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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

62話 留守とわたし

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  ガストの街の門の前でエリスちゃんは無事、両親と再会することが出来ました。
  エリスちゃんの両親は昨晩からずっと門の前で待ち続けていたらしいです。
  涙を流しながらお礼を言う2人を宥め、宿に帰ってエリスちゃんを休ませる様に促します。
…………リュミナスさんが。
  わたしですか?
  いえいえ、ここは人生経験が豊富な年長者に任せるべきです。
  自分に出来ない事は出来る人に任せる。
  仲間って素晴らしいです。


「皆さん、ご苦労様です。
  無事、救援を終えた様で安心しました」

  ギルドに入るとフューイ代理が迎えてくれました。

「まぁ、何とかな」

「ハーピィに子供が攫われたと聞きましたが?」

「あぁ、狩の練習用の獲物にされそうになってたんでな、何とか助け出すことが出来た」

「不幸中の幸いでしたね」

「それで、俺達を送り込んだギルドマスター殿はどこに行ったんだ?」

「あ~、リゼさんはまだギルドに出勤して来てません。
  遅刻です」

「あんにゃろう」

  リュミナスさんの髪が怒りで逆立っています。
  多分、風の精霊のイタズラです。

「は~、まぁ良い。
  流石に俺達もくたくただ。
  今日はもう休ませてもらう。
  報酬などは明日でいいか?」

「はい、では明日、昼頃にギルドに来て頂けますか?」

「分かった、ユウそれでいいか?」

「わたしもそれで構いません。
  ただ、素材の買取だけ今日お願いしても良いですか?」

「あぁ、傷む前に処理した方がいいですね」

「売却金はわたしと《虹の大河》のみなさんの頭割りでおねがいします」

「分かりました、では解体場にハーピィを出してください」

  解体はギルドの職員さんがやってくれるそうでわたし達は帰って休む事にしました。
  わたしは雪獅子のたてがみ亭に、リュミナスさん達はパーティの拠点として、家を借りているそうです。
  高ランクの冒険者は手に入れた宝や道具、武器などを保管したり、宿代を節約する為、拠点をもつ者が多いようです。
  家を購入する場合もありますが、冒険者は拠点を他の街に移す事も有るので、多くの場合、パーティで借家を借りて拠点とするのが普通らしいです。
  わたしもそのうち拠点を持ちたいですね。
  お金は有るので家を借りたりも買ったりも出来るのですが宿は便利ですからね。
  上げ膳下げ膳で家の管理などもしなくて良いですし。
  …………ヤバイ! わたしの女子力がピンチです。
  このままではダメ人間にまっしぐらです。
  朝食を済ませると少し早いかも知れませんがギルドに向かいます。
  マイホームを買うか悩みながら歩いて行くと孤児院から今日も元気な声が聞こえて来ました。
  異世界でも子供は可愛いですね。
  そう言えばわたし以外の転移者は今頃どうしているのでしょうか?
  日本人は大抵、黒髪黒目なので会えば一目で分かると思っていたのですが未だ1人も見つけていません。
  もしかするとわたしが思っているよりこの世界が広いのか転移者が少ないのかも知れませんね。
  この世界に日本人は何人くらいいるのでしょうか?

「あ、そうだ!」

  良い事を思い付きました。
  分からないなら、分かる人に聞けばいいのです。
  わたしは早速目の前の教会に入りました。
  わたしは聖堂で掃除をしていたミリアさんに一言断りを入れると椅子に座り祈り始めました。

(神様、神様、もしもし、ユウです)

『はい、神です』

  神様に呼びかけるように祈っていると神様の声が聞こえて来ました。
  しかし、なんだか無機質と言うか硬い感じがします。

『ただいま留守にしております。
  ご用のある方は《ピー》と言う神託の後に祈りをどうぞ』

ピー

(………………ユウです。あ~、その~、すみません、また掛けな……祈り直します)

  わたしは金貨を1枚、寄付としてミリアさんに預けると教会から外に出ました。
  上を見上げると雲ひとつない青空が広がっていました。

「……………………」

  何と言って良いのか分かりません。
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