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終わらない始まり
商業施設
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2人は何やら俺に用があるらしいが、それだけ声を出せば【ゾンビ】が集まっていく。
そうすれば俺はそこに近づくことができない。
なので手を振って先へ進むことにした。
「おい! ふざけるな!」
「無視しないで!」
怒鳴られているが、俺は何も悪くない。
そう、自分の命が一番大事であるのだから。
バカでもわかりやすいよう、2人にマンションの下を見るよう指を向ける。
そこでようやく、【ゾンビ】が集まってきていることに気づいたらしい。
集まっていてもいなくても、結局無視して進んだけどな。
食料でも取って来いと言うつもりなのだろうし。
「待ってくれ! 頼む!」
「お願い! 見捨てないで!」
状況を理解したからか、縋るように頼んでくる声が聞こえるけど。
2人が声を出してくれてるおかげで俺は進みやすくなっている。
【ゾンビ】が全部、2人の元へ向かっているのだ。
中には俺を見てこっちに向かってくるのもいるけど、その数は少ない。
……持ち物に目覚まし時計を追加するか?
タイマーの音で【ゾンビ】を集められるかと思ったが、投げた場合は壊れるだろう。
置き型の時限式でしか使えないなら微妙なところか。
爆竹の方がまだ使い道はあるかな。
気づけば2人の声は聞こえなくなっていた。
それだけの距離を進んだというよりは、呼びかけるのを諦めたんだろう。
あの2人の声に反応して他からも顔を出してくるかと思ったんだが、誰もいなかったな。
既に【ゾンビ】の仲間入りしてるのか、俺みたいに移動してどこか拠点でも作ってるのか。
……そういえば、この辺りにホームセンターがあったな。
ホームセンター……で呼び方あってるよな?
食品売り場や本屋、服屋におもちゃ売り場。家具とかもあるけど……うん。
ショッピングモールかデパートって言うんだったっけ?
まあ、呼称はどうでもいいか。
服屋もあるならそこに向かおう。
幸いにも進んでる道の途中にあるし。
問題があるとすれば、そこに人が大勢いて面倒な事になるかもしれないってところかな。
道中、【ゾンビ】の数があまりいないなと思っていたが、目的地の建物入り口に結構集まっていた。
あれだけの物量なのに入れないってことは、入り口に何か置いてあるんだろう。
置かれてなくて入れないのだとしても、あの量相手は無理だ。
他の出入り口は立体駐車場や裏口なんかがあるけど、ほとんど似た感じなのだろう。
一番入れる可能性がありそうなのは立体駐車場からかな。
屋上は周りを見回すのに最適だし、そこを目指して見るか。
この建物は広い上に8階まである。
駐車場も同じ階数あるため、登るのもそこそこ体力持っていかれるな。
1階、2階と【ゾンビ】が徘徊していたが、普通にスルーして登れたのだが。
3階へと続く上り坂の途中で車が3列並べられ、道がふさがれていた。
まあ、【ゾンビ】ならこれで大丈夫だろうけど……人相手には時間稼ぎにしかならない。
上り坂なので少し面倒だったがボンネットに乗って車を超える。
ここで【ゾンビ】の進行を止めたのか、3階以降は【ゾンビ】の影はないように見える。
だけど突破された時用の時間稼ぎか、各階層に行く道を車で塞がれていた。
そのため、体力は削られるし時間もかかるし。
今更ながら、出入り口はコッチじゃなくて別にあるのではと思う。
補給してきたものをここまで運ぶのはキツイ。
裏口が当たりだったか……。
既に6階まで登ってきたし、このまま登り切るけど。
少し先を急ぎすぎたか。
屋上の手前で休憩を挟み、体力を回復させる。
可能性としてだが、いきなり襲われることもあると思う。
バールは……しまっておかなくても言い訳すればいいか。
トンカチも念のため取り出しやすいところに移す。
もちろん、相手から見えない位置に隠すようにしてだ。
小一時間ほど休んだけど満足とはいかないが、8割くらいなら逃げるくらいできるだろう。
坂を登りきるなんてことはせず。
顔だけ覗かせて辺りを見回す。
【ゾンビ】はおらず、見張りとしてか2人1組でそれぞれの方角を見回していた。
男女混合で、中学生から50代くらいの年齢幅だろうか。
後ろ姿からだから違うかもしれないが。
「こんにちは。ここのリーダーと話をさせてもらえないかな」
バールをしまい、姿を完全に出して声をかける。
そこでようやく彼ら……といっても3ヶ所は距離があって声が届いていない。
近くにいた2人が俺に気づいた。
中学生の男の子と40代のおじさんであり、俺の姿を見て驚き、慌てていた。
「え、ええっと……君は一体……」
「おじさん! その前に連絡しないと」
「あ、ああ。そ、そうだったね」
トランシーバーを手に、男が屋上にきたと話している。
個人ではなく全員に話がいくのか、他の3ヶ所にいる人たちがこちらを見て集まってきた。
……さて、友好的な話し合いができるといいが。
そうすれば俺はそこに近づくことができない。
なので手を振って先へ進むことにした。
「おい! ふざけるな!」
「無視しないで!」
怒鳴られているが、俺は何も悪くない。
そう、自分の命が一番大事であるのだから。
バカでもわかりやすいよう、2人にマンションの下を見るよう指を向ける。
そこでようやく、【ゾンビ】が集まってきていることに気づいたらしい。
集まっていてもいなくても、結局無視して進んだけどな。
食料でも取って来いと言うつもりなのだろうし。
「待ってくれ! 頼む!」
「お願い! 見捨てないで!」
状況を理解したからか、縋るように頼んでくる声が聞こえるけど。
2人が声を出してくれてるおかげで俺は進みやすくなっている。
【ゾンビ】が全部、2人の元へ向かっているのだ。
中には俺を見てこっちに向かってくるのもいるけど、その数は少ない。
……持ち物に目覚まし時計を追加するか?
