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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》
41話 解体とわたし
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死闘の末、エルダートレントを倒したわたしは倒したまま放置していた魔物の死骸を回収しながらガストの街に戻るため、森からの脱出を目指しています。
操られていた魔物はエルダートレントが討伐されると、バラバラに逃げて行きました。
今回は本当に死ぬかと思いました。
帰ったらお菓子でも食べてダラダラしたいです。
森からの離れた平原で野営し、翌朝、ガストの街へ帰って来ました。
取り敢えずギルドに行きましょう。
この街は門からギルドまでがとても近いのですぐそこです。
軋まないスイングドアを抜け、カウンターへ向かいます。
「おいおい、お嬢ちゃん。怪我しない内にママの所に帰りな」
「ギャハハ、このお嬢ちゃんのママなら宿の俺の部屋で寝てるぜ」
「バーカ、お前と寝るくらいならオークと寝たほうがましだろ」
「「「ギャハハ」」」
「……」
! ! !
何時ものように、絡んで来た冒険者のあごを殴っておきました。
今日は疲れているのでお約束も手短に済ませます。
立ち上がろうともがく3人ですがフラついて倒れてしまいました。
軽い脳震盪なので暫くすれば治るはずです。
「おかえり、ユウちゃん。なんだかお疲れね」
「森で魔物の群れに襲われまして……」
「あら、じゃあ依頼は失敗?」
「いえ、依頼の品は確保していますよ。
ただ、仕留めた獲物が多くて解体をどうしようかなって」
「それならギルドに依頼すればいいじゃない」
「そんな事できるのですか?」
「ええ、もちろん。有料だけどね。
どれくらいの数があるの?」
「え~っと、オークが11体、ハイオークが1体、グリーンベアが2体、フラワーウルフが9体、マンイーターが5体、マジックパペットが9体、キラーパペットが2体、ブッシュスネークが2体、トレントが26体、エルダートレントが1体です」
「すごいわね、それだけの数を1度に狩るなんて、なかなかできる事じゃないわ」
「偶然ですよ。かなり死に掛けましたし」
「でもそれだけの数だと職員だけじゃ手が足りないわね……ねぇ、ユウちゃん。
解体の人手として冒険者を雇いたいんだけど、当然その分費用がかかるけどいいかしら?」
「はい。大丈夫です。確かわたしが受けている依頼の納品はギルドで行われるのですよね?」
「ええ、今回の納品依頼は追加の納品物があるからね。
追加の納品分の報酬が適正な額であるか、わたしが立会人として同席するわ」
「ギルドとはそこまでしてくれるのですか?」
「もともとギルドは貴族や商人から冒険者の権利や利益を守るために作られたものだからね」
「そうだったんですか」
「まぁね。」
リゼさんはそう言って苦笑するとギルドのホールに良く通る声で募集をかける。
「依頼よ!魔物の解体、募集は3名、報酬は1人銀貨2枚」
「俺、受けるぞ!」
「俺も!」
「まてまて、俺の方が解体が上手い!」
「私が受けるわ!」
「僕、解体得意です!」
おお!安全な街の中での解体依頼に銀貨2枚は破格ですから多くの冒険者が依頼を受けにカウンターに駆け寄って来ました。
「ハイハイ、大人しくしなさい。
じゃあ、ロイドとネレと……ナビにお願いするわ」
「任せろ」
「やった!」
「よ、よろしくお願いします」
「待ってくれよ、リゼさん! 俺の方が速かったじゃないか」
「あんたは何時も解体が雑なのよ」
「そんなぁ」
「さぁ、解体場に移動するわよ」
ギルドの裏にある解体場にやって来ました。
数人の職員さんが働いています。
「じゃあ、ここに獲物を出してくれる?」
「はい」
リゼさんに、言われた所に獲物を取り出していきます。
「「お~」」
どんどん出します。
「「お~」」
まだまだ出します。
「「……」」
「聞いたのと見るのじゃ、やっぱり違うわ。
ユウちゃんよく無事だったわね」
「これで最後です」
「えっ! ユウちゃんなにそれ?」
「え? エルダートレントですよ」
リゼさんが驚いて聞いて来ますがエルダートレントがあると説明していたはずです。
「ユウちゃん、この魔物、魔法使って来なかった?」
「はい。氷と闇と木の魔法を使ってました。
でもエルダートレントは魔法を使うと聞きましたし、普通では?」
「ユウちゃん、エルダートレントが使うのは木魔法だけよ。
この魔物はあまり知られて無いけどエルダートレントの更に上位種のエンシェントトレントよ。
ちなみにAランク」
「えぇ!?そうなんですか?
