望む世界

不思議ちゃん

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終わらない始まり

補給

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 入った場所はベッドがあるから寝室だと思う。
 今更だが、この家に人がいたら面倒だな。
 ガラスの音でバレてると思うからどうしようもないが。

 ここに目当てのものはないのでドアに耳を当て、廊下から音が聞こえないのを確認する。

 ゆっくりドアを開け、廊下の様子を確認する。
 出た左手に階段。右手にドアが3つある。
 そのうち2つにネームプレートが下げられているから、子どもの部屋なのだろう。

 背後から襲われるかもしれないが、飲み物さえもらえたらそれでいい。
 襲われたときに対処すれば大丈夫だろう。

「な、なんだね君は!」

 階段を降りていけば、リビングから家主と思われる人が包丁を片手に出て来る。

「大きな声を出すと【ゾンビ】がきますよ」
「…………」

 親切に教えてあげたというのに、警戒を強めている。

「……探索してて飲み物なくなったんで、それを貰おうかなと。そしたら帰りますよ」
「……本当だな?」
「ええ」

 手に持っていた鉈を床に置き、家主に向け蹴飛ばして自分から遠ざける。
 それを拾った家主は俺と鉈にしばらく見ていたが、1つため息をついてリビングへと入っていく。

 許可が貰えたのだろうか。
 少し警戒しながらリビングに向かうと、そこには家主に奥さんと思われる人。高校生くらいの子どもが2人いた。

 不安そうに俺のことを見ているが、何もして来なければ俺だって何もしないさ。
 無抵抗な人相手にしても今は体力の無駄だ。

「それじゃ、貰っていきます」

 まだ大丈夫だと思うが、水道や電気はそのうち止まるだろう。
 運営する人がいなくなればやめた方がいい。

 思っていた以上に飲み物の消費が早かった。
 少し見直しが必要か。

「水、ありがとうございます」
「ならこれを持ってさっさと出て行ってくれ」

 俺も早く探索に戻りたいのは同じだ。

「お礼にいくつか【ゾンビ】について情報でもあげようか?」
「……それは確かなことなのか?」
「俺が検証して得たことなら、確かなんじゃない?」

 何故、こんな提案をしたのか自分でも不思議だ。
 だけどなんとなく、こうした方が良くなるような気がした。

 俺は【ゾンビ】、そして【変異種】について。俺がどうやって移動してきたか。
 電気や水、食料についても今後どうなるかの予想を含めて話した。

 話すことは話したため、質問などは受けないでその場を後にした。
 真剣に考えているから他の人たちよりは長生きするかもしれないな。
 長生きするのがいいことだとはあまり思わないが。



 物の見直しをするため、ホームセンターに向かうか。
 もしかしなくても既に人が居ついているかもしれないが、今度は争いになるかな?
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