キラキラのゆくえ

こころ晴れるや

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キラキラのゆくえ

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さ~ちゃんは小学1年生。
学校からおうちにかえってくると、げんかんで泣いています。
 「うぇーん、 お母さん、うぇーん・・・」
げんかんからきこえる大きな泣きごえをきいて、お母さんがやってきます。
 「あらあら、さ~ちゃんどうしたの?」
げんかんでないているさ~ちゃんにかけよったお母さんは、さ~ちゃんに声をかけます。
目にいっぱいのなみだをうかべたさ~ちゃんは、
 「かえりにね、おともだちとぶつかって、ころんだの。いたいよ~」
そういってまた泣きだしてしまいました。
お母さんがさ~ちゃんのひざをのぞくと、ひざはすりむけて赤くなっています。
お母さんはさ~ちゃんを自分のひざの上にだきかかえ、くつをぬがし、やさしく言いました。
 「さ~ちゃん、それはいたかったね。おともだちもケガしたの?」そうきくと、
 「ころんだのはさ~ちゃんだけ」
さ~ちゃんはかなしそうな顔で言います。
 「そうだったのね、今きれいにしてあげるからね」
お母さんはそう言ってさ~ちゃんをだいてお風呂場へ。
 「おかあさんキレイにするのいたくない?」さ~ちゃんは心配そうな顔です。
 「そうね、少ししみるかもしれないけれど、おすなをキレイにとらないとね。キレイにしたら、なおるのも早くなるからね」お母さんはそう言ってさ~ちゃんの頭をなでました。
さ~ちゃんは、おかあさんに頭をなでられるのが大好き。
夜ねむるときも「おやすみなさい」とあいさつをすると、かならず頭をなでてくれます。
 「さぁ、さ~ちゃん、おひざをキレイにしましょうね。おひざをキレイにしたらおやつですよ!きょうのおやつはさ~ちゃんの大好きなホットケーキにしたのよ。」
お母さんはそう声をかけ、さ~ちゃんのおひざをキレイに洗いました。
さ~ちゃんは傷口がジーンとしみて痛かったけれど、お母さんのおいしいホットケーキが早くたべたかったので、ぐっとがまんしました。
早くホットケーキがたべたい・・・。
 「ねぇ、おかあさん、アイスもある?」
 「あるわよ、バニラアイスにバナナ、チョコシロップもかけておいしく食べましょうね」
 「わぁ~」
さ~ちゃんはとってもうれしい気もちになりました。
お母さんは、ひざを洗いおえると、さ~ちゃんのひざに手をかざして言いました。
 「いたいのいたいのとんでいけ~、さ~ちゃんのおひざ、早くよくなりますように」
そう言って、傷口にはさ~ちゃんの大好きなキャラクター、すみっこぐらしのバンドエイドをはってくれました。
 「わぁ~カワイイ」
さ~ちゃんは、またうれしい気もちになりました。
 「さぁ、おやつにしましょ」
お母さんはそう言って、ホットケーキをよういしてくれました。
パクリ。「うわぁ~、おいしい」
おなかいっぱいになったさ~ちゃんはすっかり笑顔。
 「おいしくてよかったわ」
そう言って、お母さんも笑顔。
つぎの日、学校に行くと、となりのせきのみっちゃんが泣いています。
 「みっちゃんどうしたの?」
さ~ちゃんが声をかけると、みっちゃんはゆっくりと顔をあげ、
 「さっきころんじゃったの」と言って、またポロポロとなみだをこぼしました。
さ~ちゃんは、「みっちゃん、それはいたかったね」
と声をかけ、みっちゃんの手をひき、いっしょに保健室に行きました。
保健室で、傷をキレイにしてもらったみっちゃんに、さ~ちゃんはバンドエイドをさし出します。
 「わぁ、かわいい」
みっちゃんはいいました。
さ~ちゃんはとくいげな顔でニッコリ。
 「おそろいだよ。いたいのいたいのとんでいけ~みっちゃんのおひざ、早く良くなりますように」
さ~ちゃんは、きのうお母さんにしてもらったように声をかけます。
お母さんといっしょ、うれしいな。
みっちゃんが喜んでくれてうれしいな。
おそろいのバンドエイドうれしいな。
