神々の間では異世界転移がブームらしいです。

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

87話 オーガとわたし

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  空の上は少し肌寒いです。
  今はまだ、暖かい時期なので大丈夫ですが、寒くなるまでに、何か防寒対策をしなければいけませんね。
  わたしは今、オリオンと空の上を飛んでいます。
  鷲掴みではありません。
  オリオンには、エドガーさんに作って貰った特製の手綱をつけて貰っています。
  この手綱はマジックアイテムで、わたしやオリオンの意思で首飾りに変わります。
  原理は説明されましたがよく分かりませんでした。
  なんでも、とっておきの空間魔法のスクロールを使ったものらしいです。
  そんな希少なものを使って貰って良いのですか?と聞いたら未来の希少な素材の為の投資だと言われました。
  希少な素材を手に入れたら、持ち込んであげましょう。
  オリオンの飛行速度はとても早く、数日ががりで移動するガナの街とガストの街を半日で飛ぶ事が出来ます。
  今日もロック鳥のさえずり亭でお菓子を買った帰りです。
  遊びに行っていた訳ではありませんよ。
  フューイ代理にガナの冒険者ギルドに手紙を届ける依頼を受けたのです。
  お菓子はついでです。
  リゼさんに頼まれた分や、孤児院の子供達へのお土産もあります。
  ガストの街まであと半分くらいでしょうか?
  そろそろお昼にしましょう。
  


  お昼を食べ終わり、出発しようかと思ったのですが、近くの森の中に薬草を見つけ、少し採取して帰る事にしました。
  オリオンを送還すると、わたしは1人、薬草を採取し始めます。
  一通り採取して、満足したので街道に戻ります。
  今から帰ると遅くなるかも知れませんが、後は依頼完了の手続きくらいで、急ぐ事ではありません。
  気にする事はないです。
  
「ん?」

  なんだか街道の方が騒がしいですね。
  
  わたしが森から街道の前に出ると、いきなり5体のオーガがこちらに駆け寄って来ました。
  オーガの後ろ、街道には派手ではありませんが、高級感ある作りの馬車があります。
  そして、馬車の周りには突然森から現れたわたしに、驚愕の表情を浮かべている騎士風の男性が3人。
  どうやら、彼らはオーガ襲われて、敵わないまでも、どうにか追い払った。
  っと言ったところでしょうか?
  そしてオーガが逃げた先に突然現れたわたし(非常に遺憾ですが、見た目10~12歳)に驚いているのでしょう。

「くそ! なんで子供が!」

「いかん!」

「くっ間に合わない!」

  騎士風の3人は驚愕から、沈痛な表情に変わります。
  まぁ、確かに自分達が、追い払った魔物が少女を襲ったとなれば、良識ある者なら強い自責の念を抱くでしょうね。
  ですが、今回、オーガの前に居るのはわたしです。
  1体目のオーガとすれ違い様に水龍の戦斧を振り抜くと、オーガは上半身と下半身に真っ二つです。
  クイックチェンジで、水龍の戦斧を双斧に持ち替えると、自分の前を走っていた仲間が一瞬で真っ二つになった事で、慌てて距離を取ろうと立ち止まったオーガに向けて、身体を回転させながら左右の手に持った戦斧で連撃を放ちます。
  腕力に加え、魔力、遠心力の乗った攻撃は3体のオーガを葬るのには、十分な威力でした。
  残るオーガは1体。
  たまたま、1番後ろにいた為、生き残った運の良い1体です。

「がぁぁあ!」

  あ!
  最後のオーガが逃げ出しました。
  しかし、逃しはしません!
  わたしは、白雪姫スノーホワイトと入れ替えに召喚した烈風の斧を、オーガの背中に向かって投擲します。
  敵に背後を見せるとは愚かとしか言えませんね。
  風の魔法が込められた烈風の斧を受けて、背中を大きく切り裂かれたオーガは、地面に倒れてのたうち回っています。
  わたしも苦しませる趣味はありませんから、直ぐに首を落として楽にしてやります。
  一通り、オーガの始末が終わると唖然としていた騎士風の男達の後ろ、上等な馬車から1人、男性が降りて来ました。
  身なりを見る限り、やはり、貴族のようです。
  それもなかなか、高位の貴族っぽいですね。
  いえ、何と無くですが。
  さて、向こうがどう出るかでわたしの対応も変わります。
  例え、絡んで来たとしても、辺境伯家のメダルで大人しく引いてくれると良いのですが……








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