108 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》
102話 飛翔とわたし
しおりを挟む
ラグラーナに戦斧を打ち込む手を休めること無く、少しづつ顔の方に移動します。
ラグラーナは激しく身を捩り、抵抗しますが、半身をズタズタにされてバランスが取れないのか、その場に留まったまま暴れるだけです。
顔の辺りまで来ると、双斧を水龍の戦斧に持ち替え、一瞬のタメのあと、2層の魔力を纏わせ、レイピアの様な鼻先に振り下ろします。
鼻先は断ち切られ、ラグラーナは無理矢理身をくねらせて、わたしから距離を取ろうとします。
「ぐっ!」
ラグラーナがわたしから離れるさい、振るわれた尾ビレを受けてしまいました。
夜天のローブのお陰で、致命傷は避けられましたが、太腿を大きく切られてしまいました。
追撃したい所ですが、ここは水面に浮上するべきですね。
少し苦しくなって来ました。
水中で得られる酸素が少なくなって来ています。
急いで作製し、水人の丸薬に込めた魔力が通常より少なかったせいか、効果が短い様です。
それに、傷の手当てもしなければなりません。
水中では、止血が出来ませんし、どんどん血が流れて行ってしまいます。
あと、超痛いです。
塩水が鬼の様にダメージを与えてきます。
治癒魔法が使えれば、水中でも手当てが出来るのですが、残念ながらわたしの、回復手段はポーションです。
水中では使えません。
(なんですか⁉︎)
浮上しようと、水面に向かう泳ぐわたしを急に不自然な水の流れが海底へと、押し返しました。
視線を移すとかなりの距離を置いてこちらを見つめるラグラーナと目が合いました。
どうやら奴は、同じ土俵での接近戦は不利だと悟ったのか、水を操りわたしの浮上を阻害している様です。
魔物は総じて、普通の動物よりも頭が良いです。
ハーピィに、してもエンシェントトレントにしてもきちんと考え、作戦を練ってきます。
わたしの秘策を逆に利用しするとは、敵ながら天晴れです。
つまり、何が言いたいかと言うと…………今、わたし、ピンチです!
超身体強化を使い、海底を蹴ってラグラーナに近付こうとすると、またしても不自然な水の流れが、わたしを押し返します。
近付かせず、浮上させず、このまま溺れさせるつもりの様です。
人間が、水中で長く活動出来ないのを理解しているのでしょう。
不味いです。
もう、ほとんど薬の効果が切れています。
水人の丸薬無しだと、わたしの息は1分ちょいくらいしか持ちません。
兎に角、今は海面に出ることが優先です。
わたしは、アイテムボックスから種を取り出し、海底に押し付けます。
(生い茂る緑の子らよ 大地を掴め)
わたしが取り出した種は、木属性の魔力によって急成長し、ぐんぐん伸びて行きます。
ラグラーナが水流を操り、わたしを押し返し出来ますが、成長する木に掴まったわたしは、水流に逆らい水面へと向かいます。
「な、なに⁉︎」
水中から突如生えてきた木にアイゼンさんが驚きますが、わたしはそれどころでは有りません。
アイテムボックスからポーションを2本取り出すと、1本を傷口に振りかけ、もう1本を飲み干します。
ポーションの使い方は、2通りあり、傷口に振りかける場合と飲み干す場合があります。
傷口に直接かけると、その傷を治癒する事ができ、飲み干すと直接掛けた場合より効果が落ちるが、全身の傷を治癒し、また、少しの間、自然治癒力が上昇します。
尾ビレでやられた太腿の傷と、鋭い鱗により、顔や手などに出来た傷が消えて行きます。
水中からの脱出に使用した木から飛び降り、水天の靴の効果を使い、水面に着地します。
この木は、暫くすれば枯れてしまうでしょう。
可哀想な事をしてしまいました。
水龍の戦斧を構えるわたしにラグラーナが、向かって来ます。
もう一度、チャーシュードンをお見舞いしてやりましょう。
水龍の戦斧に魔力を纏わせます。
水中に居たときは、水圧や水の抵抗をずっと魔法で相殺していたので、2層が限界でしたが、今は問題有りません。
水天の靴も起動時に多くの魔力を込めて、一時的に魔力の供給を切ります。
6層もの魔力を込めた水龍の戦斧は淡く光始めます。
こちらに向かってくるラグラーナの速度に合わせて水龍の戦斧を振りかぶった時、前方から大きな水しぶきが上がります。
なんとラグラーナは、勢い良く水中から跳び上がると、トビウオの様に滑空します。
「そんな事も出来るのですか⁉︎」
最後の力を振り絞ったラグラーナが向かうのは、土属性魔法で作られた壁です。
このままでは、飛び越えられて、しまいます。
しかし、土壁の上にラグラーナの行く手を遮る人影が有りました。
《無垢なる愛》の3人です。
「いくわよ!」
「ええ!」
「はい!」
「我らを護りし大地にこい願う 戦を終焉へと導く刃を ここに 愛と大地の大剣」
ドミニクさんの魔法は、聞いたことのない物ですね。
恐らく、固有魔法です。
「強靭なる刃 勇き勲を貴方に捧ぐ 愛の上級多重付与」
トロンさんの付与魔法も固有魔法ですね。
「はぁぁぁあ‼︎」
ドミニクさんの作り出した巨大な剣を手に、トロンさんの魔法で強化されたアイゼンさんがラグラーナの真正面に飛び上がります。
「貴方に捧ぐ愛‼︎」
あらゆる意味で強烈な斬撃が、ラグラーナを撃ち落としました。
凄いです!