タイマーの音で【ゾンビ】を集められるかと思ったが、投げた場合は壊れるだろう。
置き型の時限式でしか使えないなら微妙なところか。
爆竹の方がまだ使い道はあるかな。
気づけば2人の声は聞こえなくなっていた。
それだけの距離を進んだというよりは、呼びかけるのを諦めたんだろう。
あの2人の声に反応して他からも顔を出してくるかと思ったんだが、誰もいなかったな。
既に【ゾンビ】の仲間入りしてるのか、俺みたいに移動してどこか拠点でも作ってるのか。
……そういえば、この辺りにホームセンターがあったな。
ホームセンター……で呼び方あってるよな?
食品売り場や本屋、服屋におもちゃ売り場。家具とかもあるけど……うん。
ショッピングモールかデパートって言うんだったっけ?
まあ、呼称はどうでもいいか。
服屋もあるならそこに向かおう。
幸いにも進んでる道の途中にあるし。
問題があるとすれば、そこに人が大勢いて面倒な事になるかもしれないってところかな。
道中、【ゾンビ】の数があまりいないなと思っていたが、目的地の建物入り口に結構集まっていた。
あれだけの物量なのに入れないってことは、入り口に何か置いてあるんだろう。
置かれてなくて入れないのだとしても、あの量相手は無理だ。
他の出入り口は立体駐車場や裏口なんかがあるけど、ほとんど似た感じなのだろう。
一番入れる可能性がありそうなのは立体駐車場からかな。
屋上は周りを見回すのに最適だし、そこを目指して見るか。
この建物は広い上に8階まである。
駐車場も同じ階数あるため、登るのもそこそこ体力持っていかれるな。
1階、2階と【ゾンビ】が徘徊していたが、普通にスルーして登れたのだが。
3階へと続く上り坂の途中で車が3列並べられ、道がふさがれていた。
まあ、【ゾンビ】ならこれで大丈夫だろうけど……人相手には時間稼ぎにしかならない。
上り坂なので少し面倒だったがボンネットに乗って車を超える。
ここで【ゾンビ】の進行を止めたのか、3階以降は【ゾンビ】の影はないように見える。
だけど突破された時用の時間稼ぎか、各階層に行く道を車で塞がれていた。
そのため、体力は削られるし時間もかかるし。
今更ながら、出入り口はコッチじゃなくて別にあるのではと思う。
補給してきたものをここまで運ぶのはキツイ。
裏口が当たりだったか……。
既に6階まで登ってきたし、このまま登り切るけど。
少し先を急ぎすぎたか。
屋上の手前で休憩を挟み、体力を回復させる。
可能性としてだが、いきなり襲われることもあると思う。
バールは……しまっておかなくても言い訳すればいいか。
トンカチも念のため取り出しやすいところに移す。
もちろん、相手から見えない位置に隠すようにしてだ。
小一時間ほど休んだけど満足とはいかないが、8割くらいなら逃げるくらいできるだろう。
坂を登りきるなんてことはせず。
顔だけ覗かせて辺りを見回す。
【ゾンビ】はおらず、見張りとしてか2人1組でそれぞれの方角を見回していた。
男女混合で、中学生から50代くらいの年齢幅だろうか。
後ろ姿からだから違うかもしれないが。
「こんにちは。ここのリーダーと話をさせてもらえないかな」
バールをしまい、姿を完全に出して声をかける。
そこでようやく彼ら……といっても3ヶ所は距離があって声が届いていない。
近くにいた2人が俺に気づいた。
中学生の男の子と40代のおじさんであり、俺の姿を見て驚き、慌てていた。
「え、ええっと……君は一体……」
「おじさん! その前に連絡しないと」
「あ、ああ。そ、そうだったね」
トランシーバーを手に、男が屋上にきたと話している。
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