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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

70話 確認とわたし

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  ジャギさんと薬草を採取に行く事になった、わたしは、ギルドに併設された酒場で軽食を食べながら、ジャギさんとお互いの情報を交換します。
  今回は、数日共に行動し、お互いの命を預ける事になるので、相手のできる事、出来ない事を確認し、戦闘時の立ち回りや、野営での役割りなどを決めて、入念な打ち合わせをしておくべきなのです…………とジャギさんが言ってました。
  いえ、確かに、わたしもその通りだと思うのですが、なんとなく釈然としません。

「じゃあ、あとはお互いの戦闘スタイルの確認だな」

  野営時や移動時の確認を終え、お互いの戦い方の話になりました。

「はい、わたしは主な武器として、戦斧、双斧、投げ斧、鉈を使います。  
  それと魔法は水と氷、木、闇と召喚魔法を使えます」

「なるほど、水属性魔法は応用力の高い良い魔法だな。
  つーかユウの武器はなんで、そんなに偏ってんだ?
  まるで、蛮族戦士じゃねーか」

「失礼ですね。 誰が蛮族戦士ですか!
  わたしは薬師で料理人ですよ」

  蛮族戦士は棍棒や石などの原始的な武器を得意とする戦士系の職業スキルです。
  別に蛮族戦士が悪い訳では有りませんが、まぁ、あまり知的なイメージは有りません。

「いや、悪い、悪い。
  ただ薬師はともかく、料理人ってのは驚いたな」

「ふふ、野営の時にわたしの料理人スキルの凄さを味わうと良いですよ。
  ジャギさんの武器と職業スキルは何ですか?」

「俺は棍を使う」

「え、棍ですか?」

  これは非常に珍しいです。
  基本、冒険者は盗賊や魔物と命のやり取りをするものです。
  殺傷能力の低い棍をメイン武器にする人は少ないと、思います。
  
「驚くのも無理はない。
  俺は普段は要人警護や商隊の護衛なんかを中心に依頼を受けているんだ。
  商隊の護衛は兎も角、要人警護なんかだと、襲って来た奴はなるべく捕らえて情報を聞き出すのが定石だからな。
  たから、殺傷能力の低い棍をつかってるんだ。
  だが、心配はいらねぇ。
  俺の棍は特別製だからな」

  ジャギさんは、マジックバックから自身のメイン武器である棍を取り出すとわたしに見せてくれました。
  と言うか、ジャギさんはあの格好で要人警護をしているのでしょうか?
  どう見ても怪しい奴です。

「見てみな、この棍は中を空洞にして、軽量にしてあるんだ」

「え、でもそれでは取り回しは良くても威力や耐久性に問題が出るのでは?」

「それも、問題ない。
  この棍には土属性の魔法が込められていてな、魔力を込める事で、重さを自由に変えられるんだ。
  相手に当たる瞬間、重さを変えれば取り回しと威力の両立ができる。
  耐久性を上げる魔術刻印も施されていて頑丈だ。
  更にこの棍の材質はミスリルなんだが、ミスリルの欠点って知ってるか?」

「確か、わずかに聖属性を帯びているため、闇系統の魔法と相性が良くないのと、魔力伝導率の良さから、魔法に対する防御力があまり高くない事ですよね」

「そうだ。まず闇系統に付いては俺は使わないから問題ない。
  そして、魔法耐性だが、このミスリル、普通と違うと思わないか?」

「確かに、ミスリルは銀色に輝く金属だったはずですよね」

  ジャギさんの棍は、若干赤みがかった色をしています。

「これはドワーフの最新技術でな、ミスリルの表面に薄くヒヒイロカネをコーティングしているんだ。
  こうする事で高い魔力伝導率と魔法耐性と言う相反する性質を持たせる事が出来るんだ」

「凄いですね!」

  これは素直に凄いです。
  わたしも欲しいです。
  ただ1つ、ジャギさんの棍には、問題があります。
  輝く様な銀色に少し赤みが差している色は、なんだかくすんだ鉄の様に見えます。
  そして、ジャギさんの棍は軽量化の為に筒状になっているのです。
  そう……どう見ても『鉄パイプ』です。
  チンピラファッションのジャギさんが手にしているので尚更です。
  わたしには、さっきから、チンピラに鉄パイプを自慢されている様にしか見えません。
  いえ、この世界に鉄パイプは存在しないのかも知れませんが…………
  
「ああ、そうでした。
  あと、ジャギさんの職業スキルと使用魔法はなんですか?」

「俺の職業スキルは神官と守護者ガーディアンだ。
  魔法は火属性や風属性も使えるが、得によく使うのは、光属性と上位属性の神聖属性だな。
  治癒魔法が得意だ」

………………解せぬ。










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