ただ、技名はダサいと思います。
わたしは落下して来たラグラーナに戦斧を振ります。
「必っ殺! 魚切り‼︎」
6層の魔力を纏った斬撃はラグラーナの強靭な鱗を断ち切り、首の辺りを切りとばしました。
ようやく討伐終了です。
今回は水中での行動が多く、かなりの疲労が有ります。
早く戻ってゆっくり休みたいです。
あと今回の技名もイマイチです。
ラグラーナは激しく身を捩り、抵抗しますが、半身をズタズタにされてバランスが取れないのか、その場に留まったまま暴れるだけです。
顔の辺りまで来ると、双斧を水龍の戦斧に持ち替え、一瞬のタメのあと、2層の魔力を纏わせ、レイピアの様な鼻先に振り下ろします。
鼻先は断ち切られ、ラグラーナは無理矢理身をくねらせて、わたしから距離を取ろうとします。
「ぐっ!」
ラグラーナがわたしから離れるさい、振るわれた尾ビレを受けてしまいました。
夜天のローブのお陰で、致命傷は避けられましたが、太腿を大きく切られてしまいました。
追撃したい所ですが、ここは水面に浮上するべきですね。
少し苦しくなって来ました。
水中で得られる酸素が少なくなって来ています。
急いで作製し、水人の丸薬に込めた魔力が通常より少なかったせいか、効果が短い様です。
それに、傷の手当てもしなければなりません。
水中では、止血が出来ませんし、どんどん血が流れて行ってしまいます。
あと、超痛いです。
塩水が鬼の様にダメージを与えてきます。
治癒魔法が使えれば、水中でも手当てが出来るのですが、残念ながらわたしの、回復手段はポーションです。
水中では使えません。
(なんですか⁉︎)
浮上しようと、水面に向かう泳ぐわたしを急に不自然な水の流れが海底へと、押し返しました。
視線を移すとかなりの距離を置いてこちらを見つめるラグラーナと目が合いました。
どうやら奴は、同じ土俵での接近戦は不利だと悟ったのか、水を操りわたしの浮上を阻害している様です。
魔物は総じて、普通の動物よりも頭が良いです。
ハーピィに、してもエンシェントトレントにしてもきちんと考え、作戦を練ってきます。
わたしの秘策を逆に利用しするとは、敵ながら天晴れです。
つまり、何が言いたいかと言うと…………今、わたし、ピンチです!
