ける明治維新

15代将軍徳川慶喜の決断107

・・徳島沖から数里海上・・

 「おい、松さん！あの舟見てみろよ。」

漁をしてる最中に漁師の1人が指を指した。

 「おおおおお、あれは黒船でねーか。こんなどでかい蒸気船なんざ生まれて初めて見たわ。南無阿弥陀つ！！！」

 イギリスの旗を大きくなびかせて巨大な蒸気船イギリス王立海軍旗艦を先頭に、後には80隻以上の艦船らが汽笛を鳴らしながら進んでいた。

　漁師の舟の一群はその汽笛の音とそのあまりにも巨大な船の一群を見て慌ててその場から離れた。

　「大阪の方に向かってるんだなあ。あっちではうわさの狂人なんとかて狂った人間達が暴れ回ってるて話しだし、さらに、幕府時代の生き残りの兵士達が立て込もってるて話もあるからな。おら達は街道も封鎖されてるから、詳しい話しは知らねーが、えらい戦争が起きてる事は間違いねーべや。」

　そう話すと漁師らは小舟の上からその黒船の一群を眺めていた。