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二輪目
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土曜を一日寝て過ごしたのでほぼ治っていたが、一応日曜も大人しく過ごした。
寝落ちして途中までしか観れてない円盤も安静にしながら日曜に全部観れたため、週明けの月曜なのに活力は十分ある。
いつも通りの朝を過ごし、家を出て会社を目指す。
最寄りから三駅ほどなので三十分もあれば着くのは嬉しいが、朝の通勤で人が多い。
なるべく人の少なそうな車両に乗ってはいるが、もう少しどうにかならないものか。
来た電車に乗り、スマホを取り出したところでふと、女性の匂いがいつもより濃いことに気が付き。
チラリと周りを見てみれば男性が殆どいない。
いつも同じ座席に座ってるおじさんもその姿はなく、見知らぬ女性がそこに腰掛けていた。
まあ、こんな日もあるかと特に気にする事もなく。
昨日見た円盤の感想を呟きつつ、仲のいい人からきていたリプを返す。
今日も帰ったら楽しもうと内心ワクワクさせていると、誰かが触れたような気がした。
朝の混雑であるし、これまでも誰かの肘が当たるなどあったから気にしなかったのだが。
少しの間を開け、今度は触れるではなくガッツリと掌で尻を揉まれている。
まさか痴漢されるとは思ってもみなかった。
たぶん女性にされてるのだろうけど……怖いって以前に扱いに困る。
どうせ次で降りるからなぁ、と考えながらもどんな人にされているのか気になり、ちらりと振り返りみれば。
ちょっと、生理的に受け付けられない人がおり。
そんな人に触られているかと思った途端に鳥肌が立ち、気付けば肘鉄をしていた。
その後、電車内でちょっとした騒ぎになったが、俺に対して痴漢をしていたと分かるや女性が非難され始め。
駅に着いた後も駅員や警察は痴漢してきた女性に対してだけ調書などを取り。
肘鉄をくらわせた俺は特にお咎めもなく、終始メンタルケアのようなことをされていた。
扱いの差を少し不思議に思いながらも女性が警察に連れて行かれたのを見送り、俺も会社へと向かう。
いつも早く家を出ているため遅刻はしないが、今日は帰るのが少し遅くなるなと。
あまり仕事をする気分にもなれないが、スケジュール的に余裕があるとはいえ描かねば減らないため行くしかない。
「おはよーございまーす」
「おはよー」
「おはよー。今日はゆっくりだったね」
いつもならほぼ一番乗りなのだが、今日は遅いためみんな揃っている。
朝来て誰か居るのは少し変な感じだ。
「本当はいつも通りの時間だったんですけど、痴漢にあって時間取られたんですよね」
特に隠すようなことでも無いため軽く話したのだが、まるで時が止まったと錯覚するほど会社内が静かになった。
それからまた色々と騒がしく、やっぱりリモートでの作業にするべきだとかいった話まで出てきたが。
この通り大丈夫だからとなんとか納得してもらい、取り敢えず現状維持みたいになった。
初めはみんなしてからかってるのかと思ったけれど、様子から見てそんなふうには見えないし。
変な違和感を抱えながらもその日の作業を終えた。
「あ、桜くん」
「はい。どうしました?」
「前に言ってたアフレコスタジオの見学、大丈夫だって。今週の金曜日だけど」
「え、ほんとですか。行きます! ありがとうございます!」
朝は面倒な事にあったけれども、最後に良い事があったので良しとしよう。
寝落ちして途中までしか観れてない円盤も安静にしながら日曜に全部観れたため、週明けの月曜なのに活力は十分ある。
いつも通りの朝を過ごし、家を出て会社を目指す。
最寄りから三駅ほどなので三十分もあれば着くのは嬉しいが、朝の通勤で人が多い。
なるべく人の少なそうな車両に乗ってはいるが、もう少しどうにかならないものか。
来た電車に乗り、スマホを取り出したところでふと、女性の匂いがいつもより濃いことに気が付き。
チラリと周りを見てみれば男性が殆どいない。
いつも同じ座席に座ってるおじさんもその姿はなく、見知らぬ女性がそこに腰掛けていた。
まあ、こんな日もあるかと特に気にする事もなく。
昨日見た円盤の感想を呟きつつ、仲のいい人からきていたリプを返す。
今日も帰ったら楽しもうと内心ワクワクさせていると、誰かが触れたような気がした。
朝の混雑であるし、これまでも誰かの肘が当たるなどあったから気にしなかったのだが。
少しの間を開け、今度は触れるではなくガッツリと掌で尻を揉まれている。
まさか痴漢されるとは思ってもみなかった。
たぶん女性にされてるのだろうけど……怖いって以前に扱いに困る。
どうせ次で降りるからなぁ、と考えながらもどんな人にされているのか気になり、ちらりと振り返りみれば。
ちょっと、生理的に受け付けられない人がおり。
そんな人に触られているかと思った途端に鳥肌が立ち、気付けば肘鉄をしていた。
その後、電車内でちょっとした騒ぎになったが、俺に対して痴漢をしていたと分かるや女性が非難され始め。
駅に着いた後も駅員や警察は痴漢してきた女性に対してだけ調書などを取り。
肘鉄をくらわせた俺は特にお咎めもなく、終始メンタルケアのようなことをされていた。
扱いの差を少し不思議に思いながらも女性が警察に連れて行かれたのを見送り、俺も会社へと向かう。
いつも早く家を出ているため遅刻はしないが、今日は帰るのが少し遅くなるなと。
あまり仕事をする気分にもなれないが、スケジュール的に余裕があるとはいえ描かねば減らないため行くしかない。
「おはよーございまーす」
「おはよー」
「おはよー。今日はゆっくりだったね」
いつもならほぼ一番乗りなのだが、今日は遅いためみんな揃っている。
朝来て誰か居るのは少し変な感じだ。
「本当はいつも通りの時間だったんですけど、痴漢にあって時間取られたんですよね」
特に隠すようなことでも無いため軽く話したのだが、まるで時が止まったと錯覚するほど会社内が静かになった。
それからまた色々と騒がしく、やっぱりリモートでの作業にするべきだとかいった話まで出てきたが。
この通り大丈夫だからとなんとか納得してもらい、取り敢えず現状維持みたいになった。
初めはみんなしてからかってるのかと思ったけれど、様子から見てそんなふうには見えないし。
変な違和感を抱えながらもその日の作業を終えた。
「あ、桜くん」
「はい。どうしました?」
「前に言ってたアフレコスタジオの見学、大丈夫だって。今週の金曜日だけど」
「え、ほんとですか。行きます! ありがとうございます!」
朝は面倒な事にあったけれども、最後に良い事があったので良しとしよう。
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