・・その狂気は伝染する・・

第二章 狂気に憑かれし者達との戦いが始まる

8代将軍吉宗の戦い98

　市中所々の家々が燃えていて、熱さで逃げる江戸の庶民達は、火除けの水場に体を入れる者もいる。

　吉宗らは家臣にその者達の手当てをさせるよう命じるとともに、残った藩兵を率いて北町あたりにさしかかる。

　そこにはうようよと狂人がひしめきあっていた。その数およそ数千。

　「上、上様・・これは無理でござりまする。ここを突破するのは1万の軍勢でなければたちまち全滅してしまいまする。我らは数百、しかも鉄砲の数も足りませぬ・・」

 加納久通の言葉に吉宗は決断をする。

　「うむ、確かにこの人数でここを突破するのは甚だ無謀。しかしながら、他に方法があろうか？迂回しても狂人だらけじゃ、他の藩からの援軍は遥か北側からであろう。それに合流するにしても、時間がかかる。」

　「川越藩からの使者によりますと、川越から江戸市中に向かう所、狂人の山に出会い交戦中とのことでござりまする。向こうも大軍をもってしても苦戦してますじゃ。ここはやはり、一旦引き、そして、作戦を練りましょうぞ！上様！！」

 加納久通は吉宗に一度引くように進言をする。