保健室の先生はそんなふたりのようすを見てニッコリ。
 「みっちゃん、さ~ちゃん、仲良しでいいわね。これは先生からのプレゼント!」
先生の手にはとってもキレイにキラキラ光るえんぴつがありました。
 「わぁ、きれい」
ふたりは声をそろえて言いました。
 「とってもキレイ。にじの色みたいだね」
さ~ちゃんは言いました。
みっちゃんはうなずきました。
 「キラキラしててキレイでしょ、にじは雨あがりに出るのよ。これでおそろいがまたふえたわね」
先生は言いました。
 「先生、このえんぴつすぐつかってもいい?すぐつかいたいね」
さ~ちゃんはみっちゃんにこえをかけます。
みっちゃんもえがおでうなずき、それを見た先生はふたりにえんぴつけずりをかしてくれました。
 「ふたりとも、おべんきょうがんばってね」
先生は笑顔で言いました。
さ~ちゃんとみっちゃんは声をそろえて
 「は~い」と元気にお返事。
なみだのキラキラが、笑顔のキラキラにかわりました。
ふたりはえんぴつをにぎりしめて、教室にもどりました。
書くのが楽しい。おそろいがうれしい。
みっちゃんは、痛いおもいをしたことも忘れて、いっしょうけんめいノートを書いています。
先生もっと黒板に書かないかなぁ。えんぴつたくさんつかいたい・・・。
となりの席では、さ~ちゃんもいっしょうけんめいノートをとっています。
おうちにかえると、さ~ちゃんは今日あったことをお母さんにはなしました。
お母さんはニッコリ。
 「さ~ちゃんもみっちゃんも大変だったけれど、すてきなおそろいがふえて、良かったね」
お母さんは言いました。
 「うん、みっちゃんとおそろいうれしい」
さっちゃんは言いました。
みっちゃんは、おうちに帰るとすぐ宿題をはじめました。
みっちゃんのお母さんはビックリ。
 「みっちゃん、おやつは?」
とみっちゃんに声をかけます。
みっちゃんは
 「宿題がおわったらたべる」
と言って、宿題にむちゅう。
みっちゃんの手にはえんぴつがキラキラ光っています。
そこにおばあちゃんがやってきて、
 「みっちゃん、あらキレイなえんぴつだわね~」と声をかけます。
みっちゃんはとくいげ。
 「そうでしょ、さ~ちゃんとおそろいなの。保健室の先生がくれたんだ。にじ色のえんぴつ。にじは雨あがりに出るの」
と言ってふたりにきかせました。
お母さんとおばあちゃんは少しびっくりした顔をしてから顔をみあわせてニッコリ。
 「おそろいのえんぴつ、よかったわね」
とお母さんが言いました。
みっちゃんは、それから毎日、えんぴつが小さくなるまでがんばってお勉強をつづけました。
 「お母さん、えんぴつ小さくなっちゃった。おんなじのかってくれる?」
みっちゃんはお母さんにききます。
 「もちろん。あなたがそう言うかと思ってえんぴつさがしてきたの。さ~ちゃんのぶんと2本買ってあるのよ」
お母さんはそう言って、みっちゃんにえんぴつを手わたしました。
 「わぁうれしい。ありがとう、おかあさん」
みっちゃんは大よろこび。
つぎの日みっちゃんは早く目がさめました
ランドセルの中のふでばこに入れた、さ~ちゃんにあげるえんぴつと自分のえんぴつをかくにんして、おうちを出ます。
 「いってきま~す」
学校につくと、すぐにとなりの席のさ~ちゃんに声をかけます。
 「さ~ちゃんこれあげる。この間のおれい」
さ~ちゃんは目を丸くしています。
 「みっちゃんこれどうしたの?」
さ~ちゃんが聞きます。
 「おかあさんが、さ~ちゃんとおそろいで買ってきてくれたの」
みっちゃんはうれしそうにはなします。
 「わぁ~うれしい。たくさんつかっちゃったから、えんぴつ小さくなっちゃってこまってたの。みっちゃん、ありがとう!」
とさ~ちゃんは言いました。
 「これでまたいっしょにつかえるね」
みっちゃんがそうに言うと、さ~ちゃんはニッコリ。
キラキラえんぴつ、キラキラえがお。
さ~ちゃん、みちゃん、良かったね!

おしまい

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