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◾︎が◾︎◾︎◾︎◾︎
警戒っ!
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しかし、飽きたと言われてもどうしたもんか。
「そもそもイージーモードで倒せるのって、未来が分かるからだよな?」
「うん」
「それ、意識して発動できないようにとか無理?」
「そんなこと出来るの?」
「知らないけど」
普通は試さないし、今考えついたから検証していない。
俺の場合は発動が死ぬ時の未来であるため。
検証するために見れなくなったら、もれなく『死』が待っている。
「不意打ちもらって死んでも困るし、今のまま我慢してもらうしかないけど」
「え……発動のオンオフを自由に出来る流れじゃないの?」
そのような流れは最初からない。
「面倒だし、出来るとも限らない。オンオフを自由にできたとしても、オフの時に不意打ちもらったらどちらにしろ終わりだ」
「じゃあ、死の危機にだけ常時発動とか?」
「ただのオンオフよりも時間がかかりそうだな。……それこそ、飽きないでやってられるか?」
「無理」
薫は首を横に振った後、諦めたようにため息をつく。
「近いうちに新しい【変異種】と戦えるはず」
「どうして言い切れるの?」
「俺がそう望んでるから」
「……おにーさんを中心に回ってるみたいな?」
そんな大層なものじゃない。
ただ望んでいるだけ。
薫のために言ったというよりは、そうあって欲しい俺の願い。
「『言霊』を信じてるか?」
「んー、概念的な感じでは知ってるみたいな?」
「それじゃあ、質問を変えよう。……こうやって世界が終わるって思ってたか?」
隣を歩く薫は少しだけ考え込み、首を横に振る。
「こうなって欲しいって考えたことはあるけど、本気で信じてはいなかったよ」
「そう。誰もこうなる未来を予測できない。薫みたいに考えはするが、本気で信じる奴はいないだろう。……加えて【異能】なんてものもある」
「結論は?」
「『言霊』だって実際にあったっていいじゃん」
こうなる前の世界から、『言霊』を信じてる人はいた。
実際に結果が出たとか話を聞くが、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる。
占いみたいなもので、自分にとっていいように捉えてるだけだ。
けど、想像のものが現実となった今、手のひら返しと言われようが都合のいいものを信じる。
「おにーさん、出会った頃と全然違うね」
「そうか?」
「うん。もっと冷たくて尖ってたのに、ネタキャラみたい」
「よく分からないが、似たような事を昔に言われたことはある」
…………。
話しながら進んでいたため、気付くのが遅くなったが。
「薫。【ゾンビ】や【変異種】、見かけたか?」
「……見てない」
警戒して周りも見ていたつもりだが、住宅街を抜け、大きくはないがビルも並ぶ地域に来ていた。
本来なら人が多く歩いているであろう通りに出ても、影すら見えない。
「……良かったじゃないか。望んでいた変化だぞ」
「確かに嬉しいけど、何も出てこないままだったら──」
突然話すのをやめたかと思えば、俺たちが来た道をジッと見ている。
俺も音を立てることなく耳をすませば、足音が聞こえるのだが……人の足音じゃない。
普通は足音自体聞こえないのだが、音のない世界ではちょっとした音でも凄く響いてくる。
「警戒っ!」
薫が荷物を下ろし、トンカチとナイフを構えたところで建物の陰から何かが飛び出してきた。
「そもそもイージーモードで倒せるのって、未来が分かるからだよな?」
「うん」
「それ、意識して発動できないようにとか無理?」
「そんなこと出来るの?」
「知らないけど」
普通は試さないし、今考えついたから検証していない。
俺の場合は発動が死ぬ時の未来であるため。
検証するために見れなくなったら、もれなく『死』が待っている。
「不意打ちもらって死んでも困るし、今のまま我慢してもらうしかないけど」
「え……発動のオンオフを自由に出来る流れじゃないの?」
そのような流れは最初からない。
「面倒だし、出来るとも限らない。オンオフを自由にできたとしても、オフの時に不意打ちもらったらどちらにしろ終わりだ」
「じゃあ、死の危機にだけ常時発動とか?」
「ただのオンオフよりも時間がかかりそうだな。……それこそ、飽きないでやってられるか?」
「無理」
薫は首を横に振った後、諦めたようにため息をつく。
「近いうちに新しい【変異種】と戦えるはず」
「どうして言い切れるの?」
「俺がそう望んでるから」
「……おにーさんを中心に回ってるみたいな?」
そんな大層なものじゃない。
ただ望んでいるだけ。
薫のために言ったというよりは、そうあって欲しい俺の願い。
「『言霊』を信じてるか?」
「んー、概念的な感じでは知ってるみたいな?」
「それじゃあ、質問を変えよう。……こうやって世界が終わるって思ってたか?」
隣を歩く薫は少しだけ考え込み、首を横に振る。
「こうなって欲しいって考えたことはあるけど、本気で信じてはいなかったよ」
「そう。誰もこうなる未来を予測できない。薫みたいに考えはするが、本気で信じる奴はいないだろう。……加えて【異能】なんてものもある」
「結論は?」
「『言霊』だって実際にあったっていいじゃん」
こうなる前の世界から、『言霊』を信じてる人はいた。
実際に結果が出たとか話を聞くが、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる。
占いみたいなもので、自分にとっていいように捉えてるだけだ。
けど、想像のものが現実となった今、手のひら返しと言われようが都合のいいものを信じる。
「おにーさん、出会った頃と全然違うね」
「そうか?」
「うん。もっと冷たくて尖ってたのに、ネタキャラみたい」
「よく分からないが、似たような事を昔に言われたことはある」
…………。
話しながら進んでいたため、気付くのが遅くなったが。
「薫。【ゾンビ】や【変異種】、見かけたか?」
「……見てない」
警戒して周りも見ていたつもりだが、住宅街を抜け、大きくはないがビルも並ぶ地域に来ていた。
本来なら人が多く歩いているであろう通りに出ても、影すら見えない。
「……良かったじゃないか。望んでいた変化だぞ」
「確かに嬉しいけど、何も出てこないままだったら──」
突然話すのをやめたかと思えば、俺たちが来た道をジッと見ている。
俺も音を立てることなく耳をすませば、足音が聞こえるのだが……人の足音じゃない。
普通は足音自体聞こえないのだが、音のない世界ではちょっとした音でも凄く響いてくる。
「警戒っ!」
薫が荷物を下ろし、トンカチとナイフを構えたところで建物の陰から何かが飛び出してきた。
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