望む世界

不思議ちゃん

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終わらない始まり

第2形態

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 陽も傾き、空は夕暮れに染まりつつある。

 夜が訪れれば暗闇が支配するため、大人しいのなら明日にするべきとの意見も出たが。

 寝静まってる時に動かれるのも困る。

 どちらにせよ、どういう状況なのか確認しなければならないため、準備を終えて穴に集まっている。

 持っている武器は薫から貸してもらったナイフが一振り、トンカチが1つだ。
 予備でもう1つトンカチがあり、それは腰から下げている。

 戦うメンツは俺、薫のみ。

 東郷や探索組がすぐ逃げられる位置で見てはいるけど、助けには入らない。
 こいつらありきでここは成り立っているため。

 というのは建前で、やっぱり楽しみたいからだ。
 後はいても邪魔だと判断した。

 東郷なら動けるだろうが、俺らと息が合わなくて負けそうだ。

 疲れが残っているけど、いい感じの状態になっていると思う。

「いつでも」
「分かった」

 穴のそばには俺と薫の他に【透視】できるという奴が1人おり。

 俺の合図に頷き、薫に襟首を持たれて穴を覗き込む。

「──ぐえっ」

 そしてすぐ襟首を引っ張られたため、潰れたカエルのような声を出しながら後ろに転がっていく。

 引っ張られ、頭の位置がズレてすぐ。
 貫くようにして触手が穴から伸びてきた。

 もし動かされなければそのまま脳みそを撒き散らしてサヨナラであったが、そうならないために薫がいる。

 ますます、どのような【異能】なのか分からなくなってきたが。

 【透視】してもらった子は無事に東郷のとこまで行けたようだし、後は戦いを楽しむだけだ。

 触手は地面に突き立てられ、少しして穴から【変異種】が姿を見せる。

「なんか小さく……長くなってない?」

 坊主頭より2回りほどデカかったと記憶しているが、目の前に見える姿は坊主頭と同じか、1回り小さくなっている気がする。

 そして触手は3メートルだったやつが5メートルほどに。
 1メートルのは3メートルに伸びていた。

 第2形態とか、ラスボスじゃん。
 後いくつ残してるのか。

「小さくなったの、触手伸ばしたから?」
「【ゾンビ】でさえよく分かってないんだから、考えるだけ無駄……と言い切れたらいいんだがな」

 何が突破口になるのかすら不明なのだから、考える事を辞めたら勝てるものも勝てなくなる。

「質量保存の法則ぐらいは正常に働いてくれてると嬉しいんだがな」

 坊主頭が【変異種】になるとき、ボコボコと膨らんでたし。
 あの小さな体に何が詰まってるのか。

 触手や腕が増えたりとか、しないで欲しい。

「何処までできるか分からんが、やるだけやるか」

 何故かは分からないが、【変異種】は丁寧な事に待ってくれている。

 大人しいのならと。
 足を1歩下げてみたら反応してきたので、逃がすつもりはないだろう。

 最初は情報を引き出すためのちょっかいだが……何処までやれるのか。
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