望む世界

不思議ちゃん

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終わらない始まり

チュートリアル

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 あの奇襲に気づいたのはたまたま。

 だと思いたかったけど、危機察知でもあったら終わりだ。

 どちらなのか検証したいところだが、最悪を考えておいた方が無難か?

「……ってか、何を丁寧に武器で戦ってるんだ」

 1人で探索する気しかなかったから、使う場面がないと捨てていたが。

「噴射タイプのスプレーとライターを至急。あるなら長い武器」
「スプレーはガスボンベがあったはずだ。武器も手分けして見つけてくれ。できる限り急いで!」

 これで作れるのは射程が1メートルほどしかない簡易火炎放射器だが、効くか効かないかは試してみないと何も言えない。

 周りを確認すれば、それほど疲れていないのが俺、薫、東郷、坊主頭ぐらいだった。

 4人、か……。
 相手するには十分な数だと思うが、俺の体力が問題だ。

「屋上の見張りにいた大学生。こっちこい」

 戦えるはずの大学生を建物内で遊ばせておく理由がない。

 俺自身の体力温存のためが殆どだが、東郷や坊主頭も【ゾンビ】の処理で少なからず疲れが溜まっているだろう。

 おそらく薫がヘイトを持っていくだろうが、負担が減るに越したことはない。

「俺の指示に従うのが嫌な奴もいるだろうが、そのせいで誰かが死んだらお前のせいだ。従って誰かが死んだら俺のせいだ。文句は終わってから言え」

 愚図りそうな雰囲気を感じたので、煽って動かす。
 あいつらが俺のことをどう思おうがどうだっていい。

 俺が生き残るのなら、他が死のうと構わないのだから。

 ああ、人と触れ合いすぎて気が狂いそうだ。



 今まで俺はノンビリしていたわけだが、薫、東郷、坊主頭は【変異種】を相手にしていた。

 かと言って、何もしなかったわけではない。

 【変異種】が中途半端な知能であるが故に通じる手。

 視界に入るところで仕掛けようとするだけで反応する。

 その隙を突いて何度か腱を狙ってる3人だが、成功していない。
 何か察知的なものがあるとみていいと思う。

 【異能】があるとはいえ、序盤からこんな敵に出会うとは。

 これでチュートリアルだとしたら。
 そんなゲームはマゾな人が集まっているだろう。
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