超身体強化を使い、海底を蹴ってラグラーナに近付こうとすると、またしても不自然な水の流れが、わたしを押し返します。
近付かせず、浮上させず、このまま溺れさせるつもりの様です。
人間が、水中で長く活動出来ないのを理解しているのでしょう。
不味いです。
もう、ほとんど薬の効果が切れています。
水人の丸薬無しだと、わたしの息は1分ちょいくらいしか持ちません。
兎に角、今は海面に出ることが優先です。
わたしは、アイテムボックスから種を取り出し、海底に押し付けます。
(生い茂る緑の子らよ 大地を掴め)
わたしが取り出した種は、木属性の魔力によって急成長し、ぐんぐん伸びて行きます。
ラグラーナが水流を操り、わたしを押し返し出来ますが、成長する木に掴まったわたしは、水流に逆らい水面へと向かいます。
「な、なに⁉︎」
水中から突如生えてきた木にアイゼンさんが驚きますが、わたしはそれどころでは有りません。
アイテムボックスからポーションを2本取り出すと、1本を傷口に振りかけ、もう1本を飲み干します。
ポーションの使い方は、2通りあり、傷口に振りかける場合と飲み干す場合があります。
傷口に直接かけると、その傷を治癒する事ができ、飲み干すと直接掛けた場合より効果が落ちるが、全身の傷を治癒し、また、少しの間、自然治癒力が上昇します。
尾ビレでやられた太腿の傷と、鋭い鱗により、顔や手などに出来た傷が消えて行きます。
水中からの脱出に使用した木から飛び降り、水天の靴の効果を使い、水面に着地します。
この木は、暫くすれば枯れてしまうでしょう。
可哀想な事をしてしまいました。
水龍の戦斧を構えるわたしにラグラーナが、向かって来ます。
もう一度、チャーシュードンをお見舞いしてやりましょう。
水龍の戦斧に魔力を纏わせます。
水中に居たときは、水圧や水の抵抗をずっと魔法で相殺していたので、2層が限界でしたが、今は問題有りません。
水天の靴も起動時に多くの魔力を込めて、一時的に魔力の供給を切ります。
6層もの魔力を込めた水龍の戦斧は淡く光始めます。
こちらに向かってくるラグラーナの速度に合わせて水龍の戦斧を振りかぶった時、前方から大きな水しぶきが上がります。
なんとラグラーナは、勢い良く水中から跳び上がると、トビウオの様に滑空します。
「そんな事も出来るのですか⁉︎」
最後の力を振り絞ったラグラーナが向かうのは、土属性魔法で作られた壁です。
このままでは、飛び越えられて、しまいます。
しかし、土壁の上にラグラーナの行く手を遮る人影が有りました。
《無垢なる愛》の3人です。
「いくわよ!」
「ええ!」
「はい!」
「我らを護りし大地にこい願う 戦を終焉へと導く刃を ここに 愛と大地の大剣」
ドミニクさんの魔法は、聞いたことのない物ですね。
恐らく、固有魔法です。
「強靭なる刃 勇き勲を貴方に捧ぐ 愛の上級多重付与」
トロンさんの付与魔法も固有魔法ですね。
「はぁぁぁあ‼︎」
ドミニクさんの作り出した巨大な剣を手に、トロンさんの魔法で強化されたアイゼンさんがラグラーナの真正面に飛び上がります。
「貴方に捧ぐ愛‼︎」
あらゆる意味で強烈な斬撃が、ラグラーナを撃ち落としました。
凄いです!
ただ、技名はダサいと思います。
わたしは落下して来たラグラーナに戦斧を振ります。
「必っ殺! 魚切り‼︎」
6層の魔力を纏った斬撃はラグラーナの強靭な鱗を断ち切り、首の辺りを切りとばしました。
ようやく討伐終了です。
今回は水中での行動が多く、かなりの疲労が有ります。
早く戻ってゆっくり休みたいです。
あと今回の技名もイマイチです。
3
お気に入りに追加
2,353
あなたにおすすめの小説
石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!
udonlevel2
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。
皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。
この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。
召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。
確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!?
「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」
気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。
★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします!
★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
神々の間では異世界転移がブームらしいです。《サイドストーリー》
はぐれメタボ
ファンタジー
《番外編》
神々の間では異世界転移がブームらしいです。の番外編です。
《マーリンさんの学業奮闘記》
大賢者イナミの弟子、マーリンは師匠の命令でミルミット王国の学院に入学する事になった。
マーリンは、そこで出会った友人達と事件に巻き込まれて行く。
《迷宮都市の盾使い》
ミルミット王国最大の迷宮都市ダイダロスで迷宮に挑む冒険者達と全身鎧を身に付けた謎の冒険者の物語り。
《炎の継承者》
田舎に暮らす少年、カートは憧れの父親の背中を追って成長して行く。
《盃を満たすは神の酒》
エルフのジンとドワーフのバッカスは2人組の冒険者である。
彼等は神が醸造したと言われる伝説の酒を探して旅を続けていた。
そんな彼等が居た帝国の街に、とてつもない数の魔物が迫っていた。
《1人と1振り》
冒険者のヴァインはある日、奇抜な冒険者アークと出会う。
やがて共に旅をする様になった2人はミルミット王国のある街でとある依頼を受ける事になった。
黒髪の聖女は薬師を装う
暇野無学
ファンタジー
天下無敵の聖女様(多分)でも治癒魔法は極力使いません。知られたら面倒なので隠して薬師になったのに、ポーションの効き目が有りすぎていきなり大騒ぎになっちまった。予定外の事ばかりで異世界転移は波瀾万丈の予感。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる