望む世界

不思議ちゃん

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終わらない始まり

現実とゲーム

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 薫に少し抑えてもらい、俺と大学生は少し攻めにでる。

 といっても攻撃するという意思を強くするだけなので、腕や手を浅く切り裂かなければいけないが。

 バールはこの戦闘だと邪魔なだけなので置いてある。
 耐久力がそろそろ寿命を迎えそうな鉈一本でなんとかするしかない。

 結構使いやすいから、破壊不能とかになってくれたらいいのに。

 薫、東郷に背を向けるよう位置を調整するのは面倒だったが、俺を受け入れてない割には大学生の動きは良かった。

「そっちで声出さず、タイミング合わせてくれ」

 事前に伝えたタイミングは腕を振ったり、手で叩き潰そうとしてきた時だ。

 それなら攻撃の後なため、俺らは避けて【変異種】から距離を置いている。

 動きは鈍くて避けられないだろうし、防ごうにも液体であるため。それは叶わない。

「──ぅがぁっ!」

 あれからすぐに理想的なタイミングが訪れた。

 薫がポリタンクを切った音に反応して振り返ったため。
 顔にかかり、目にでも入ったのだろう。

 口の中も入っていれば、そこから中も焼けそうな気がするんだが……無理か。

 それよりも、この【変異種】には痛覚が残っているのか?

 切った時は特に反応が無いというのに。

 いや、もしかしたら【ゾンビ】にも痛覚が残っている可能性が?

 痛覚の有無によっては戦い方が広がる。
 検証したいが、また機会がある時だな。

 それよりも、こいつがこの後とる行動だが。
 あり得る可能性だと、特殊行動だと思う。

 ゲームだったらそんな感じだし。

 だから倒すなら今しかないだろう。

 東郷も怯んでる今がチャンスと、どんどん投げて濡らしていくし。

 これ、早めに火をつけといた方がいいな。

 2人に見えるよう、作った簡易火炎放射器を振る。

 それで意図を察してくれたのだろう。
 投げられた酒を【変異種】が被ると同時に走って近づき、炎を噴射させた。

 爆発するように燃え広がった衝撃がきたが、予め予想していたので受け身を取り。
 そのまま転がって距離を取る。

 さらに距離を取りながら様子を確認すれば、効いているのか苦しんでるように見える。

 ゲームなら体力バーがあり。
 それが0になれば死ぬのに、現実だとそうはいかない。

 ゲームなどの創作にしかいないはずの【ゾンビ】ができたんだ。
 ゲームのいい部分だけも再現してくれたらいいのに。

 現実とゲームの差があるからこそ、考えなきゃ生きていけないんだが。
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