望む世界

不思議ちゃん

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◾︎が◾︎◾︎◾︎◾︎

目を通して

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 あくまで足止めがメインであるためか。
 2匹の【ゾンビ犬】は俺と薫を分断するように立っているが、襲いかかってこない。

 分かりやすい隙を作っても、反応はするけどそれで終わり。
 突っ込んでもその分距離を取られ、無視して抜けようとすればいいように邪魔される。

 明らかに、誰かの指示だろう。

 さて、どこで見ているのか。
 隙を見せたって襲いかかってこないため、ビルの屋上なんかに人がいないか確認していく。

「…………っと」

 さすがに無防備すぎたからか、喉元に噛みつかれる未来を見た。

 構えるのが早すぎたため、近づいて来ていた犬は足を止めて警戒に戻ってしまう。
 カウンターで倒すことができなくなったが……楔を打ち込むことはできた。

 これでまた無防備で探したとしても、罠なのではと疑って仕掛けてこないだろう。
 もっとも、使い捨てと考えている場合は別だが。

 極論だが、使い捨てた場合は駒がたくさんあるから問題無いという可能性と、ただの馬鹿という可能性。

 そうでないなら駒が揃っておらず無駄にできない可能性、指示してる人が慎重、もしくは賢い可能性。

 あまりあって欲しくないのは駒が潤沢に揃っており、指示してる人が賢くて慎重な性格をしてる場合だ。

 相手が知能なしである【ゾンビ】だけならば、脳みそまでもが筋肉の人も生き残っていけるだろう。

 だけど世の中にはいろんな"しがらみ"がある。

 考える頭がなければ、よほどの運がない限り生きていけない。

 …………ああ、嫌なことを思い出した。

 1度深呼吸をして心を落ち着かせる。

 それにしても、周りを見回してるが見当たらない。
 建物の中だという線も考えて見ていったのだが……。

 考えられるのは遠くから道具なり使って観察してる場合か──。

「こいつらの目を通して、だよなぁ」

 考えるなかでは、その線が一番ありえそうだ。

 1匹だけなのか、複数見れるのか。
 視点の切り替えはすぐにできるのかか、など。
 色々と検証したいとこだが。

 まず最初に、薫の件を終わらせないとな。
 片付きそうなものからやっていかないと、どんどん溜まってく。
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