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終わらない始まり
一先ずの検証
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一階の雨戸は閉めたままにし、玄関の鍵が閉まっていることを確認。
この家が建っているところは元々丘のようで他より高い位置にある。
「おー、大規模火災ですか」
窓から遠くにあるビル群の方を見れば煙が上がっていた。
まだネット環境があるうちに【ゾンビ】に関しての情報を集めていく。
本来ならサバイバル術。特に水や食料に関するものを見た方がいいのだろうが、友達のいない俺はすでに読み込んでいる。
最近は辞書にまで手を出したほどなのだから。
人は脳がセーブをかけており、二割ほどしか本来の性能は発揮できていない。
それ以上の力を出そうものなら、体が持たず、壊れていく。
だが、動画に映っている【ゾンビ】たちはそのリミッターが外れているように見える。
それでいて問題があるわけでもない。
海外のものだと自衛で銃を携帯してるため、応戦している様子もあった。
腕や足が吹き飛んでも、心臓に撃ち込まれても衝撃でよろめくだけであり、構わず襲いかかっている。
ゲームのように何発も胴体に当てれば倒れるというわけでもないようだ。
脳みそを壊すか、頭と体を離すしか倒す方法は無いらしい。
音が無く、弾無限の銃が欲しいとこだが、それこそゲームだ。
だが、ゲームではできないことが出来るのも現実のいいところとでも言っておこうか。
殲滅もやってみたいが、取り敢えずは探検だ。
どんなことが待っているのか、考えるだけで楽しみである。
今日1日だけ待って、明日から探索を始めよう。
そしたらきっと、ここにも【ゾンビ】が溢れてるだろうから。
翌朝の目覚ましは何か分からないが大きな音だった。
最悪な目覚ましなのでまだ頭が寝ぼけているが、姿が見えないようカーテンの隙間から外の様子を伺う。
家の前はトラックが通っても幅に少し余裕がある道路なのだが、そこで軽自動車が電柱に頭から突っ込んでいた。
前は潰れているが、運転手は無事なようで。
動いているのは分かるのだが、何やら様子が少しおかしい。
近所に住む顔見知りのおばさんが出てきて車へと近づいていき、中の様子を確認して後部座席のドアを開けている。
「あ、噛まれた」
ドアから出てきた中学生くらいの男の子がおばさんの腕に噛み付いた。痛みに転がり、離そうともがいているが力が強くて無理らしく。
様子を見ていたおっさんが救助に入り、後ろから羽交い締めにして離している。
「…………」
後部座席から今度は母親と思われる人が出てきて、後ろからおっさんの肩へと噛み付いていた。
その痛みで拘束が緩み、抜け出した中学生くらいの男の子は痛くて騒いでるおばさんを食べ始める。
5分ほどだろうか。骨が見え始めたりした所で母親と男の子は食べるのをやめて立ち上がり、フラフラとどこか歩いていく。
そしてすぐ、明らかに致死量の血が出ていたはずの二人が立ち上がり。
同じようにフラフラとどこかへ歩いて行ってしまった。
「…………」
まだ二人の姿が遠くならないうちに大きな音を立てないよう窓を開け、近くにあった時計を道路に向かって投げる。
──カシャン
そこそこ大きな音が響き、おじさんおばさん、そして母親と男の子までフラフラと発生源に戻ってきた。
しばらくその辺りをウロウロとしていたが、何もないと分かるとまたどこかへと行ってしまう。
音を立てないよう気をつけながら、急いで下の階から茶碗やガラスのコップを持って戻る。
そして同じように道路へ向けて投げては集める行為を何回か繰り返した。
何度も繰り返しているというのに学習しないため、知能はないとみていいだろう。
変異種がいる可能性も捨てきれないが、取り敢えずの認識は「力が強いがバカ」でいいか。
目が見えるのか確かめたいが、昨日のうちにしておけばよかった準備を忘れていた。
