・・その狂気は伝染する・・

第二章 狂気に憑かれし者達との戦いが始まる

8代将軍吉宗の戦い71

　元々吉原に売り飛ばされた農民の子であった、その少年は礼儀や学問とはおよそ無縁であったため、突然に江戸城に連れてこられ、その広さや、周りの大人達、目に入る全てが興味心で溢れていたのだ。だからこそその不思議な箱が、とても大事そうに、怖い顔で将軍直々に、部屋へと運ばせられた事がたまらなく不思議だった。

　吉宗の側から、ふと消えて、酒井忠徳の跡をつけた少年は、酒井忠徳が神前の間から出たタイミングを見計らい、その神前の間に入り込む。


　そして、神棚に置かれしその桐の箱を手に取った。