ゴブリンロードと同じBランクと考えると少し強すぎるとは思っていましたがまさか上位種だったとは、考えもしませんでした」
「はぁ~、ユウちゃん、身体を休めたら護衛依頼を受けなさい」
「なぜです?」
「護衛依頼を経験すればCランクに上がる条件を満たせるわ。
そしてCランクに上がったらすぐBランクに上がる試験を受けてちょうだい」
「そ、そんなにランクを上げて良いのですか?」
「あなたの戦闘力はAランク級なのは確定よ。
冒険者としての経験を加味してBランクは妥当だわ」
「分かりました。なるべく早く護衛依頼を受けます」
「お願いね。
さて、じゃあ解体しましょう。
職員はオークから、冒険者はトレントから初めてちょうだい」
「「はい」」
わたしは職員さんや冒険者さん達の手を借りて解体を進めていったのでした。
操られていた魔物はエルダートレントが討伐されると、バラバラに逃げて行きました。
今回は本当に死ぬかと思いました。
帰ったらお菓子でも食べてダラダラしたいです。
森からの離れた平原で野営し、翌朝、ガストの街へ帰って来ました。
取り敢えずギルドに行きましょう。
この街は門からギルドまでがとても近いのですぐそこです。
軋まないスイングドアを抜け、カウンターへ向かいます。
「おいおい、お嬢ちゃん。怪我しない内にママの所に帰りな」
「ギャハハ、このお嬢ちゃんのママなら宿の俺の部屋で寝てるぜ」
「バーカ、お前と寝るくらいならオークと寝たほうがましだろ」
「「「ギャハハ」」」
「……」
! ! !
何時ものように、絡んで来た冒険者のあごを殴っておきました。
今日は疲れているのでお約束も手短に済ませます。
立ち上がろうともがく3人ですがフラついて倒れてしまいました。
軽い脳震盪なので暫くすれば治るはずです。
「おかえり、ユウちゃん。なんだかお疲れね」
「森で魔物の群れに襲われまして……」
「あら、じゃあ依頼は失敗?」
「いえ、依頼の品は確保していますよ。
ただ、仕留めた獲物が多くて解体をどうしようかなって」
「それならギルドに依頼すればいいじゃない」
「そんな事できるのですか?」
「ええ、もちろん。有料だけどね。
どれくらいの数があるの?」
「え~っと、オークが11体、ハイオークが1体、グリーンベアが2体、フラワーウルフが9体、マンイーターが5体、マジックパペットが9体、キラーパペットが2体、ブッシュスネークが2体、トレントが26体、エルダートレントが1体です」
「すごいわね、それだけの数を1度に狩るなんて、なかなかできる事じゃないわ」
「偶然ですよ。かなり死に掛けましたし」
「でもそれだけの数だと職員だけじゃ手が足りないわね……ねぇ、ユウちゃん。
解体の人手として冒険者を雇いたいんだけど、当然その分費用がかかるけどいいかしら?」
「はい。大丈夫です。確かわたしが受けている依頼の納品はギルドで行われるのですよね?」
「ええ、今回の納品依頼は追加の納品物があるからね。
追加の納品分の報酬が適正な額であるか、わたしが立会人として同席するわ」
「ギルドとはそこまでしてくれるのですか?」
「もともとギルドは貴族や商人から冒険者の権利や利益を守るために作られたものだからね」
「そうだったんですか」
「まぁね。」
リゼさんはそう言って苦笑するとギルドのホールに良く通る声で募集をかける。
「依頼よ!魔物の解体、募集は3名、報酬は1人銀貨2枚」
「俺、受けるぞ!」
「俺も!」
「まてまて、俺の方が解体が上手い!」
「私が受けるわ!」
「僕、解体得意です!」
おお!安全な街の中での解体依頼に銀貨2枚は破格ですから多くの冒険者が依頼を受けにカウンターに駆け寄って来ました。
「ハイハイ、大人しくしなさい。
じゃあ、ロイドとネレと……ナビにお願いするわ」
「任せろ」
「やった!」
「よ、よろしくお願いします」
「待ってくれよ、リゼさん! 俺の方が速かったじゃないか」
「あんたは何時も解体が雑なのよ」
「そんなぁ」
「さぁ、解体場に移動するわよ」
ギルドの裏にある解体場にやって来ました。
数人の職員さんが働いています。
「じゃあ、ここに獲物を出してくれる?」
「はい」
リゼさんに、言われた所に獲物を取り出していきます。
「「お~」」
どんどん出します。
「「お~」」
まだまだ出します。
「「……」」
「聞いたのと見るのじゃ、やっぱり違うわ。
ユウちゃんよく無事だったわね」
「これで最後です」
「えっ! ユウちゃんなにそれ?」
「え? エルダートレントですよ」
リゼさんが驚いて聞いて来ますがエルダートレントがあると説明していたはずです。
「ユウちゃん、この魔物、魔法使って来なかった?」
「はい。氷と闇と木の魔法を使ってました。
でもエルダートレントは魔法を使うと聞きましたし、普通では?」
「ユウちゃん、エルダートレントが使うのは木魔法だけよ。
この魔物はあまり知られて無いけどエルダートレントの更に上位種のエンシェントトレントよ。
ちなみにAランク」
「えぇ!?そうなんですか?
ゴブリンロードと同じBランクと考えると少し強すぎるとは思っていましたがまさか上位種だったとは、考えもしませんでした」
「はぁ~、ユウちゃん、身体を休めたら護衛依頼を受けなさい」
「なぜです?」
「護衛依頼を経験すればCランクに上がる条件を満たせるわ。
そしてCランクに上がったらすぐBランクに上がる試験を受けてちょうだい」
「そ、そんなにランクを上げて良いのですか?」
「あなたの戦闘力はAランク級なのは確定よ。
冒険者としての経験を加味してBランクは妥当だわ」
「分かりました。なるべく早く護衛依頼を受けます」
「お願いね。
さて、じゃあ解体しましょう。
職員はオークから、冒険者はトレントから初めてちょうだい」
「「はい」」
わたしは職員さんや冒険者さん達の手を借りて解体を進めていったのでした。
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