それと朝起きてから水すら飲まず検証していたからお腹が空いてきた。
ご飯食べてから準備して外へ出るか。
この家が建っているところは元々丘のようで他より高い位置にある。
「おー、大規模火災ですか」
窓から遠くにあるビル群の方を見れば煙が上がっていた。
まだネット環境があるうちに【ゾンビ】に関しての情報を集めていく。
本来ならサバイバル術。特に水や食料に関するものを見た方がいいのだろうが、友達のいない俺はすでに読み込んでいる。
最近は辞書にまで手を出したほどなのだから。
人は脳がセーブをかけており、二割ほどしか本来の性能は発揮できていない。
それ以上の力を出そうものなら、体が持たず、壊れていく。
だが、動画に映っている【ゾンビ】たちはそのリミッターが外れているように見える。
それでいて問題があるわけでもない。
海外のものだと自衛で銃を携帯してるため、応戦している様子もあった。
腕や足が吹き飛んでも、心臓に撃ち込まれても衝撃でよろめくだけであり、構わず襲いかかっている。
ゲームのように何発も胴体に当てれば倒れるというわけでもないようだ。
脳みそを壊すか、頭と体を離すしか倒す方法は無いらしい。
音が無く、弾無限の銃が欲しいとこだが、それこそゲームだ。
だが、ゲームではできないことが出来るのも現実のいいところとでも言っておこうか。
殲滅もやってみたいが、取り敢えずは探検だ。
どんなことが待っているのか、考えるだけで楽しみである。
今日1日だけ待って、明日から探索を始めよう。
そしたらきっと、ここにも【ゾンビ】が溢れてるだろうから。
翌朝の目覚ましは何か分からないが大きな音だった。
最悪な目覚ましなのでまだ頭が寝ぼけているが、姿が見えないようカーテンの隙間から外の様子を伺う。
家の前はトラックが通っても幅に少し余裕がある道路なのだが、そこで軽自動車が電柱に頭から突っ込んでいた。
前は潰れているが、運転手は無事なようで。
動いているのは分かるのだが、何やら様子が少しおかしい。
近所に住む顔見知りのおばさんが出てきて車へと近づいていき、中の様子を確認して後部座席のドアを開けている。
「あ、噛まれた」
ドアから出てきた中学生くらいの男の子がおばさんの腕に噛み付いた。痛みに転がり、離そうともがいているが力が強くて無理らしく。
様子を見ていたおっさんが救助に入り、後ろから羽交い締めにして離している。
「…………」
後部座席から今度は母親と思われる人が出てきて、後ろからおっさんの肩へと噛み付いていた。
その痛みで拘束が緩み、抜け出した中学生くらいの男の子は痛くて騒いでるおばさんを食べ始める。
5分ほどだろうか。骨が見え始めたりした所で母親と男の子は食べるのをやめて立ち上がり、フラフラとどこか歩いていく。
そしてすぐ、明らかに致死量の血が出ていたはずの二人が立ち上がり。
同じようにフラフラとどこかへ歩いて行ってしまった。
「…………」
まだ二人の姿が遠くならないうちに大きな音を立てないよう窓を開け、近くにあった時計を道路に向かって投げる。
──カシャン
そこそこ大きな音が響き、おじさんおばさん、そして母親と男の子までフラフラと発生源に戻ってきた。
しばらくその辺りをウロウロとしていたが、何もないと分かるとまたどこかへと行ってしまう。
音を立てないよう気をつけながら、急いで下の階から茶碗やガラスのコップを持って戻る。
そして同じように道路へ向けて投げては集める行為を何回か繰り返した。
何度も繰り返しているというのに学習しないため、知能はないとみていいだろう。
変異種がいる可能性も捨てきれないが、取り敢えずの認識は「力が強いがバカ」でいいか。
目が見えるのか確かめたいが、昨日のうちにしておけばよかった準備を忘れていた。
それと朝起きてから水すら飲まず検証していたからお腹が空いてきた。
ご飯食べてから準備して外へ出るか。
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