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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》
45話 昇格試験とわたし
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「では、ここで、今回はありがとうございました。
こちらが依頼完了の書類です」
「ありがとうございます。
またよろしくお願いします」
ガストの街に帰って来て門を抜けた所で依頼完了となりました。
帰りも行きと同様何度かの魔物の襲撃があったものの特にも怪我もなく終わりました。
軋まないスイングドアを通り、ギルドのカウンターへ向かいます。
「おかえりなさい、ユウちゃん。
なにか問題は無かったかしら」
「はい、大丈夫です。
無事、依頼完了です」
わたしはギルドカードとリヒトさんから受け取った書類をリゼさんに渡します。
リゼさんはカードを受け取ると水晶盤に乗せて魔力を込めました。
そして数分後、護衛の報酬とCランクになったわたしのギルドカードを渡してくれました。
「ユウちゃんはCランクになったわ。
これでBランクにあがる試験を受けられるけど帰ったばかりで疲れているでしょうし、2日後でどうかしら?」
「はい、それで構いません」
「じゃあ、2日後の朝、ギルドに来てね」
「分かりました。あとコレお土産です。皆さんで食べて下さい」
わたしはロック鳥のさえずり亭で買ったお菓子をリゼさんに渡しました。
お礼を言うリゼさんと職員さん達に手を振り、宿へと向かいます。
2日後の朝、今日はBランクの試験を受ける為、リゼさん、フューイ代理と共に馬車に乗っています。
試験は街に被害が出ないようにする為、街から1時間ほど離れた場所で行うらしいです。
「着きましたよ。ここでユウさんのBランク昇格試験を行います」
そう言ってフューイ代理が馬車から降りたのは周りに何もない平原です。
「それで試験は何をすればいいのですか?」
「ユウさんの対魔物戦の実力は十分ですので試験では対人戦な実力を見せて貰います。
高ランクになれば犯罪組織との戦いや魔族との戦いが予想されます。
その辺りの盗賊などより遥かに強い相手と戦う可能性が有るのです」
「では試験は模擬戦ということですか?」
「そうです。ギルドが用意した試験官と模擬戦をして頂きます」
「分かりました。それで試験官の方は?」
「私よ」
なんと試験官はリゼさんだそうです。
確かにリゼさんはその辺の盗賊より強そうな雰囲気はあります。
しかし……大丈夫でしょうか?
「なによ、その顔」
「リゼさんの普段の行いを考えて大丈夫か心配しているのでしょう。
反省して普段の行いを正して下さい」
「い~ですよ~だ。もう手加減してあげないんだから」
「よ、よろしくお願いします」
わたしとリゼさんがお互いに有るていど離れてから向き合うと、リゼさんは自らのマジックバックから木剣を取り出しました。
「あっ! わたし模擬戦用の木剣を持っていません」
「あぁ、ユウちゃんはいつもの武器を使っていいわよ。
全力で掛かって来なさい」
「え、流石にそれは……木剣を貸して頂けれはそれで戦いますよ」
「ダメよ、武器は自らの物を使いなさい」
「危険では無いですか?」
「ふふふ、危険だと思わせる事が出来たら合格にして上げるわ」
そこまで言うのならもう自己責任ですね。
わたしは条件を了承して短剣を取り出し、構えました。
「それではBランク昇格試験を始めます。
武器はお互い自ら用意した物を使う事、勝敗は何方かが負けを認めるか、私が勝敗が決したと判断した時に着く物とします。
また私は上級治療魔法を使えますので身体の欠損や即死以外なら有る程度治せます。
相手を殺した場合、罪にはなりませんが試験も不合格となりますので気を付けて下さい」
フューイ代理の説明を聞きながらリゼさんを観察します。
リゼさんは右手に木剣を持っているのですが特に構えなどは取らず、笑みを浮かべながら立っているだけです。
余裕の現れでしょうか?
