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Case 秋
千の秋と哺乳類-2
しおりを挟む男の名はピエトロ。
殺人オフ会の支配人だそうだ。
巷を騒がせている殺人オフ会の主催者が、わざわざ地下アイドルの私に何の用なのか。
「殺人オフ会に参加してほしい、とかぁ?」
「そうではない」
「私のアイドルの知名度を使ってエッチな商売を始める?」
「違う。そこまでの価値はない」
腹立つな。
「津田千秋26歳に依頼したいのは、他でもない可変長符号の捜索だ。僕もこの世界に生まれた登場人物、ピエトロとして世界の存在意義を調べたい。1人より仲間がいた方が効率がいいと、そういうこと」
「ひとりぼっちなんだねぇ。ぴぇとろさん」
ピエトロから言われるまでもなく、当面の目的は同じだ。
今回はリスポーンの時点でネズミが近くにいたから良いが、時代や場所、設定が違うのであればそもそもネズミもいなかった。
手を組むのはいい。
問題は彼が何を求めているのかだ。
「ピエトロと言ったか。世界の存在理由の君なりの答えはあるのかな」
「津田千秋26歳」
「千秋でいい」
「あはぁ、この人面白いねぇ」
「津田千秋26歳」聞けよ「僕はピエトロ、殺人オフ会の支配人。つまりは殺しみを世に蔓延させるためにいる。津田千秋26歳なら既に感じているだろうが、この世界には殺しみが少ない。ともすればオフ会は廃業になるレベルだ」
「殺したい人間がいないんだからねぇ。うん。それはぁしょうがないねぇ」
ピエトロは口に指をあてネズミを黙らせようとする。
相槌が気にくわないようなので私も同じようにネズミに「しー」ってする。
「可変長符号が世界の創造主であるなら、殺しみが薄いこの世界こそ彼の今の理想。環境、時代、場所、可変長符号は言うなれば平和な世界軸に存在していると予想できる。だがそれは大きな矛盾だ。つまり僕はこう考えている。可変長符号は我々を起爆剤に、混乱を引き起こしたいのではないかと」
香水の強いOLが目の前を通り過ぎた。
日曜日だけ気を遣って演説をする政治家。
肌寒くなり始めた秋の風とネズミの間抜けな顔と対比するピエトロ。
「理屈としてはわかった。私がピエトロと組むメリットはあるのか」
「効率がいい。という理由では通らなそうだね。一枚だけカードを切るよ。そこにいるネズミ、彼は可変長符号の残滓だ」
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