Facters 宇宙へ挑む者達 ~ 初代当主と仲間と共に

國上 絢女

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第1章 運命と出会い

第一話 運命との対峙

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恐ろしい…… 怖い…… 死にたくない……

生まれて初めて ”死” それを強く感じた。

それと同時に、ふっと頭に言葉が浮かんでくる


『なぜ、お前は運命に抗おうとしない?』

『そのまま ”死” を受け入れるのか?』

『死に際に、何もしない人間なのか?』

『死ぬまで”ヘタレ”なのか?』

『それが嫌なら戦え! 抗え!』

『運命を変えろ!! 未来を変えろ!!』

『己の力を信じろ!!!』


 その言葉は、なぜか僕の心に響いた

 壮絶な勢いで過去の記憶が頭の中を流れていく


 "今までなぜ抗わなかったんだ”

 ”あれだけ後悔したのに……”

 ”いま抗わなかったらもうチャンスはないんだぞ!”

 ”カッコ悪くてもいい”

 ”無駄でもいい”

 ”一生に一度くらい運命に抗おうじゃないか!”


 そう心に言い聞かせて、僕は立ち上がった。


 目の前には地竜ロックドラゴン……

 地竜ロックドラゴンは、天塔ティマイオスの最上階、つまり試練の間にしか現れないことで有名だ。

 なぜ、そんな怪物がこんなところにいるのかは分からない……

 でも、今ここで、戦わずに戦わずに立っていることは、地竜ロックドラゴンの獲物、つまり ”死” それを意味するということくらい分かっている。

 でも、地竜ロックドラゴンを目の前にすると、足がすくみ体が動かない……


 そんな中で、少年は、意を決する。

 代々受け継がれてきた魔術神鞄の中から一本の小太刀を取り出した。

 その小太刀は、歴史を感じさせる直刃、美しい反り、そして神々しい光を放っていた。


 ”この小太刀ならいけるかもしれない”

 ”いや、倒さなきゃならないんだ”

 ”一分でも長く 一秒でも長く 自分の意志を貫き通そうじゃないか!!”


 僕が心にそう誓うと、小太刀は光を増し、少年にも力があふれてきた。


 一瞬の静寂

 そして、少年は駆け出した


 自らの命を懸けて…

 後に残るのは生か死のみ

 もう、後戻りはできない

 望むのは、この絶体絶命とも言える状況からの生還を果たすことのみだ・・・

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