・・その狂気は伝染する・・

第二章 狂気に憑かれし者達との戦いが始まる

8代将軍吉宗の戦い73

　その頃吉宗に報告に向かう老中酒井忠徳は、側用人加納久通と廊下ですれ違い、徳川宗春から預かった小姓を見なかったかと尋ねられた。

　「小姓？そのような者見ておりませぬぞ！おそらく別の世話人が、いろいろと部屋の案内やしきたりついて教えてるんじゃろ。」

     「なら良いが、ま、分かったわ。それより、あの箱は神前の間に届けたのか？」


      「ああ、神棚に置いてきた。夜にいよいよお焚き上げでござるな。これで享保の狂人騒動は終わりでござる。全て終わったら、二人で酒でも一献飲もう。」

      「うむ、お主の下手くそな浪歌でもまた聞きたくなったでござる！！わっはっはっ。」

 そういうと老中酒井忠徳と側用人加納久通はそれぞれの部屋へと向かった。



 一方神前の間で、用をたしにかわらへ行って戻ってきた見張りの兵士は、襖が開いてるのに気付き中を確認しようとしていた。

　「酒井忠徳様がまだ部屋にいらっしゃるのか、どれ、あ、これは・・大変じゃ・・・」

 兵士が中を覗くと箱の蓋が開けられ、中の物が外へ出ている。兵士はそれ以上近づかず、そのまま、人を呼びにいった。

その部屋には小姓の少年はすでにいなかった・・