望む世界

不思議ちゃん

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終わらない始まり

見えないパラメーター

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 ここでやるべき事は終わったと思う。

 …………いや。
 まだ1つ、残っていると言えば残っている。

 デカイ【変異種】が最後に行なった『死に際の行動』。

 アレはどういったものなのだろうか。

 『何か』を『呼ぶため』のものなのか。
 『何か』に『伝えるため』のものなのか。

 呼ぶためであるならば、すでに来ていてもおかしくは無いと思う。
 ただ、ここにくるまでの距離、やってくる速さを知らないから断言できないが。

 どちらかと言えば伝えるためだと考えている。

 デカイ【変異種】は【ゾンビ】を引き連れていた。

 『指揮系統』にしろ『序列』にしろ、また・・目に見えない『何か』がある。

 どこまで伝わっているのか、何を伝えたのかは分からない。
 けど、ここに来た時の【ゾンビ】と、これから出会う【ゾンビ】で差があるのならば。

 ──もっと、今の世界を楽しめるはず。

 最初から最後まで雑魚を貫き通すのも嫌いでは無いが、物事には変化が必要だ。

 その変化は俺にも言える事だけど。
 このまま進めば、どこかで詰む。





 今回の件で薫も厄介扱いされていたようで、俺についてくるという話が出ても引き止める人はいなかった。

 東郷はそういったのを抜きして考えられるため、惜しがっていたが。

 ただでさえ薫は貴重な戦力だというのに、遠征組だった坊主頭もいない。

 ここは今後、東郷が上手く纏めて落ち着くのか。
 それとも小さなヒビが大きくなり、崩壊してくのか。

 ここを出ていく俺らには関係ないが、崩壊するのなら見てみたい。

「他に何か必要だと思うものは?」
「私、考えるの苦手なんだけど……」

 2人になったということは、運べるものの量が増やせるということだ。

 だから1人の時は諦めた物も選んでるのだが、自由度があり過ぎるのはこういう時に悩む。

 極論みたいなことを言えば、持っていく物で未来が変わる。

 物が揃ってるここで整え、いくつも分岐する未来の最善を選びたいのだが。

「【ゾンビ】を倒していくだけでいいじゃん」

 間違ってはない。
 間違ってはないが、それはゲームでの話だ。

 現実だと空腹度や疲労などの見えないパラメーターが複数存在する。

 よく生きてこられたなと思ったが、最初からここがスタートならそうなるか。

「午前にここを発つのは諦めて、お前に講義が必要そうだな」
「…………ここを出て、体験しながらの方が良くない?」

 確かにその方が覚えられるだろうが、事前に知識として有る無しでは生存率が違う。

 ただ、知識がない割には周辺の探索した時に問題なかった。

 どんな【異能】なのか分からないが、未来が見えるというのも困りものだな。
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