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◾︎が◾︎◾︎◾︎◾︎
違和感しかない
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警戒を怠ったわけでは無いが、戦闘による時間がかからないのでサクサク進み、午前のうちにだいぶ距離が稼げた。
周りにビルが増え、遠目にだが【ゾンビ】も確認している。
もしかしたら地区によって生態というか、在り方が違うのでは?
いや、ゲームじゃないのだから移動できない何てことは無いだろう。
となると、その地区に入ったら変わるとか?
非現実的なことがあり得るからとはいえ、流石にこれはないな。
「久しぶりの【ゾンビ】!」
向かう先の曲がり角がら【ゾンビ】が現れ、薫は喜んで走っていく。
ただの【ゾンビ】でも、1日ぶりに肉を断つ感触を味わえるから嬉しいのだろう。
どうせすぐに終わるんだろうなと思って見ていたが、距離を半分ほどまで詰めたところで薫は足を止め。
ナイフも取り出し、『何か』にとても警戒していた。
その様子に俺も近づくのをやめてその場に止まり、鉈を手に警戒を強める。
先に見えるのは【ゾンビ】が右から左へとただ普通に歩いているだけ。
周りを見回しても特におかしな所は無いように見える。
ビルや店が立ち並び、何もない道路が続いているだけなのだから。
……………………。
…………。
道路に1台も車がない。
人の影もない。
【ゾンビ】が1体だけ。
言葉にして並べれば違和感しかない。
何故ここまで人がいない?
それにあの【ゾンビ】も何か引っかかる。
こちらに見向きもせず、ただ普通に歩いているだけなのに。
──なんだか罠みたいだな、と思った。
逃げる人たちよりも……戦いたい人を誘い込むための。
そんな事、あるわけないと思いたい。
けど、未来が見える薫が突っ込んでいかない事が否定したい考えを否定する。
あれよりも先に進めば、何かが起こるのだろう。
それがなんなのか、俺に知る由もないが。
【ゾンビ】にそこまでの知能は無いはずだ。
誰かが指示でもしない限りは。
新しい【変異種】なのか。
それとも──【ゾンビ】にならないで【異能】のような力を身につけた人『だった』ものなのか。
「薫。一旦引くぞ」
嫌な予感しかしないため、仕切り直そうと薫に近づいて声をかけたのだが。
「……おにーさん。もう無理みたい」
いつもより低い声のトーンで返事がくる。
薫が返事したのとほぼ同時に。
歩いていた【ゾンビ】が歩みを止め、上半身をひねり、俺らの方を見る。
【ゾンビ】が感情を持ってるなんて思っていない。
けど、そいつは俺らを見た時──笑った気がした。
周りにビルが増え、遠目にだが【ゾンビ】も確認している。
もしかしたら地区によって生態というか、在り方が違うのでは?
いや、ゲームじゃないのだから移動できない何てことは無いだろう。
となると、その地区に入ったら変わるとか?
非現実的なことがあり得るからとはいえ、流石にこれはないな。
「久しぶりの【ゾンビ】!」
向かう先の曲がり角がら【ゾンビ】が現れ、薫は喜んで走っていく。
ただの【ゾンビ】でも、1日ぶりに肉を断つ感触を味わえるから嬉しいのだろう。
どうせすぐに終わるんだろうなと思って見ていたが、距離を半分ほどまで詰めたところで薫は足を止め。
ナイフも取り出し、『何か』にとても警戒していた。
その様子に俺も近づくのをやめてその場に止まり、鉈を手に警戒を強める。
先に見えるのは【ゾンビ】が右から左へとただ普通に歩いているだけ。
周りを見回しても特におかしな所は無いように見える。
ビルや店が立ち並び、何もない道路が続いているだけなのだから。
……………………。
…………。
道路に1台も車がない。
人の影もない。
【ゾンビ】が1体だけ。
言葉にして並べれば違和感しかない。
何故ここまで人がいない?
それにあの【ゾンビ】も何か引っかかる。
こちらに見向きもせず、ただ普通に歩いているだけなのに。
──なんだか罠みたいだな、と思った。
逃げる人たちよりも……戦いたい人を誘い込むための。
そんな事、あるわけないと思いたい。
けど、未来が見える薫が突っ込んでいかない事が否定したい考えを否定する。
あれよりも先に進めば、何かが起こるのだろう。
それがなんなのか、俺に知る由もないが。
【ゾンビ】にそこまでの知能は無いはずだ。
誰かが指示でもしない限りは。
新しい【変異種】なのか。
それとも──【ゾンビ】にならないで【異能】のような力を身につけた人『だった』ものなのか。
「薫。一旦引くぞ」
嫌な予感しかしないため、仕切り直そうと薫に近づいて声をかけたのだが。
「……おにーさん。もう無理みたい」
いつもより低い声のトーンで返事がくる。
薫が返事したのとほぼ同時に。
歩いていた【ゾンビ】が歩みを止め、上半身をひねり、俺らの方を見る。
【ゾンビ】が感情を持ってるなんて思っていない。
けど、そいつは俺らを見た時──笑った気がした。
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