・・その狂気は伝染する・・

第三章 狂気と共に明ける明治維新

15代将軍徳川慶喜の決断35

　土方は沖田を連れて屯所の近藤勇の部屋へと連れていった。

　「総司か。そこに座れ、これから言う事は大切な事で、そのためにもお前に理解と覚悟を決めて貰いたい。」

     「なんですかぁ？そんな怖い顔して、近藤さんの顔はただでさえ怖いんだから、余計怖いですよ。」

 近藤勇は伊藤甲子太郎とその一派が企てている計画を話した。

　「そういう事だ。どうする？お前の大切な友達を斬ることになる。お前はその時には参加しなくていいぞ！辛いだろうからな。」

 土方はせめてもの想いで沖田には作戦から外れるように諭した。

　しかし、沖田からは予想もしない意外な言葉が出ることに。

　「なーんだぁ！そういう事かぁ。俺も参加しますよ！新撰組の敵は僕の敵でもあるからさ。平助には悪いけどね。」

     「総司！お前いいのか？本当に？？あれほど仲良かったろ？藤堂平助とは。」


      「いいんです！いいんです！！さて、僕は子供達が待ってるのでちょっと失礼！」


       「おい！総司！！どこに、それに子供達の所に戻るのかよ！」

 唖然とする土方に近藤勇は言った。


　　「歳、あれは昔からそうだった。辛い時には思いっきり笑顔になり、そして、逃げるようにその場を離れる。心では泣いてるんだろうよ。」


 沖田総司は一人屯所のかわやで泣いていた。