これほど余裕を見せると言う事はリゼさんは相当な実力が有ると見て良いと思います。
ならば、格上に挑む積りでいた方が良いですね。
「それではBランク試験、始め!」
わたしはフューイ代理の合図でその場を動かないリゼさんに向かって駆け出しました。
こちらが依頼完了の書類です」
「ありがとうございます。
またよろしくお願いします」
ガストの街に帰って来て門を抜けた所で依頼完了となりました。
帰りも行きと同様何度かの魔物の襲撃があったものの特にも怪我もなく終わりました。
軋まないスイングドアを通り、ギルドのカウンターへ向かいます。
「おかえりなさい、ユウちゃん。
なにか問題は無かったかしら」
「はい、大丈夫です。
無事、依頼完了です」
わたしはギルドカードとリヒトさんから受け取った書類をリゼさんに渡します。
リゼさんはカードを受け取ると水晶盤に乗せて魔力を込めました。
そして数分後、護衛の報酬とCランクになったわたしのギルドカードを渡してくれました。
「ユウちゃんはCランクになったわ。
これでBランクにあがる試験を受けられるけど帰ったばかりで疲れているでしょうし、2日後でどうかしら?」
「はい、それで構いません」
「じゃあ、2日後の朝、ギルドに来てね」
「分かりました。あとコレお土産です。皆さんで食べて下さい」
わたしはロック鳥のさえずり亭で買ったお菓子をリゼさんに渡しました。
お礼を言うリゼさんと職員さん達に手を振り、宿へと向かいます。
2日後の朝、今日はBランクの試験を受ける為、リゼさん、フューイ代理と共に馬車に乗っています。
試験は街に被害が出ないようにする為、街から1時間ほど離れた場所で行うらしいです。
「着きましたよ。ここでユウさんのBランク昇格試験を行います」
そう言ってフューイ代理が馬車から降りたのは周りに何もない平原です。
「それで試験は何をすればいいのですか?」
「ユウさんの対魔物戦の実力は十分ですので試験では対人戦な実力を見せて貰います。
高ランクになれば犯罪組織との戦いや魔族との戦いが予想されます。
その辺りの盗賊などより遥かに強い相手と戦う可能性が有るのです」
「では試験は模擬戦ということですか?」
「そうです。ギルドが用意した試験官と模擬戦をして頂きます」
「分かりました。それで試験官の方は?」
「私よ」
なんと試験官はリゼさんだそうです。
確かにリゼさんはその辺の盗賊より強そうな雰囲気はあります。
しかし……大丈夫でしょうか?
「なによ、その顔」
「リゼさんの普段の行いを考えて大丈夫か心配しているのでしょう。
反省して普段の行いを正して下さい」
「い~ですよ~だ。もう手加減してあげないんだから」
「よ、よろしくお願いします」
わたしとリゼさんがお互いに有るていど離れてから向き合うと、リゼさんは自らのマジックバックから木剣を取り出しました。
「あっ! わたし模擬戦用の木剣を持っていません」
「あぁ、ユウちゃんはいつもの武器を使っていいわよ。
全力で掛かって来なさい」
「え、流石にそれは……木剣を貸して頂けれはそれで戦いますよ」
「ダメよ、武器は自らの物を使いなさい」
「危険では無いですか?」
「ふふふ、危険だと思わせる事が出来たら合格にして上げるわ」
そこまで言うのならもう自己責任ですね。
わたしは条件を了承して短剣を取り出し、構えました。
「それではBランク昇格試験を始めます。
武器はお互い自ら用意した物を使う事、勝敗は何方かが負けを認めるか、私が勝敗が決したと判断した時に着く物とします。
また私は上級治療魔法を使えますので身体の欠損や即死以外なら有る程度治せます。
相手を殺した場合、罪にはなりませんが試験も不合格となりますので気を付けて下さい」
フューイ代理の説明を聞きながらリゼさんを観察します。
リゼさんは右手に木剣を持っているのですが特に構えなどは取らず、笑みを浮かべながら立っているだけです。
余裕の現れでしょうか?
これほど余裕を見せると言う事はリゼさんは相当な実力が有ると見て良いと思います。
ならば、格上に挑む積りでいた方が良いですね。
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わたしはフューイ代理の合図でその場を動かないリゼさんに向かって駆け出しました。
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